誘惑的パフェ
「グラミーせーんせ」
「うわっ」
最近フロイドがよく背後から話しかけてくる。
想いを受け入れてからというものの(そもそも半脅しであったが)、やたら絡んでくることが多い。物理的にも。
彼の手がナマエの腹で結ばれる。最初の頃は背が高すぎて胸の前で手を組むものだからセクハラだと言及した。
基本的にはフロイドの好きにさせるし、言うことも聞く。そうでないと痛い目を見るのは自分だ。
「フロイドくん…心臓に悪い…」
「あっちの廊下歩いてたらグラミーせんせぇ見つけたから走ってきた」
「君は本当に身体能力高いですね…」
チャイムが鳴ってすぐに向かいの廊下からこちらに来たらしい。時間を考えると恐ろしく早い。
最近はほとんどの時間をフロイドと過ごしている。もちろんジェイドとセットのことも多いが、授業外だと一番会っているのではないだろうか。
やっとゆっくり調合ができると思ったら扉が大きな音を立てて開き、フロイドが引きずりながら、時には担ぎながら彼の自室へと運ぶことも数え切れないほどある。
「あれ、朝そんなのしてたっけ」
「…ああ、これですか」
彼にバレるとややこしくなるから黙っておこうと思っていたのに、隠す間も無く見つかった。
今日の魔法薬学では、あまり成績がよろしくない生徒に付き合っていたのだが、鍋をひっくり返し中身が少し手首にはねた。
勿論おおごとにはなっていないし、この程度彼に見つかる前に杖をふるか塗り薬を塗布すれば一発だと気を抜いたせいでフロイドに見つかったのだが。
以前、エースがナマエにぶつかった時も大したことないのに凄く睨みつけていた。
あの時は少し勢いが良くて尻餅をついたのだが、驚きのスピードで寄って来て、ぎゅうぎゅうと抱きしめられた。
正直ぶつかられていたところより抱きしめられているところの方が痛かったのだが口には出せなかった。
その後彼の部屋に連れ込まれ、文字通り何度も痛いほど抱きしめられ、上から隅々まで口づけを送られ、ジェイドが半泣きのナマエを連れ出さなければ今頃どうなっていたことやらだ。
「ちょっとした授業でのミスがあっただけで、大したことないですよ」
「はあ?」
フロイドはさも不満です、と言わんばかりに頬を膨らませる。
身長に似合わずあまりにも可愛らしい態度を取るものだから、笑ってしまいそうになる。だがそんなことをしようものなら後が怖い。
すぐに真顔になって、こちらを見るフロイドの瞳はこちら見透かすようでドキッとした。
「ね、せんせぇはさ、オレのでしょ?」
「…間違いではないけど」
「じゃあさ、
「これはワザとじゃないし…」
「オレ以外の跡があんのちょームカつくんだけど」
手形に歯を立てて、フロイドは痛みに耐えるナマエの顔を楽しんでいる。
何度も甘噛みをし、決して腕は離さない。羽交い締めにしているものだからナマエは逃げられる気がしない。
背中にある体温や、手首に当たるフロイドの息も、彼の右手が下着のアンダーに指を引っ掛けて行き来しているのも、制服の布擦れさえ、全部がナマエの余裕をなくす。
ビクつくナマエを尻目に旋毛に彼はキスを落として耳元に囁く。
「部屋に戻ったらオレのでいっぱいにしよーね♡」
ナマエはこの後自分が悲惨な目に遭うことだけはわかった。