05

時は遡る事、数ヶ月前。

「ビックジュエルをくれてやる。だから、あの無能な姫を追放してくれ」とあの伯爵から依頼を受けた。

怪盗は盗みを繰り返している。
だけど、人を追い出すような事は出来ない。ただ、この依頼をしてきた国。王族には、ビックジュエルがあることは知っていた。手に入れられる事は出来ないと言われている宝石は渡す事が出来るのは、なぜだ?伯爵から依頼を受けた後、爺と共に調べ尽くした。不思議な事に公に公開されている王族の記事にはあの伯爵の名前が必ずあった。

確信はなかった。
でも、確実伯爵は何かを隠していると思った俺はチサ皇女に近づいた。

チサ皇女は、皇位継承の儀が行われる前に一度極秘で来日されていた。
それも俺と縁深い鈴木次郎吉の元へ訪れた。もちろん、中森警部もいたから前日に青子の家に行って警備情報をお集めていたから安安と忍びこめた。

御伽話にできるような会場に俺は思わず「すげぇ」と溢すと隣でクスッと小さく笑う声が聞こえた。「し、失礼しました!」と笑った相手に謝ると「いえ、本当に素敵な場を設けていただけて光栄です」と表情を微動だにせず、そうチサ皇女は言った。その後、鈴木次郎吉に呼ばれて別の場所へと足を進めた。皇女は、確か今年で一六歳…年相応な女の子なら少しは表情を変えてもおかしくない。違和感も抱きながら俺は、視察を続けた。


その後、「少し、休憩とするかのう」と相談役が言って、応接間に俺らも通した。


「ここでは、チサ皇女と対談を望んでいる者を遠そうと思っているが、どうかのう?」
「嬉しいです。こんな素敵な場を設けて頂けて本当に頭が上がりません」
「喜んでもらえてよかったわ!」

相談役と会話をしている間にチサ皇女の護衛騎士が数名部屋から出ていくのが見えた。「気になりますか?」と目を向けていた俺へ声をかけてきた。

「は、はい。護衛騎士が無断で皇女様離れるのは如何なものと思うまして…って、すみません!」

一度抱いてしまった違和感が消えないからと何目立つ行動とっているんだ。「さすが、侍の心得でしようか?」とチサ皇女は驚いた顔で中森警部と問う。中森警部も日本警察が誉めれて鼻高々に話し始めた。中森警部の話を聞き流しながらチサ皇女が顔色を変えた事に驚いて彼女を見ていると、目が合った。写真で良く見たあの微笑みを俺に向けて、また警部達へ視線を戻した。

会場内の視察が終わるとチサ皇女は鈴木財閥が用意したホテルへと送り込まれた。

「御坊ちゃま、我々もそろそろ帰りましょうか?」
「なぁ、爺。皇女様にあってどう思った?」
「そうですね…記録されてた記事や記述と異なり、物静かな印象がありますね。緊張されていたでしょうか?」
「それもあるだろうけど…」

護衛騎士が勝手に離れて事もそうだけど、チサ皇女は騎士が離れた時だけ表情が豊かになっていた。護衛騎士は普段から側にいるはずなのに…「悪リィ、先もどっててくれ」と俺はホテルへ忍び込んだ。


確か最上階だったな…あった!あった…あそこがチサ皇女がいる部屋……おかしいな。護衛騎士たちは部屋の前に配置されておらず、扉に耳をつけても中から何も音がしない。ホテルマンの格好をしているから、ドアを堂々とノックした。
すると、ノックしたドアの隣のドアが勢いよく開き護衛騎士が「何か様ですか?」と俺を睨みつけた。ノックしたドアが開き、目を大きく見開いた後に、表情を戻して「お入りください」と俺を通そうとしたが、護衛騎士がそれを阻止した。

「姫さま!何者かわからないものを部屋に入れてなりません!」
「…部屋で物音がするから怖くて助けて欲しくて彼を呼んだのよ」
「なら、我々が対象致します」
「疲れているのに迷惑じゃないの?」
「構いません!我々にお任せください!」
「なら、お願いするわ…私は彼をエレベーター前までお送りしてくるわね?」
「それも我々がやりますので、そこで待っていてください」
「なら、ここで彼と待っていますね?」

大人しくしてて下さいっと言い残して、護衛騎士が二人チサ皇女の部屋の扉は開けたまま入って行った。向かいの壁にもたれながら待っている時に少しでもチサ皇女から何か聞き出せないかっと考えている時に「あなた、月下の奇術師よね?」と口角を上げ問われた。

「なんのことですか?私はここのホテルに勤めている…「人に変装しているだけでしょう?」…どこでお気づきに?」
「護衛騎士が離れた事に変だと気づいた時よ」
「早ぇな…」
「あの騎士たちは、伯爵に雇われて私の側にいるのよ」

伯爵の名を声に出すと「やっぱりそうだったんだね」とニッコリと心安らげに笑った。
皇族は今も、反逆者に狙われている。けど、狙われていると反逆者へ気づかせてはいけないと、一番能天気な私が残されたんだっと告げた。

「それじゃ、前皇帝様は今どこにいるんだ?」
「…わかんない。でも、執事長がこの計画はお父様がお考えになったっと言っていたの」
「へぇーそれで残された皇女がなぜ日本へ?」

極秘で来日する必要はない。それに中森警部の話だと本来、来日する予定はなかった。「…ふふっ、探偵みたいだね」とまた笑った。

「日本の高校生探偵を探していたの」

日本で王位継承の儀を行ううえで伯爵が薬へ手を出しているから阻止、両親の捜索依頼をしたりするためだった。「工藤新一って、貴方知らない?」と尋ねてきた。良く知ってんぞって言いたいけど、なんだろうな。同じ高校生なのに、あいつは彼女いるくせに、姫さまにも頼られてて、単に俺のプライドが許さない。

「なぁ、チサ皇女。俺と取り引きを行いませんか?」
「伯爵と手を切ってくれるならいいよ?」

「もちろん、そのつもりです」と彼女に跪くと「うわー裏切りだあ」と一切感情を乗せない声でにこやかに歯に噛んだ。

「僕が、貴方の望みを叶えて差し上げます。その暁に…「宝石眼をください」…お察しが良くて助かります。ーいかがですか?」
「ええ、いいわ!でも、本当にあの工藤新一に勝るのかな?」
「勝るも何も、僕が捕まっていないのが他でもない証拠ですよ?」

手をとりソッと忠誠を示そうとした時、護衛騎士が皇女様の部屋から出てきて「疑わしい物は見つかりませんでした」と現れた。バレてないだろうっと目だけ彼女に向けると彼女は楽しげに笑って「迷惑かけてごめんなさい…ありがとう。貴方が居てくれて心強いわ!」と護衛騎士に向かって言った。護衛騎士はご機嫌な皇女に驚くも彼女は部屋入って行った。
9654;︎#NEA land君に奪われた瞳