Main

Opening


やあ、久し振り。調子はどうだ?


───え?つまらない?

理由を訊かせて貰いたいな。
俺はお前に輪廻(ループ)という絶大且つ偉大なる力を授けたんだが。それの何が不満だと言うのか?感謝される謂れはあれど文句を言われるのは解せないな。


───ふむ。そういう事か。

だが別にいいじゃないかそれで。
もう一度言うが、何が不満なんだ?「いつも同じ結末」。それでいいだろう?その結末(エンディング)は所謂大団円(ハッピーエンド)なのだから。実に贅沢な悩みだな。お前が望んだのはその結末なんだろう?同じ結末を何度も繰り返せばいい。大団円を繰り返せるんだ、幸せな事だろう?


───過程(ストーリー)が皆同じなのが気に入らない?

我が儘だな。
輪廻の次は分岐か。パラレルワールドが欲しいと(のたま)うか、全く……。まあ確かに、お前が繰り返す世界はいつも同じ事が起こり、いつも同じ奴が死ぬ。それで「つまらない」か。傲慢な事だ。


───だが、まあ…一理あり、か。

いいだろう。
お前のその願い、叶えよう。だがそれには相応の対価が必要だ。


───わかっているだろう?

そうだ、輪廻だ。
その力と引き換えに、お前にパラレルワールドを与えよう。丁度此方にこれから転生する魂が二人いる。お前の世界を知る者だ。この二人を其方に送ろう。彼らの存在は今までのお前の世界にはなかったもの。彼らと協力し、新たな結末を造るといい。お前の望む過程で。お前の好きに、造るがいいさ。これで文句はないか?


───そうか。

なら楽しむといい、俺も楽しむから。
見物料を取ると言うなら彼らの援助くらいなら申し出よう。間違ってもお前の援助ではないからな?その二人は俺のお気に入りでね。俺の期待に唯一答えた者達だ……まあ元々特別(・・)なんだが。無碍(むげ)に扱ったら職権濫用するから精々気を付けろ。


───それじゃあ、最初で最後のパラレルワールドだ。
途中離脱もあり。


輪廻と引き換えに。

新しい過程を造り。
新しい結末を、心行くまで──


*****


神と116年の人生を繰り返すとある賢人の対談


- 2 -
prev|next