萩と匿人
エンシの前のトレーナーね、匿人。
元は一ノ瀬家にあったコハクで、復元後は実力のあったメイドのサイトーさんに管理を任されててその繋がりで匿人とも関わりがあったし、匿人が外に出るときに連れてってくれてたのもエンシ。
エンシって子供は割と苦手な方だけどそれより面倒見の良さが勝ったの。酷めの環境で育ったし変に子供らしさが薄い匿人のことはまあ変な奴ぐらいの感じで気になってはいて、それからちゃんと関わるようになってほっとけなくなって。そして匿人がエンシに懐いた頃にサイトーさんから匿人のこと託された。
これが匿人が9歳ぐらいの頃。このときエンシは匿人の相棒になって、名前も貰って。けど当時の匿人に名前が大事なものって認識がなかったせいで名付け方が雑で。萩って名前、由来はおはぎなんですよね!ただ匿人がおはぎ好きだったから。ていうか匿人はそのままおはぎって名付けようとしたから流石にキレたけど、匿人が純粋になんでキレられてるのかわかってなさそうだったし全否定しちゃうのは良心が傷んだからせめて萩にしろっつって萩って名前になったの。ということで萩って名前自体に意味はないです
って感じで匿人が家から逃げ出すときに助けたのも萩で。一応家を出るときまではサイトーさんの手持ちってことになってて家抜け出して旅出たときから匿人の手持ちになった。
それから最初は萩は匿人達の保護者みたいになってたけど、年が経つにつれて段々とちゃんと対等な相棒になった。勿論ずっと匿人のことはガキだなと思い続けてはいたけど、元から考え方はしっかりしてた匿人だから対等に接しやすくて。それとこの頃の匿人の手持ちは萩も含めて今と違う6匹で、当時の仲間は今の手持ちよりもっと距離感が近くて馬鹿やれるメンバーだったから、この頃の萩はなんやかんや一番楽しそうに生きてた。他人と深く関わることは面倒くさがる萩だけど匿人と仲間は特別信頼してたし大切に思ってた。それに匿人も同じように旅してた時期が一番幸せそうにしてた時期だから、多分復元されてからのエンシの中でこの時期が一番いい思い出として残ってるんじゃないだろうか。
でもやっぱり楽しい時間は続かなくて。急に話がぶっ飛ぶんだけど、匿人の父親がカルト宗教的な団体立ち上げてる人で、匿人達が旅してる間にその勢力が広がってるのに匿人は気付いてて。それとあるとき父親の団体が神の子の桃瀬の存在を知って利用しようとしてることを知ってしまって。匿人は桃瀬のことを守りたくて、それならのんびり旅なんてしてられなくて、桃瀬と別れて匿人はヴァイスに入って情報収集と父親の団体の妨害をし始めたの。そのとき匿人は14歳。匿人は桃瀬には平和に生きててもらいたいから極力桃瀬に事情を知られないようにしてた。ヴァイスに入ったこと自体は桃瀬にも知らせてて、危険なことに関わらせないために桃瀬自身はヴァイスに入らせなかったけどアジトにはよく入り浸ってて他の団員とも顔馴染みになってる。
それから父親側への妨害を続けてたら、匿人が16歳の頃それが匿人によるものだって父親側にバレちゃって。どうせ世間に出すわけにいかなかった子供だし先に匿人から消すかって判断されて。そのことも匿人は知って、自分が殺される前に団体のトップの父親だけでも殺しとかなきゃって思って。でも相手の勢力がデカすぎて勝てる見込みがない。恐らく出来て相討ちがやっと、なら、もしここで萩だけでも生き残ってくれれば、相討ちって形で父親を殺しても後は萩が桃瀬のこと守ってくれるはず。萩は強いから。それと、大事な相棒にはどうしても生き続けてほしいって気持ちもあって。
そう思って、でもその考えを萩に知られたら怒られるのはわかってるから萩には秘密で対策をし始めるの。そのとき萩側は匿人と他の仲間が隠れて何かやってることはわかってて、だけど自分にだけは頑なに打ち明けようとしてこなくて。それと匿人は父親の団体の情報も萩には全部は回してこなくなってたり、って背景も重なって萩は匿人に対する不信感が募ってしまって。
そんな状態である程度匿人は予想してた通りに父親側の勢力からの襲撃を食らう。そのとき匿人と他の仲間は、それが一番萩が生き残る可能性が高いからと萩を一人にさせた。ただ萩はその意図を知らないから嵌められたのか?アイツらに?って状態で。でもその場ではまず戦うしかなくて、多勢に無勢の状況もあって萩にしては苦戦しつつもなんとか敵を倒し切って、自分を置いていなくなった匿人達を探すの。
