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A girl who was loved by God


私side


「すま、ない、」


あ゙ああ゙ぁ゙ぁあ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ何で何で何でどうしてどうしてどうしてなの?どうして私ばっかり私ばっかり私ばっかり私ばっかり私ばっかり私が何をしたのねえ貴方に私が何をしたの教えてよどうして私ばっかりにこんな目に遭わせるのオカシイでしょこんなのオカシイよねえ何で何で何で何で大切だったのに大好きだったのに愛してたのにどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして何故何故何故何故何故何故何故何故何故


『何故殺した!!!』
「ッ、すまない…」


「すまない」じゃないでしょ何で殺したのよ謝るくらいなら初めから殺さないでよ私から皆を奪わないでよねえどうして殺したの私が貴方に何かしたの貴方の機嫌を損ねる様な事したの罰が当たる様な事したのねえ答えてよねえねえねえねえ私の大大大好きな皆を返してよ


『皆を…返せぇぇええ!!』
「……ッ、」


*****


私は裕福で、誰もが羨む様な幸せな家に生まれた。

容姿端麗で頼りになる父親。
美しくそして優しい母親。
父親似の顔を持つ誠実な兄。
活発で少し男勝りだけど慈愛に満ちた姉。
我が儘な所もあるけど母親に似て優しい心を持つ妹。
まだ幼く立つ事すらままならないが皆が構えば愛らしい笑顔を見せる弟。
そして、政略結婚と言ったら聞こえが悪いがその対象になった私、の婚約者。彼はとても聡明で、真面目で、誠実で。彼は私を純粋に愛してくれた。だから私も彼を愛した。彼の両親もまた、私に良くしてくれた。私を本当の娘の様に可愛がってくれた。

幸せだった。
とても、幸せだった、のに。


じわり、じわりと。
それは崩れ去った。


最初は、幼い頃から可愛がっていた犬だった。兄妹の一員でもあった飼い犬は、ある日突然原因不明の病で死んだ。私が小さい時から一緒だった為、寿命という事で話はついた。

飼い犬が死んでから2年後、父方の祖父母と母方の祖父母、合わせて4人が亡くなった。原因は急性アルコール中毒、脳梗塞、心筋梗塞、脳卒中、と見事にバラバラ。更に4人はある日突然、同時に倒れたとの事。普通ならば有り得ない出来事だった。

その又2年後には私の両親が飛行機事故で、更に2年後には私の兄弟姉妹が連続殺人犯に。立て続けに亡くなった。

そしてまた2年が経ち。

私の最も愛する彼が、私を庇ってトラックに轢かれた。

信号無視のトラックが迫り危険を感じた。
衝撃と何かに力強く包まれるのを感じた。
生暖かい液体を体中に浴びるのを感じた。
彼が私を抱き締めているのを感じた。
彼が荒い息をしているのを感じた。
彼の体温がなくなって行くのを感じた。
彼の私を抱く力が緩くなって行くのを感じた。
私の頭が真っ白になるのを感じた。
私の頬に何か冷たい物が伝うのを感じた。

彼の鼓動が消えるのを、感じ、た。


私は廃人になった。

彼のご両親は、彼が亡くなった原因でもあるのにも拘わらず私を甲斐甲斐しく看病してくれた。でも私はそれを拒絶した。何故なら両親、兄弟姉妹、そして彼の葬式の時、私を気遣ってくれた人が、私に援助を申し出てくれた人が、全員亡くなったからだ。私は悟った。自分は疫病神なのだと。だからせめて、彼のご両親だけでも。でもその抗いも意味を為す事は無く。彼のご両親も又、交通事故で亡くなった。


『嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌ぁぁあ!!』


何故ですか。
何故、私だけ。
私が、一体、何を───……

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