つり目の生活
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▽2020/06/09(Tue)
愛と穴
恋人が、寝起きに「サメハに浮気された夢を見た」と言った
浮気相手をボコボコにするところだった、と言った時の恋人の顔が、笑いながら言っていたけど、眼が捨てられた子犬の様な目をしていて
ああ、本当にこの人はもし私が浮気をしたらもうダメージを負うくらいにはちゃんと依存してくれていたのだな、と歪んだ愛の受け取り方をした。


昨日はひたすら抱き合って眠って、今朝はゆっくりと起きたのだけど

寝起きの私の口元をひたすら猫みたいにクンクン嗅いでくるので、これまた愛を感じてしまったのだった


そしてその後、何とはなしに、抱き合ったのだけど。


恥ずかしくても、やっぱり眼を見るようにした。やっぱり綺麗な顔で、でも今日はほんの少し目元に余裕のなさがあって、それはそれでとてつもなく扇情的で、相変わらず美しくて、本当にこの人は、と思いながら縋るようにしがみつくので精一杯だった

抱いてもらえるのは、とても嬉しい。


舐めている時、漏れる吐息を聞いていると、こちらもさらに情欲を掻き立てられるので、より奉仕したくなる、


抱かれていると、指の先まで痺れるような、強すぎる快感を得られるので、それが本当に麻薬のようで、何度も何度も求めてしまいたくなるのが唯一の難点だ

浅ましいな、と、自分でも思う。


終わった後、ふと急に思い立って身支度をして、家を飛び出し江古田に行こうと思った。
けど、途中の乗り換えの池袋で、今日は池袋でいいや、とふらつく事にした。
本当にこういうのは衝動的で、私は常に突飛な旅をし出すから、手綱を恋人にはしっかり持っていてもらわなくてはならない。

大学生時代、毎日のように遊んだ街でもあるし、毎日のようにバイトをしていた街でもある。
すっかり庭になった、過去の遊び場だ

電車に乗っていた時から、ずっと考えていた。あ、ピアス開けよう、と
虎さんの好きな色か、誕生石の付いたピアッサーを買って、開けてしまおう。
その為に、まず降りてすぐにサンシャインシティに向かった

ピアスを開けていいかだけの許可を貰って、すぐにピアッサーを購入した。
それから、ほんの少しふらふらと見て回り、その後喫茶店に向かった。
通っていた喫茶店は閉まっていた
私がたまに行く日はいつも閉まっている……

仕方なく、別のチェーン店に行ってみるも、ぐるなびでは分煙と書いてあったのに完全禁煙で渋々入った店だった。が、思いの外シナモンティーが美味しくて、店の雰囲気やインテリアも良かったので、悪くない、と謎の上から目線で店を堪能していた。

何より、BGMが気に入った。

昭和の、バブル時代のディスコで流れているような、そんな曲ばかりが流れていた。
一見、少し厳かな雰囲気の伝統ありそうな喫茶店なのに、ミュージックだけがディスコのそれで、私の今日の衣装も少しレトロなワンピースだったものだから、異常にその場にマッチしてしまっていて思わず笑ってしまった。
昭和と言えば、恋人がまず浮かぶ。私よりも歳下の、バリバリの平成生まれなのに(私も平成生まれだけど)、どうも昭和臭が強い。お互い様なのだけどね、

もし、生まれた時代と出会った時代が共にバブルだったなら、絵に描いたような、歌謡曲にも出てくるような「男と女」であったのだろうか

恋人はとにかくジャケットが似合う。どう説明しよう、と思ったけれど、一番分かりやすいのはシティーハンターのリョウのような感じ。
ガタイが良くてタッパもあり、何より分厚い胸板、素晴らしき胸筋の持ち主だ。