そして見つけ出したら、もうそっちも戦闘が終わってて、瀕死も同然と思われる匿人を残して仲間も全員死んでる。そしてその匿人は、萩から見てよりによって今、手持ちの一人を手にかけたのか?と、いうように見える、そんな状況。今までの不信感とその状況が重なって、激昂して匿人に掴みかかる。匿人は抵抗をしなくて。口元だけに無理矢理作った笑みを貼り付けて、手持ちの一人のことも自分が殺した、だってもう必要ないからと言う。萩にとって匿人と仲間は誰より大切で信頼できる相棒で仲間で、その相棒が、仲間が、と感情を抑え切れなくなって、匿人を殴り飛ばしてそのまま匿人の元から姿を消した。その勢いでボールを壊してヴァイスを抜けて、それから仲間を持たず一人で生きるようになった。
実際匿人は勿論仲間のこと必要ないだなんて思ってなくて。萩なら一人でもやってくれると信じて一人で残して、自分は死ぬ覚悟で父親の勢力と戦うけど想像以上に強くて。仲間は自分を守って一人二人と死んでいってしまって。それだけでも匿人の精神は限界なのに、仲間の一人は父親のポケモンに精神干渉を受けて、おかしくされてしまって。なんとか自分が死ぬ前に敵は全員、父親も含めて殺したけれど、最後に残った仲間はもう元の人格を保ててない。敵も味方もわかってなくて、敵が全員いなくなったら今度は匿人に襲いかかってくる状態で。もう意識を失わせるしかない、けれど意識を失わせるにしても体はもう限界で、結局匿人がとどめを刺したことになってしまって。
そうして匿人だけが生き残って、でも匿人だって体も心も限界で、もういっそ自分から死のうかと、そう思ってたところに萩が来て。自暴自棄になってて、自分のことは放っておいてほしくて、あんな言い方をしてしまって。
結局萩に見限られて、自分の手で死ぬ気も失せて、でもこのまま倒れててもすぐ死ねるのはわかってるし身動き取る気もなくて。そのまま死のうと思ってたときにヴァイス側から匿人のことを聞いた桃瀬に見つけてもらえたおかげで命は助けられた。
その後匿人は精神を病んでしまって。アジトの部屋に籠り切りになってしまって。萩は匿人のことなんて考えないで生きるようになる。けれど数ヶ月、数年、時間が経つにつれてあの別れ方は状況が悪かったにせよ冷静な判断力を失っていた自分にも非があったと考えるようになって。匿人に抱いていた疑念を晴らしたいとも思うようになって。それで匿人のことを探し始めるの。ただ当然匿人に関わる人の連絡先はもう一切手元にないし、萩は半ば裏切ったような形でヴァイスを抜けてしまったから直接ヴァイスに関わることもできなくて。仕方なくヴァイスに関わりのありそうな界隈から、少しずつ匿人の情報を集めていくの。
でも匿人は精神的な問題で数年一切動けずにいた。その間何度も死のうとして、あるときから完全に桃瀬を生きる理由にすることにしてなんとか生を繋ぐことはできた。けれどそう簡単に社会復帰できるわけもなく。結局また少しずつ仕事ができるようになったのがSwm!の1、2年前。今は大分まともに動けるようになってきた方だけど実はまだあんまりまともに生きられてるとは言えない状態。そういう状況で、父親を殺したときのことは考えられる状態じゃない。当然萩のことも考えられないし、もし会ったらフラッシュバックしてしまいそうだから会うことも避けている。
という状態が今も続いてます。萩は一人で探し続けることに限界を関して行動に制限はかかるけどハルトの手持ちに入った。匿人は萩、今はエンシがずっと自分のことを探してるのは前から知ってて逃げ続けてる。ただエンシが桃瀬のために必要になるだろうハルトの元についてしまったことでかなり危機感は感じてる。それでも時間の問題かもしれないけど絶対にエンシに見つかることがないようにハルトに干渉してる。
でもこの先やっぱりエンシに見つかるんです。匿人はまあこうなるのは仕方ないと頭では理解しつつやっぱり精神的に現実を受け入れられないのはどうしようもなくて逃げようとするけどもう逃してくれない。エンシはとりあえず一発殴っていいかって言ってぶん殴る。それから二人きりでそのときの話をするの。エンシはもし匿人が自分に対して嫌悪感を抱いててそれで話をしたくないようだったらもう聞き出すつもりはなかったけど、そんな様子ではなく普通にその話をすること自体が上手くできない様子だから、ちゃんと全部話してもらおうとするし上手く話せなくても明らかに様子がおかしいのはわかるから催促せず匿人の言葉を待つ。ただ匿人は後ろめたいことを話すときどうしても茶化して話してしまう癖があるからそれだけは咎める。
