なんて醜いグラン・ギニョール
だが神にとっても世界は残酷で。
神の住まう世界、神界。その、世界の創造主としての威厳と誇りで満ち溢れた場所で、一人の神が謀反を起こす。これが発端で暴動が勃発、神界は一瞬にして混乱に陥った。神界に於ける司法警察機関のトップに君臨していたジャッジメントは全員死亡。服役中の罪人は殆どが逃亡。転生待ちの死者は多くが殫亡。見張りを失い、均衡を保てなくなった世界は全て滅亡。
空前絶後。
干戈騒乱。
喧々囂々。
阿鼻叫喚。
絶体絶命。
危急存亡。
そんな四字熟語ばかりが頭を過ぎる中。一人の男はピクリとも動かない少女を抱え、焦りと不安の表情を浮かべながら地獄絵図の神界を駆け抜ける。逃げ惑う神界人達の波に逆らうように、男はひたすら走った。走り、走り、時に躓き、少女を気遣い、走り。そうして辿り着いたその場所へ、男は意を決して入って行った。
その男は嘗て「神」と呼ばれた存在だった。
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グラン・ギニョール…殺人や暴行などを扱ったセンセーショナルな芝居
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