寝落ち動画
ピンポーンと早朝にチャイムが鳴ってドアホンを確認すれば見慣れた人影が映っていたのでエントランスのロックを解除して招き入れる。ドアホン越しに見てもだいぶくたびれていたが大丈夫だろうかと考えながらニュースに耳を傾けお茶を一口飲んだ。そしてもう一度来客を告げるチャイムがなったので玄関へと迎えに行けば彼女は疲れた顔でヘラりと笑った。
「おはよう、レトさん。早朝に、ごめんなさい。」
「おはよう、糺ちゃん。お仕事お疲れ様。とりあえず中に入って。」
「お邪魔します。」
ヨレヨレの糺ちゃんから予想以上に重たい荷物を受け取ってとりあえずリビングへと置いておく。その間に糺ちゃんは「疲れたあ」と言ってソファに寝っ転がった。
「こら!そんな事してたら寝てまうよ?」
「うん。」
「湯船にお湯張っておいたからお風呂入りな?」
「う、ん……、」
「こーら!寝るな!起きて!」
「……、」
うつらうつらと眠気と戦ってはいるものの既に負けそうになっている糺ちゃんをどうにかして起こし、奴らがくる前に覚醒させなければならない。しかし今の状態でお風呂に入れたらそのままお風呂で寝そうで怖い気持ちもあり流石に風呂場まで連れて行くという強硬手段に出るわけにはいかずひたすら声を変え続ける。
「糺ちゃーん!起きてー!糺ちゃん!天赦ー!はよせんと、うっしー達くるで!」
「……う、し?」
「せやで。うっしー来ちゃうよ?いいの?」
「……それはダメ……。」
そう言ってゆったりとした動作で起き上がり目を擦る糺ちゃんはThe•恋する乙女という感じがして呆れ半分感心半分という心境になった。その後、糺ちゃんがもそもそと鞄を漁り始めたので俺は風呂場へ向かいタオルを準備する。
「お風呂で寝んといてよ?俺、キヨくんみたいに突撃しないからね?」
「ふふふ、キヨもさすがにそこまではしないよ。」
「(この間してていたような……?)」
「ちゃんと、服きたか〜って確認してくれるよ。大丈夫。」
「とにかく!お風呂で寝んといてな?」
「あ〜い!」
***
なんとか全員が揃う前に糺ちゃんは身支度を整えることに成功したが眠さを我慢しているのか表情が酷く全員に帰れと言われたが「この日のために仕事してきたのに!」と帰る気がないため無理はしないという約束を取り付けて動画を撮ることにした。
「あれ?天赦何飲んでんの?」
「ガン決まりコーヒー。」
「ふふふ、」
「天赦ちゃん、そのネタ好きだよねぇ。」
「天赦、ブラックコーヒー飲めたの?いつもココアか紅茶じゃん。」
「……飲めない……美味しくないぃぃ……でも飲む!」
「なんで?」
「あー、ほら、今日夜勤明けだから寝ないように、ね。」
「だから帰りなって言ったのに。」
「この日のために仕事頑張ったんだから癒しを奪わないでください。お願いします。死にます。あと夜勤は緊急で入ったから本当は休みだったはずなんだよ。だから大丈夫。」
「早口過ぎて何言ってるか分かんなかったんだけど!」
「天赦ちゃんほんま無理だけはしないでね?」
「はあい。」
うっしのー横に座っている糺ちゃんは返事と一緒に元気よく手をあげる。その姿、カメラに映ってませんけどという言葉は飲み込んで一つ目のゲームに取り掛かる。実況は人数分とる予定のため五回何かしらのゲームをするが果たして糺ちゃんはいつまで起きていれるだろうか。
「天赦ちゃんが寝ないうちに、とりあえずやっていこ!」
***
【4人実況】この中に寝そうな人がいます!
rtrt
00:08~ 天赦「ガン決まりコーヒー」
00:15~ 早口天赦
kyyyyyynk
天赦ちゃん夜勤明けなのに撮ってるのすごい元気だなって思ったけど言動がはちゃめちゃで頭働いてないのよくわかるwww
ushnt
時折天赦に「起きてる?」とか「大丈夫?」とか聞いてるTOP4可愛いし優しい………好き……
***
【5人】俺の時もこんなんだったのかな【安藤ケンサク】
kyrtusgt
00:23~
天「カーチコチカチ♪カーチコチカチ♪カーチコチカチ♪あーんどうけんさくっ!」
牛「あーんどうけんさくぅ!」
仲良しかな?
toplove
10:00~ 天ちゃんの眠気が限界なのか質問に対して支離滅裂に答えてて笑うwww可愛いwww
usaz
13:16~
牛「あぶねえ!」
レ「なに!?」
ガ「あー……」
キ「天赦、寝たな?」
牛「なんで誰もいない方に倒れそうになるんだよ……危ないから俺の方に倒れてくれ……。まじでビビったわ……。」
牛イケメンか?
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