関東大会決勝で青学に敗退し、中でも自分の試合で負けてしまったので、全国まで気を引き締めて練習に励んでいた。

幸村部長も復帰して、俺は毎日練習に明け暮れていた。
部長は半年以上のブランクがあるというのに、俺は手も足も出ず、キレたところで何も変わらなかった。


コートを出て、水道の不快なくらいぬるい水にまたイライラする。
しばらく待ってからマシになった水を頭からかぶる。

あー、タオル持ってきてねぇわ。


『がんばってるじゃん』


蛇口を絞り、その声に頭を上げると、視界が白く覆われた。
タオル?それに優しい花の匂い。
そのまま頭を揉みくちゃにされて、ランダムに動くその腕を強く掴む。

タオルの隙間から驚いた姓先輩の顔が見えた。
視線を落とせば、チアのユニフォームを着ていて、無防備に日に晒された腕や足やお腹に、怒りのボルテージは下がったが別の熱が上がった。


『落ち込んでるようなので馳せ参じました!』


いたずらっ子のように歯を見せて笑う姓先輩。
不意打ちすぎて心拍数が上がる。


「落ち込んでなんかないっス……」
『そうかな?熱くなりすぎに見えたけど』


先輩は木陰へ移動しようと誘う。
どうせ休憩だしと、その誘いにのった。

少し前を歩く先輩のスカートがひらひらと揺れるたびに、切れ目の入ったプリーツから際どいところまで見えて、男子から好評なのがわかった。


「先輩って、その格好で鏡の前で踊ったことあるんスか?」


純粋な疑問だった。
多分、普通に恥ずかしい格好をしている。

立海の女子応援団はエロいって言ってる意味もわかった。
それに、アッチのコスプレで人気がある理由もわかった。


日陰に入った先輩はポンと音が鳴った気がするくらい首まで赤くして、モジモジとする。


『あるけど、テニスだって短いスカートでしてるじゃない?それと一緒だって』
「ワーッ!」


プリーツを摘むと、また太ももが晒され、待ったをかける。

普通にヤバイから!無自覚!無防備!無邪気!
もうこの人、いつ男に襲われても知らないし、何か犯罪に使われてるって!


『みんな着てるから平気だって』
「俺が平気じゃないっスよ……」


なんでと首をかしげる。
先輩は少し考えてから、俺に膝立ちするように言う。

それこそなんでと思いながら従う。


『えいっ!』
「!?」


えっ、なんか抱きしてられてない!?

力一杯抱きしめられて、タオルと同じ優しい匂いに包まれる。
つーか、先輩の胸がっ!


思わず、先輩を突き飛ばして叫びながらその場を離れた。
ちくしょう!何なんだあの先輩は!!