カキーン!


よく晴れ渡った空に音が木霊した。
空へと放たれた野球ボールはスタンドへと勢いよく吸い込まれて落ちた。
その様子を一人の少女が眺めていた。



私は口をポカンと開けて、さも間抜けそうな顔をしていたに違いない。
だって、武がまたあんな遠くまで飛ばしちゃうんだもの!
私は武の試合の度に、観に来ている。そうして、彼の活躍ぶりを見て感心するのだ。
クラスの違う私は、小学生の頃よりもずっと話す機会が減った。だから、少しでも武を見ていたくて、幼なじみの私は試合を観に来ているのだ。
そうすれば、次に会ったときに試合のことが話せるでしょ?



試合は武のおかげか、並中の勝利。いつだって彼は、仲間の中心にいて、喜びを分かち合う。この光景を羨ましく思う私は何か欠けたのかもしれない。もしくは、嫉妬なのかな……。
彼と喜びを分かち合ったりしたのはいつが最後なのかも分からないくらい昔になってしまったらしい。

「…ふふふ。」

自嘲ぎみな笑い声が音になってでた。どうやら私は、武がいないと不安定になるらしい。
とても、とても弱くて脆いのね。
さすがに家に帰ろうとしたその時だった。声を掛けられたのは。

「名前来てたのか!」
「あ、武……」
「これからメンバーと一緒に帰るんだけど、一緒に行かね?」
「え、邪魔じゃない?」
「んー、大丈夫だって!ほら、行くぜ」
「え!?」

手を握られて、引っ張られるように私は野球部の人たちがいる場所へ連れてこられた。
恥ずかしい。手を握られたままなのだ、私は。武は何にも考えてないんだろうけど、私は人目を気にして、顔を上げることができない。そんな中、彼は話はじめる。


「あ、俺の幼なじみも一緒でいいか?名前って言うんだけどな!」

何勝手に私の自己紹介しちゃってるの!?これじゃあ、私からもちゃんと言わなきゃじゃないの…。野球部の人たちは私をジッとみているが分かる。武に背中をトンと叩かれ、顔を上げた。

「幼なじみの##NAME1####NAME2##です………あの、邪魔だったら一人d…「邪魔じゃねーから、早く行こうぜ。」

以外な一言に私は面食らってしまった。しかもその後に周りのメンバーが、むしろ俺らのほうが邪魔じゃね?とか言い出して、賑やかに。武には、な、大丈夫だろって笑われた。
彼の仲間はとても優しい。
きっと武がみんなを朗らかにしちゃったのかなー、なんて思ったり。勝手な自己解釈。


武は私に楽しいひとときをくれた。そらは夕焼けが近づいていた。



帰り道には、私と武の2人だけ。



「今日もすごかったね!ほんと、びっくりしちゃった。」
「ん?今日も?」
「うん…いつも観に来ているよ」
「じゃあ、今度からは練習もみてろよ。頑張るからな!」
「ふふ、そうする」



2人を包み込むのは柔らかな光だった。
今日から明日へと――