宝石のティラミス


if or someday's story


*ネタバレ注意 エース・デュースが残念


「マレウスくん、こっちはどうかな」
「僕もそれがいいと思っていた」

ナマエとマレウスは中庭で話し合いをしている。
そもそも、マレウス・ドラコニアといえば畏怖の対象たる人物だ。
そんな彼と、身近で優しいお姉さんであるナマエが一緒にいるらしい。

そんな噂を聞いたユウはエース、デュースと共に中庭に来ていた。

「嘘だ…嘘だろ?ナマエさんがドラコニア先輩とお付き合いしている…?」
「デュースしっかりしろ…まだわからないだろ…俺たちのナマエさんは皆に優しいんだよ…!!」
「でも二人ともお似合いだよね。実力もあって見た目も釣り合ってるし」
「「やめろッ!!!!」」

デュースとエースは自分たちが可愛がられている自覚があった。
優しく話を聞いてくれてたまに美味しいご飯も作ってくれる。
勉強も根気よく付き合ってくれる理想の姉といったところだ。
それは上の弟のやんちゃ具合がどうも似ているから、という理由なのだがそれを知っているのはユウだけである。

「あ、でもこれもいいよ」
「ん?どれだ」

マレウスがナマエの手元を見るためにぴったり横につき、なんだったら太もも同士が触れている。
それに腕を背中から腰に回して見るからにカップル…いや、どちらかというと生まれて来る子供の服を選んでいる若い親のような自然さだとユウは思った。

「…俺はッ俺はナマエさんを信じている…!」
「くそ…認めたくねぇけどこれはっ…」

ユウは無言で二人の肩に慰めるように手を置いた。

「ふふっ、くすぐったい」
「これでか?」
「ふっ、わ、わざとでしょうマレウスくん」
「どうだろうな」

「やめてくれっ…!!」
「見せつけないでくれっ…」
「見なければいいんじゃないかな」

ユウはグリムが何かやらかす前に戻りたいと思っているのに二人は一向に動く気配がない。
しかも制服の裾を握られているせいでくっきりと型が付いていた。

「こっちの方は、この方法で頼むみたい」
「なるほど…」

今度はマレウスの膝に広げてある紙にナマエが何か書き込んでいる。
さっきから何について話しているのだろう。
物凄く真剣に話している訳でもないから、勉強のことではなさそうだ。
現にマレウスはナマエの指を握ったり手を握ったりしながら話を聞いている。
あのドラコニア先輩なのに、こんなにほっこりした気持ちで見ることになるとはなぁと思いながら足元で蹲っている二人を見た。

「ほら帰るよ」
「嫌だ…嘘だといってくれ…」
「俺はもうダメかもしれない」
「はぁ…僕は先帰るからね」

ようやく二人が手を離したおかげで戻れそうだ。
さて、早くグリムのところへ行かないと…と振り向いたその時。

「あ、ユウくんだ。こっちこっち」

ナマエに呼ばれた。
いやそこにいることは知ってました…と背中を丸めながら向かう。
ナマエさんはいい。ただドラコニア先輩すごい怖い。射殺さんばかりにこちらを見ている。

「これかこれになったんだけど、どっちがいいと思う?」

見せられたカタログは…

「たま◯っち?」

*


「私も最初そうかと思った。がおがおドラコーンくんっていうんだって」
「そうなんですね。これは…防水カバー?」
「そう。前も壊れかけたらしくて。今回は私が直したんだけど買ったほうがいいんじゃないかと思ってね」
「なるほど。僕はこっちがいいと思いますよ。すみません、グリムおいて来ちゃったので戻りますね」
「引き止めちゃってごめんね。ありがとう」

ユウくんに手を振っていると、ガシッと握られた。

「なに?」
「こっちにすることにした」
「よかった。で、この手はなに?」
「ナマエはユウと仲が良すぎると僕は思うんだ」

そういって顎と首の後ろに手を添えて、顔を近づけて来て…瞬きをしている間に終わった。
こちらがキョトンとしていると、脱力したようにもたれかかって来る。

「ナマエは僕の物だろう…目の前で他の奴を構わないでほしい」

そういって抱きしめられた。

*


「なんでそんなに窶れてるの」
「一番見たくないシーンを見てしまった」
「俺の記憶を消してくれ」

その後二人はナマエさんを避けるようになったけど、悲しいとナマエさんがぼやいていた事を伝えたら嘘のように二人は元に戻った。
ただしマレウスさんをめちゃくちゃ警戒するようにもなった。





戻る


ツユシグレ