可愛さあまって押し倒す



スザクが目を開けると、視界に入ったのは見慣れた天井だった。ここがどこなのかははっきりと分かったのだが、どうしてここにいるのかはさっぱり分からない。ここに至るまでの経緯がまったく思い出せない。そしてもうひとつ、スザクには気になることがあった。
(……体、が)
目を開けた時から感じていた違和感。体を起こそうとすると同時にミシリ、という音が聞こえて阻まれる。一纏めにされて頭上でくくられた両腕は、ベッドに繋ぎ止められていた。一体なにがどうなっているのだろう、とりあえずこの部屋の主の名前を呼ぼうとしたその時、ベッドが沈んだ。
「起きたか?」
アメジストの瞳を細めて微笑むのはこの部屋の主、ルルーシュだ。
「ルルーシュ、これはいったい……?」
スザクは両手を動かしてミシミシとわざと音を立てる。
「お前にはいつもいいようにされているからな……仕返しだ」
ルルーシュはそう言うと、スザクの唇に人差し指をむに、と押し付けた。指はそのまま下へと動き、鎖骨、そして臍の上を滑る。
「悪いようにはしない、気持ちよくなるだけだ」
ぴくりとスザクの体が反応するのを見てルルーシュはくすりと笑う。指はそのまま下半身へと動き、股間を円を描くようにして撫であげる。
「俺がいつもしてもらってるように、な」
ルルーシュは妖艶に笑ったまま、スザクの足の間に移動してスザクを見下ろした。。ドクンとスザクの鼓動が高鳴り、下半身が熱を持つのが分かる。ルルーシュは少しだけ兆しを見せたそれに一瞬驚いたような表情をしたが、すぐに口元に笑みを戻した。普段でさえも色気を纏うルルーシュが、こんなにもあからさまに欲情した表情で見下ろしてくるのはスザクにとって想像以上の光景だった。
「まだ何もしてないのに」
股間を撫でていたルルーシュの指がベルトを外そうと動く。しかしそれより早くスザクの足が動いた。
「ほわっ!?」
がしりとルルーシュの腰に両足を絡めてそのまま力をかける。突然のことにバランスを崩したルルーシュは、簡単にスザクの上に倒れてきた。
「い、いきなりなんだ!」
「もう我慢できないよ、ルルーシュ」
スザクは首を動かして、ちゅ、とルルーシュの唇にキスをする。
「君のやりたいようにさせようと思ったんだけど……そんなに色っぽく誘われちゃさすがに我慢できないよ」
「スザク……?」
にこり、スザクは笑った。ルルーシュはひくりと頬を引きつらせた。何やらスザクの頭上からミシミシと音がするのだ。
「……まさか」
「これはルルーシュが縛ってくれたのかな。僕を気遣って痕が残らないようにしてくれたの?」
ミシリ、縄が一際大きな音を放ったところで、ひとつに纏められていたスザクの腕が自由になる。
「もう少し強くしてくれても大丈夫だよ。次からの参考にしてね」
そしてスザクは素早くルルーシュと体勢を入れ替える。スザクの足に絡められて動けなかったルルーシュは、そのままスザクに押し倒された。
「スザク、落ち着け、待て」
「もう待てない」
スザクの胸板を押すルルーシュの手を掴んで、先程まで自分の体を撫でていた人差し指にキスをする。
「また次の機会に可愛がられるとするよ。今日は僕が可愛がるって決めた」
「スザ、」
スザクは文句を言われる前にルルーシュの唇を塞いだ。