※十年後

ツナくん、ツナくん。そう呼んで、まだ頼りなさげな君を追いかけていたのは十年も前のことで、今ではツナくんは立派なマフィア・ボンゴレのボスだ。あの時はまさかツナくんがマフィアのボスになるなんて思わなかった。何よりもツナくんはボスになりたくないってずっと言っていたんだもん。


「ツナくん」
「どうしたの名前」
「ツナくんはなんでボスになろうと思ったの?わたしはツナくんは最後まで拒否すると思ってた」


いつだってツナくんは眉間に皺を寄せて戦っていた。今だってそうだ。いつだってツナくんは優しい人だ。マフィアっていう黒々とした業が蔓延る場所に行くなんて、ツナくんは大丈夫なの?


「俺さ、みんなを守りたかったんだ。みんなを守るには俺がボスになるしかなかった」
「他に道はなかったの?」
「一番、守れると思った…名前はそんな俺が許せる?」
「うん…ツナくんが色々考えてだした答えだもん」
「ありがとう」


ありがとうと言ったツナくんの顔は悲しそうな顔をしていた。そんなに悲しい顔しないで。わたしまで悲しくなってきちゃうよ。ツナくんはあの優しい笑顔でいて、みんなを包み込んでよ。


「名前?どうしたの?」
「え、?」
「泣いてる」


ソファに座っていたツナくんは少し腰を浮かせてあい向かいになっているわたしの涙を指ですくって拭う。涙が出ていたことに気づかなかった。
わたしはツナくんが変わらないでいて欲しいと思っていた。そんなことは有り得ないのに。昔からツナくんが変わっていく度にわたしは何かが崩れていくのを感じていた。きっと頭の奥底にツナくんが離れないでと思っていたのだ。そんなことはないのに。
ツナくんに嫌われたくない。幼いわたしはいつもそんなことを考えていた。増えていく仲間はみんないい人ばかりで、わたしなんか必要ないんじゃないか。それくらい思ったこともある。


「ツナくん、」
「ずっとそばにいるよ」
「わたしもずっとツナくんのそばにいたい」


ツナくんはいつだってわたしのそばにいてくれた。どんなに月日が経ったってツナくんはわたしの大切な人。ずっとずっとツナくんが好きだよ。


「好きだよツナくん」
「うん」
「いつだってわたしの一番はツナくんなんだよ」
「俺だって、名前が一番なんだから」
「本当に?」

ちょっと照れてそっぽ向いたツナくんが可愛かった。


20110703