この屋敷は広いくせに静かだ。この屋敷は暗い。見た目も雰囲気もだ。けれども、私はそんなところが気に入っている。ここはボンゴレが誇る独立暗殺部隊ヴァリアーの屋敷である。それにこの屋敷の一部はとても騒がしいのだ。談話室に行けばすぐにわかる。幹部が勢揃いして、いつも通りに様々なものが飛び交っている。主に攻撃しているのはボスのザンザス、受けているのは作戦隊長のS・スクアーロ。本当にいつも通りである。そして私は、攻撃を受けたスクアーロの擦り傷や切り傷を手当てするのだ。ボスがひとしきり終えるのを見届け、私はスクアーロの腕を引っ張っていく。また、軽い傷を負ったのだ。だいたいスクアーロくらいの暗殺者ならボスの投げるあれやこれやをよけられるのでは?とも思うが聞いたことはない。それに避けたらボスが余計に怒りだしそうで怖い。
ずるずると外にある広間に引っ張り出す。既にそこには談話室に入る前にスタンバイしておいた救急箱がある。スクアーロをふかふかのソファに座らせて治療を始める。スクアーロの不機嫌そうにした顔に容赦なく消毒液をしみこませた脱脂綿を押し付ける。顔をしかめる。

「避けないからそうなるんだからね」
「…………」

スクアーロは余計に眉間に皺を寄せて怖い顔をする。おお怖い。子供がいたら絶対に近寄ってこないね。

「ごめんてば。そんなに怒らなくたっていいじゃない……って、うわ」

スクアーロに髪の毛をぐしゃぐしゃにされる。ああもう、直すの大変じゃない。酷いじゃない。


「テメェはバカだ」
「ちょ、私はバカじゃない!」
「ちげぇ!…………はあ」
「何が違うのよ……」
「避けたらお前に当たるんだよ」

そう言って彼はそっぽ向いてしまった。 ややあって私は理解する。守ってくれたんだって。でも、私だってヴァリアーの一員なんだから避けられる。

「当たんないもん」
「……俺がやなんだよ……つうかこんなこといわせなぁ……」

ずっとそっぽむいたまま話す彼だが、顔が赤いのが少し見える。私がくすくす笑い出すと、大きな手が私の顔を、目元を包む。それでも私は笑うのを止められなくて、にこにこしてて心もぽかぽかしちゃって落ち着いちゃうのだ。


20120228