※学パロ

「マジで追いかけてこないでくださいィィィィイ!!」
「シャイだなあ」
「閻魔先輩なんか大嫌いです!ほんとに止めて下さい!」
「そんな名前ちゃんも俺は好きだよ☆」


本当におぞましい限りだ。毎日毎日飽きもせずにわたしを追いかけてきて、公衆の面前で告白まがいなことをしてきて。わたしはとんだ変態に好かれたようだ。

「気持ち悪いんですよォォォオ!!!」
「んー?俺がかっこいいって?やだなぁ名前ちゃんたらあ」
「アンタの耳どうなってんですかぁー!?それともあれか、脳内変換なのかっ!」

速度を変えずに廊下を、階段を駆け抜けるわたしと閻魔先輩。昼休み、放課後と毎日のように走っている。閻魔先輩がわたしのクラスを訪れたのが合図なのかのように、始まるそれはわたしが先輩をまくのか、先輩が諦めるまで続く。捕まったことはない。先輩のおかげで持久力がついたのは言うまでもない。
階段をひとつ飛ばしで下る。これが終われば玄関、校庭へと続く廊下に出る。
 しかし――

「きゃっ……!?」
「名前ちゃんっ!」

階段で足を滑らした。だけどどこも体を打っていなくて、変わりに閻魔先輩に引っ張られて、がっちりと抱きしめられていた。

「大丈夫?」
「え、あ、はい……大丈夫です……」

ドキドキとしているのは危うく滑り落ちそうになったのが原因だと思いたい。決して閻魔先輩がかっこよくて不覚にもときめいたのではなくて。

「――よかったあ」
「?」
「名前ちゃんが死んじゃうかと思ったよ。ほんとに、俺心臓止まるかと思った」

不意に言い出した閻魔先輩は、それは恋人に言うような台詞なんじゃないですか?って言うような内容の台詞だった。
それも、ほんとに真剣そうに言うからわたしの心臓が口から出てしまいそうだし、体温が上がるような気がしてならない。

「でもさ」

俺、思ったことがあってさ。

「名前ちゃんって抱き心地抜群だよね!」
「――っ、こんのっ!変態!!閻魔先輩なんか大嫌いです!もう近づかないでください」
「そんなぁー」

こんな変態に好かれている自分が嫌だ。だけど、さっきの本当に安心しきった顔を思い出すたびに、顔が火照るのを感じる。あんなので惚れたなんてわたしは信じない。顔がきれいでかっこいいのは認める。だけど、有り得ない。

「やっぱり閻魔先輩なんか大嫌いですっ!!」

閻魔先輩を突き飛ばしてわたしは階段を駆け降りた。閻魔先輩は追いかけて来なかった。
茫然とその場で立ち尽くしていたなんて、わたしは知らない。


20110131