それで本当のことを全部聞き出して、不審に感じてた匿人の言動は全部自分のためだったことを知って。匿人は繕うことに関しては器用すぎるけど自分の感情の扱いは不器用すぎてわかりづらくて、でもそれ以上に自分が何も理解しようとしてなかったこともわかって。エンシは当時の自分の感情を打ち明けて、そして謝る。匿人もオレが全部悪かったと言って謝ってくるけど、エンシは謝罪は受け取るけど匿人が全部悪かったというところは頑なに否定し続ける。それとちゃんとテメェはわかりづれェ!もっと自分の感情出せ!あと他人を頼れ!ってこともちゃんと伝える。
そして、これからの話になるの。実は父親の立ち上げた団体は父親の死後一旦落ち着いた勢力がまた復活してて、匿人はヴァイスを離れるわけにいかない。けれどエンシはヴァイスに戻れない。だからもう匿人の手持ちに戻ることは状況的に難しいんだけど。そういう理由もあるけど、エンシは「テメェは強ェからもうオレがいなくてもやってけんだろ。なら今はアイツら(ハルト達)の方がよっぽどオレが必要だ」って、匿人への信頼を理由に自分の意思でハルトの元に残る選択をするの。匿人も「うん、ハルトちゃん達のこと守ってあげて」って、「オレはもう、大丈夫……だと、思う、から」って返すの。エンシはそれに対して濁してんじゃねェって怒るけど。
そうやって和解する。エンシは気まぐれでどっか行くことはあるけど基本常にハルトの元にいるようになって、でも匿人から連絡があったら手助け程度には向かう。あと桃瀬とその相棒の蓮華も旅出る前からの付き合いで特別関わりが深かったからその2人も呼んで4人で焼肉行く。それぐらいの関係に戻る。もう相棒には戻れないけれど、相棒だった頃に近い関係には戻っていく。そういうイメージ。
ここからは細々としたネタばらし。
エンシが首から下げてる指輪。あれは旅してる頃に買ったペアリングで。ただエンシのものじゃなくて、父親の団体からの襲撃を受ける少し前、萩にだけは生き続けてもらいたいって考えて計画し始めた頃にお守りとして持たされた匿人のもので。でも萩としては突然あげるっつって渡されて意図が読めなくて、まあ元々コイツの考えてることはよくわかんねェかと思って受け取って、でも二つもいらねェっつって自分のは匿人に渡してた。
それから縁切ったときに一度はそれを捨てようとしたけどなんかわからないけどこれだけは捨てられなくて、女々しいなと思いつつ仕舞い込んでて。その後指輪の存在も忘れてたけど匿人を探すようになってしばらくしてふと思い出して、気休めのお守り程度にはなるかと思ってつけようとして、エンシの指には合わなかったからチェーンを通して首から下げることにした。
匿人もエンシの指輪は持ってるけどこっちは見たら思い出しちゃうからって理由で同じように仕舞い込んでた。
和解してからはまあまた交換し直してもいいんだけどなんとなくそのまま相手のを持ち続けてる。エンシはそのまま首から下げてて、匿人はちょっと大きいから親指にするようになる。
頸の傷痕。これはエンシがヴァイスを抜けたときのもの。ヴァイスって入るとき頸に機械埋め込まれるんですけど、それにGPSとかついてて面倒だから自分で抉り取った。埋め込まれてるって言ってもピアスぐらいの感じで表面に見える形でついてるので抉り取ってもそこまで傷は深すぎないかなぐらい。
あとは廻達との関わりはヴァイスにいたからで。
「前のトレーナーが名前をコロコロ変える人だった」は職業柄偽名を使うことが多いからでハルトに匿人の名前を出さなかったのも今どんな名前を使ってるかわからないから。実際気まぐれでハルトには本名名乗ってたから本名言えば一発だったけど。そこはまさか匿人はハルトっていう一般トレーナーに関わりがあるような世界で生きてる人間じゃないと思い込んでハルトに話をしてなかったエンシの落ち度です。エンシは裏社会ばっかり探してた。
ハルトに名前をもらいたかったのは由来がダサい名前だったからもしもうちょいマシな名前がもらえるならそっちの方がいいかなと思ったから。
今の匿人には相棒って立ち位置の手持ちはいないけど、それは匿人にとっての相棒は萩でしかないからで。ついでに空飛べる子も子供の頃からずっとその役目は萩のものだったからなんとなく手持ちに入れたくなくて入れてない。手間はかかるけど今はヴァイスの公用ポケモンを借りたり桃瀬に借りたりしてる。
少し話はズレるけど仲間が全員死んだり縁切られたりしてから匿人は仲間という存在を作るのが怖くなってて、今の手持ちは主人と使われるポケモンって距離感を守ってる。ブイズパなのもあくまで手持ちはコレクションで自分はコレクションのために種族を選ぶトレーナーだって思い込みたいから。