「それは慣れろよ、真田」


正直この2人のいろいろには呆れた。くだらない。
この先何年と一緒にいるって意気込みがあるくせに、挨拶すらまともにできない高校生ってなんなの。純愛なの。

部外者の俺も深いため息をつくことになった。


『でもこの格好なら毎朝注意してくれるから話せるの』


健気すぎて泣けてくる。
姓が嬉しそうだし、それでもいいのかもしれないけど、話題作りが校則違反って。俺は嫌々真田に捕まってるのに。


「てか、そんなにイメチェンして姓モテるようになったんじゃね?」


最近流行りのアイドルって感じ。そういうの、野郎はめちゃくちゃ好きだと思う。
高校生デビューして、イメージ変わった子にコロッと行くやつ結構いるじゃん。

姓がいるのは女子テニス部だし、ミニスカートやショートパンツのユニフォームのせいで狙われてそう。


幸い、真田の周りは相手がいたりするし、姓には興味はないんだけどさ。柳とジャッカルくらいか?そういう浮ついた話を聞かないの。


「やらんぞ」
「取らないから!てか、真田が横に居たら誰も近づかねーよ!」


そんなことより真田に彼女がいることで周りがひっくり返るだろ。しかも想像しそうな彼女像が、物静かな大和撫子って感じなのに、今時女子だし。


姓も姓で、今真田の腕に抱きついてるし、真田も何も言わないし……。真田のたるみっぷりがハンパない。
幸村くんや赤也の彼女へのデレデレ感の影響かな。

ちょっと前なら振りほどいてただろうし、声を荒げてただろうに。変わりすぎだろ。

それにやらんぞって。真田から出てくる言葉じゃないだろ。
ほら、俺の隣に立ってる幸村くん、なんか静かだなって思ったら笑いを堪えてるし。


改めて真田が姓を大事にしてると思うと、俺がヘタレなのが恥ずかしいし悔しいな。


『あ、そうだ弦一郎くんこれ』


姓はおもむろにカバンから紙袋を取り出した。あー、なるほどね。今日は。


「学業に関係なければ没収だが?」
「没収してもいいんじゃない?」
「そーそー。何かわかんないし中身も確認しちゃえば?」


姓は俺たち2人の顔を交互に見て、真田は訳がわからないといった表情をしている。
言われるがままに封を切る。雑だな。


「タオル?」
「うーん、名、実用的すぎたんじゃない?」
「真田だし、こういうのじゃないと持ってくれないだろぃ」
「貴様ら何の話だ」


え、嘘。わかってないのこいつ。
三人で顔を見合わせて、それを真田は少し苛立ったように腕を組んだ。


『今日、弦一郎くんの誕生日だよね?』
「む。今日は21日だったか?」
「マジか」
「そんなことだろうと思った」


幸村くんと俺は真田へのプレゼントを投げつけた。毎年こいつ忘れてんな。
投げつけ礼を聞く前に幸村くんと走ってこの場を後にした。

リアクションが気になってちょっと振り返れば、姓が両手の塞がった真田の頬にチューしてた。積極的ぃ!