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トキヤの気分は今、最高に悪いと言っても過言ではない。影武者だと言われたときこの先何が待っているのかはなんとなく予想できていたし、元から拒否という選択肢はなかったこともあり様々な覚悟はしたのだが、こちらの方の覚悟はできていなかった。
「案外、似合ってるぜ…?」
「うむ。特に違和感は見受けられません」
女物の着物を身にまとい、顔には薄くお化粧もしてある。頭には綺麗な簪が揺れており、トキヤは所謂女装をしているのであった。
「まあ本物の姫さんと比べたら男だなって気もするけど…普通に見てる分にはあんまり違和感ないぜ」
「……先ほどから慰めですか? まったく嬉しくありませんよ」
女性の振る舞いも身につけなければなりませんね、とトキヤが慣れない動作でその場に正座をする。真影と翔ノ助も、では俺たちもそろそろ、と言いトキヤの前で片膝をついた。
「……いきなりなにを」
困惑するトキヤに向かって、頭を垂れる。
「おトキ様の護衛につきます、早乙女流忍、真影でございます」
「同じく翔ノ助。この命に代えましても、おトキ様を守りぬくと誓います」
ぽかんとその言葉を聞いていたトキヤだったが、そういえばそうでしたねと笑って膝の前に手をついた。
「こちらこそ、頼りにしていますよ。よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げるも、途中で先ほどの言葉を思い出して途中でふふ、と笑ってしまう。
「おトキ様……ですか」
普段からトキヤは大きな声を出して笑ったりはしないが、それでも今もできるだけ女性らしくと心がけているからか満足に笑えないトキヤの姿を見て2人はなんだか悔しくなり、けれど逆にこの状況でもトキヤが笑っていられるということが嬉しくもあった。