朝起きて顔を洗い窓を開ける
植物の匂いと共に心地よい風が入ってくる
気持ちよさに目を閉じているとチ、チ、と声がした

(鳥かな、珍しい)

目を開けそこにいた小鳥は何か咥えていた
白く小さな包み
メモのような、でもしっかりとした手紙だった

「これを僕に?」

小鳥に聞く
チ、と返事のように鳴き少し得意げな様子だった

「ありがとう、少し待っていてくれる?」

誰かに頼まれたのだろうから、ご褒美をあげないと
部屋にあるパンを小さくちぎり小鳥に渡す

「どうぞ。小さな郵便屋さん」

嬉しかったようだ
まるで歌うように鳴き今度はパンを咥えて飛び去っていった
受け取った手紙を見るとそこには綺麗な字で【Norton】と書かれていた
裏も見たが差出人の名前はない
しかしノートンには心当たりがある

「この字と香りは、あの人だろうな……」

中を見る
“Je vais te voir.“
それだけ書いてあった

「僕、フランス語は読めないんだけど……」

どうしたものかと悩んでいると背にしていた窓から声がした

「Je vais te voir. 君に会いに行く、と書いたんだ」

バッと振り向くと同時にそこにいた彼に抱きしめられていた
大柄な自分がすっぽり収まってしまう
ぎゅう、と強めに抱くと思えばパッと離して顔が見えるように抱え直す

「やぁ」
「やぁ、じゃないですよ」
「ふふふ、びっくりした?」
「もう……やることが子供なんですから」
「いつも同じじゃつまらないだろう?」

普通でいいのだが、と言いかけたがジョゼフの機嫌が損なう気がしてやめた
機嫌がいい彼を見ているのは好きだ

「朝からどうしたんですか?」
「特に用事はないよ」
「はぁ?じゃあなんで……」
「用がないと君と会ってはいけない?」

外に広がる青空の様な目がノートンを真っ直ぐ見つめる

「や、そういう訳じゃ……」
「朝起きてね、君を恋しく思って。すぐに会いたくて飛んできてしまった」
「……馬鹿じゃないの」
「嬉しくないかい?」

呆れるやら恥ずかしいやら
しかし彼の腕の中に居るのは悪い気はしない
人の顔を覗き込むその顔がまた綺麗だった

「………しい」
「うん?」
「……嬉しい、です」
「ふふ!うん、私もさ!」

にこりと笑う彼の顔は眩しかった
釣られて笑えば愛おしそうに彼の長い指がノートンの頬を撫でる

「今日はいい日になる」
「よかったですね」
「君だってそうだろう?」

ちゅ、とリップ音を立てノートンの手へキスを落とす

「っ、……本当に、馬鹿なんじゃないの……」
「君のそんな顔が見られるなら馬鹿でもいいかな」

今度はノートンの頬へ口付けようとしたが止められてしまった

「ま、まだ……ダメ……」
「そろそろいいかなーと思ったんだけどね」

残念、と顔が離れていく
ノートンと付き合い始めて結構経つが実は殆ど進んでおらずキスすらこの始末
気長に待とう思ったがそろそろ先に進みたい
顔を真っ赤にし恥ずかしそうにこちらをみるノートン
ニコリと笑えば応えようと笑い返すのがまた可愛らしい

「ノートン」
「なに……っ、〜〜〜〜ッ!」
「いじらしいね」

隙を見て口付ける
彼の鼓動が早くなった
あぁ、朝から幸せだ

back
top