『幸村くんが描きたいんだけど、いいかな?』


放課後、長期で休んでた分の補講に美術室に来ていた。
誰もいないかな?と思えば、俺よりも先に美術室に人がいた。

二年の先輩の姓さん。
引退した三年から部長を引き継いだ人。
こうやって時折補講に来るから顔見知りになった。


その彼女からのお願い事。
椅子に座る俺に対して、床に立膝で、俺の空いている左手を両手で包みこんでお願いする。
その手が温かくて、1月のだるまストーブが一台あるだけの寒い美術室で冷えた手に気持ちがよかった。

でも、その姿がなんとも可愛らしく意地悪したくなった。


「いいですよ。その代わり、俺を描いてる間は俺の言うことは絶対で」
『わかった。なんでも聞くよ』


……なんでもを軽く口にするべきではないと思うのですが。
俺の呟きは聞こえなかったのか首を傾げていた。


手を離し、窓と出入り口の暗幕を引いた。
外の光は遮られた。それだけなのにこの広い美術室に生まれる密室感。
なんだか悪いことをしてる気分になる。


「名さん」
『なーに?』


自然と下の名前で呼んでみた。彼女は何の違和感もなく返事をした。
ちょっとくらい気にしてほしいな。


「外から見えないようにして、フルですか?セミですか?」
『やだ、幸村くん!そういうのは家族と彼女だけに見せなさい』


ちょっと顔を赤くした名さん。

暗幕を引いた理由は知っている。
太陽の光で影の位置が変わらないように。
フルとかセミとかヌードの話。


「見て描いてもらっても構いませんよ」
『からかわないでよ〜』


カバンからスケッチブックと鉛筆を取り出し、俺の左隣に座る。


『今度時間があったらポーズとか近くで描かせて』


結構な時間を貰っちゃうからと、スケッチブックを開き、尖った鉛筆を手にした。


あーあ。スイッチ入っちゃった。
全部の集中を鉛筆の先に向けてしまったら、気の無い返事しか返ってこない。

俺も早く終わらせよう。今日は部活があるんだ。


テスト中のように鉛筆を走らせる音と、紙や布が擦れる音だけの静寂。
時折聞こえる先輩の悩ましいため息。

密室、二人きり。先輩の吐息。
なんだかアレの時みたいで少しだけドキドキする。
少し細めた目で俺を見ているのだろう。身体の中がムズムズする。


『幸村くん、集中して』


手が止まってることは一目瞭然だ。
思い出したように手を動かした。

ちらっと名さんを見る。


「名さんも、脚」


スカートだというのに椅子の上で器用に胡座をかいている。
スカートが捲れあがって、太ももは見えるしパンツも見えそうだ。


『このほうが落ち着いて描けるの』
「俺が落ち着かないのでやめてください」
『はいはい』


胡座をといて脚を降ろす時に、バッチリパンツが見えた。


「ラベンダー色ですか」
『見えちゃった?』


俺は筆を置き、先輩と向き合う。先輩は不思議そうに見つめ返す。

無言で彼女の片足を持ち上げ肩にかける。
バランスを崩し後ろに倒れる名さんの背中に片腕を回す。
捲れあがったスカートから再び下着が晒される。
そのまま抱きかかえ、下半身が密着する。

先輩はスケッチブックを胸に抱え、目を丸くしている。


「なんでもって言った代償ですよ」
『言ったけど!これは……』
「先輩が誘ったんですから」


わざとらしく音を出して唇以外の頬や額にキスをする。

肩から先輩の脚がずり落ちる。
でも、俺の腕に引っかかり片足は上がったままで、脚は開いたまま。

かたく目を瞑り、俺の腕の中で緊張で萎縮しているしている先輩。
その腕に抱えたスケッチブックを離して抵抗すればいいのに、ずっと俺のキスを受け入れてる。

期待しちゃうなぁ。


『わ、わかったから、エッチなことはダメ!』
「えー」


顔を怒りか恥ずかしさで真っ赤にして、俺の膝からおりて、さっきまで座っていた椅子に腰を下ろした。


「俺、先輩といつか続きができるの楽しみにしてますから」
『ちょっ、えっ、あ!』


うまく言葉にできないのか、俺を叩く。

俺は御構いなしに課題に向き直った。