わたしはそれはひとつの大きなテディベアを両手いっぱいに抱えていた。テディベアは直属の上司からもらったもので、もふもふしていて気持ちいい。
「鬼男さんありがとうございます!」
「テディベア好きだよな」
「はい!」
だって可愛いじゃないですか。それに、抱きかかえていると落ち着くし、落ち込んだ時には慰めになるしいいこと尽くしなんです!そうわたしが鬼男さんに力説すれば、少し疲れたような瞳とかち合った。あ、鬼男さんわたしと話していて休憩を取っていない。
「鬼男さん、休憩してください」
「大丈夫だから」
「駄目です!倒れたら誰が鬼男さんの変わりをするんですか?大王さまの秘書の変わりなんてできないんですよ!」
「わかった、わかった。だけど名前も休憩入った方がいい」
「わたしの方は平気です!それに今、鬼男さんがテディベアくれたから回復ですっ」
そう言ってにこりとすれば鬼男さんは顔をくしゃりとさせて笑った。うっ。素敵すぎる笑顔。あれは反則ですよ鬼男さん。
それから鬼男さんはわたしを引っ張った。え!?い、今わたし、鬼男さんに抱きしめられている……?そう理解したとたんから急に顔が、体が火照る。
「名前……」
「は、はい!」
「かわいいな」
「え、……えぇ!!?」
「そういうところが可愛い」
くすっと笑ってすっと離れた鬼男さんはわたしを置いてすたすたと歩いていく。あ。休憩していないですよ、鬼男さん!走っていくと鬼男さんはもう休憩時間終わっちゃったからと言って、裁きの間に行ってしまう。
「名前仕事終わったら待ってて」
「何でですか?」
「送っていくよ」
裁きの間の扉の目の前で鬼男さんは言う。鬼男さんはわたしの頭を一撫でして入っていってしまった。とりあえずわたしは彼のために休憩の時間にお菓子を作ってみようと思う。
20110215