体型も顔も考え方も、好きな曲も昭和。そんな所が堪らなく愛おしい


愛し方は平成寄りかも。


でも、それも好き。


バブル時代にタイムスリップできるのなら、私はボディコンを着てあの頃のヘアーメイクをして、ディスコで恋人と踊ってみたかった。

そんな妄想をしながら、書き物をして、20時目安で帰ると伝えていたので、その時間に合わせて店を出た。


本当に、変わったな、と思う。自分の事を


以前の私は、本当に本当に縛られるのが大嫌いだったから、何時に帰ってくるだの何処に行くだの、そういったことをパートナーに言うだけでも嫌だった。
まして時間通りに帰ってこいなんて言われた日には、ブチ切れて飛び出したものだ。
何故お前なぞに旅を制約されなければならんのだと、狼のようなふんぞり返り具合を見せたものだったし、満足するまで帰らないのが自分の中では当たり前だった。

今日だって、本当はまだ行きたい所も歩きたい道もあったのだ。



それでも、恋人に伝えた時間を守ろうと、また次の機会に、と欲を残してその街を去ることを、苦ではないと思えるのが一番の変化だろう。

そう、苦ではないのだ。全く苦ではない。

名残惜しさはあるものの、腹も立たなければうんざりすることもなく、ただ単純に「恋人が待っているから帰ろう」と思うだけなのである。
「あの」恋人が待っているのだ。帰ろう。急いで帰ろう、帰りに何か買っていこうか、帰ったらピアスを開けるのを見てもらおうとか、そんな事しか考えないで、軽い足取りで家路を急ぐのだから、本当に私は変わってしまった。

帰宅した恋人に、ピアスを開けるよーと言ったら、開ければーと言った調子で返ってきたので、拍子抜けしてしまったが、まぁそれもいいか、とあっという間にがっしょん!と開けてしまったのだった。

ファーストピアスを開けた時、もう少し痛みを感じたものだったはずだが、冷やしも何も無しにぽんと開けてしまったが、無痛に近いくらい痛くなかったので驚いてしまった。

が、息を着く間もなく、鏡を見たら確認したはずなのに裏表が逆になっているではないか。
ああ、失敗だ!と急いで引っこ抜いて、向きを直して入れようとするも、入口の穴は見えるので簡単に刺さるのだが、肝心の出口の穴がまぁ見つからない。

恋人に、通せるかと頼んでみたら、通せると思うよ、と返されたので、お願いしてみた。ら、

「痛かったら言ってね」

と優しい声で言われたのが、何ともこれまた扇情的で、かえって卑猥で、ゾクゾクっと来てしまったのでした。

結局通る事ができず、自分でやることにしたのだけど、最終的に穴が見つからなかったのでニードルの要領で無理矢理穴をこじ開けましたとさ。
恋人に弄られた時や穴を開けた時は痛みはほとんど無かったのに、流石に無理矢理こじ開けるのは痛みが生じた。が、耐えられない程の痛みではなかったし、これはインダストリアルなんかも余裕なのでは?と思った。二個目のピアスホールが完成したら、インダストリアルに挑戦してみようかと思う、


ちなみに、そのピアスの石はアメジスト。恋人の誕生石。
小さくてパッと見は分からないけれど、私と恋人が知ってればいい

また一つ、恋人を表すもので、私を縛った。ペンダントは首輪、スマホはGPS、ピアスは恋人の誕生石が付いているということ、つまりそれは私は恋人の物であるという証だと、個人的に思っている。

首輪は細過ぎて名が書けぬ、なら身体に刻んでしまえばいい。

もし、インダストリアルを開けたら、その軸に恋人のイニシャルでも飾り付けようか。


身体に刻むのは、痛みを伴うからいいのだ。
痛覚は記憶と覚悟になる。

めちゃくちゃ性癖の話をするのであれば、極端な話、外に出ないでいいのなら、頭の先から爪先まで、全て恋人に関わる何かを刻み込んでしまって構わない。

タトゥーでも、ピアスでも、何でもいい。

根性焼きでも、我慢出来る。

それくらい、私はこの人の「物」だと、表す何かを刻む事が幸せだと思える。

だから、死ぬ時は恋人に首をへし折られてもいいんです。
私の頭の中、南無阿弥陀仏。合掌


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