「お揃いのものとか、無難じゃないかなぁ」
『お揃いかぁ』
「あと、あんまり男女どっちも持てるに固執しないほうがいいよ」
会長がそう言ってくれたおかげで少しだけプレゼント選びの視野が広がった。
ふらりと立ち寄った雑貨屋。そこに並んでいたくまのぬいぐるみ。ふわふわのカフェラテ色の体。手のひらと足の裏だけチェック柄で、何色かバリエーションがあった。
わたしは赤を、幸村に黄色を。
でもそれだけじゃなんだか寂しくて、手芸屋さんでリボンと造花を買った。
リボンこそお揃いのエメラルドグリーンのサテンのリボン。それを首に結んで、赤いバラの造花をつけた。
エメラルドグリーンは幸村の青春の色。黄色も。
赤いバラの花言葉は言わずもがな。
「名、楽しそうだね」
『うん。昔からこういうことは好き』
アレンジを加えたり、細かい作業は大好きだ。
自然とその作業と幸村のことを思うと頬が綻んでいたらしい。
会長に見守られながら、手芸屋さんの一角の作業スペースでラッピングまで済ませた。
これで多分大丈夫。自惚れるならば、幸村はきっと喜んでくれる。
「ところで、幸村くんの誕生日の日は何か予定してるの?」
『何も』
「えっ、それいつ渡すつもりだったの」
『幸村の家にそっと置くつもり』
「ダメだよ!ちゃんと渡して、お祝いしなくちゃ」
会長は思ったよりも大きな声が出てしまったのか、口を手で塞いで、集まっていた視線に頭を下げた。
「せっかくの春休みだよ。デートしなくちゃ」
『誕生日だよ?わたしばかりとは言えないよ』
一年前の幸村が迎えられたかわからない15歳の誕生日。
幸村くんの家族は彼と過ごしたいだろうし、そこにお邪魔するわけにはいかない。
後は嫌だから、先にプレゼントだけ。朝一番におめでとうって言えたらいい。
すると会長にこれ見よがしに大きな溜め息を吐かれた。
「それじゃ赤也くんと丸井くんに先越されるよ」
『多分寝てるし、起こしちゃ悪いよ』
「自己完結しないの!」
バシンと小気味のいい音を立てて会長の平手打ちを背中に受けた。丸まっていた背中がほんの少し伸びた気がした。
わたしは、わたしを好いてくれた幸村に少しだけ、ううん、数えきれないくらいの劣等感を抱いている。
人に好かれる幸村と、人を選ぶわたし。
なんでも出来る幸村と、なんでも出来るフリをするわたし。
臆することもなくわたしに好きと伝えられる幸村と、好きなのに伝えられず態度ですら隠してしまうわたし。
幸村に好きと言われてから好きになったわたし。
幸村の彼女でいいのかな。
劣等感は膨らみ続けるばかりで、背中は再び丸まった。
今にも別れ話を告げてしまいそうなわたしを2つのクマのぬいぐるみが寄り添っているのが見え、自然と幸村と寄り添いたい。そう心の隅に願望を転がした。