つり目の生活
me

▽2020/06/18(Thu)

久方振りに、べろべろに酔っ払った恋人が、深夜に帰ってきた。彼はよく酔っ払うと私に「もし男にこうされたらどうする?」と技を掛けてくる。当然、技術も力も段違いだし、抵抗できないような技を使ってくるので、痛みを伴うのだが 私はそれが堪らなく愛おしいと思ってしまう

組み敷かれては、逆に曲がりかけている関節、無理のかかった体勢、重さが身体に掛かってきて、酷く痛む。だけど、その痛みがとてつもなく心地好く、愛を感じる歪み、


私の恋人への耽溺具合と言ったら、常軌を逸したそれであり
狂気の沙汰と言っても過言ではないのかもしれない。

咬まれて、唇を食いちぎられかけて、全身の骨が折れそうなほど抱き締められて、それはそれは激痛に襲われるのだが それすらも愛おしくて快楽へと変わる。
どうせ死ぬのなら、彼に殺されたい。そう願った。

彼の胸に抱かれて死にたいと、


だけどあの人はああ見えて甘えん坊だから、きっと私が先に逝ってしまったら寂しがるだろう。だから、私が彼を遺して先に逝く訳にはいかないのだ

そして思った。何だろうか、この自然な受け入れ方は。今まで、歴代の男達に先に酔われたり寝られたりすると、誠に勝手ながら憤りと興醒めしかなかったのだ。つまらない、何処までもつまらない。
そして面倒臭い。

そんな不快感しか得られなかった筈なのに、どうして虎さんは、虎さんだけは、どれだけ理不尽な事をされても、先に寝られても、痛い目に合わされても愛しい、可愛いとしか思わないのだろう?

酔って潤んだ瞳で、溶けたような顔をして私を見つめる恋人の、何と妖美で甘美なことか。
「でもその手は美しい人を いつか抱くわ」
そんな事になったなら、その手を落としてしまえ。

まるで、水のようだ。
恋人は、水なのだ。透き通った、透明なものがずっと好きだった私に、何の抵抗もなくただただ私の中に吸収されていく、水なのだ。
自分の中のドロドロが、恋人によって潤っていく。心做しか、自分の中すらも少しは透けていっているのではないかと思う、
恋人が、私の中に居る。いつも一緒に居るような、そんな感覚になる、

私の中に恋人が生きている。現実にも恋人は生きている。そして二人で居ると同化していくような、その中でもたっぷりとした透明な液体に、冷たさと生温さを混じえて息をする

こんなにも居心地のいい人というのは、初めてだなぁ。
本当に結婚したい。







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