手袋の理由
「どうして外さないの?」
「はい?」
「手袋」
マナーとしては良くないよ、と彼に言われた
彼の言っていることは正しい
しかしこれには理由がある
それをジョゼフもわかった上で聞いているのだ
「大体の予想はつくけれど私にも話してはくれないの?」
「それ、は……」
視線を感じることはあった
でも今まで聞かれることは無かったから甘えていた
話せないことはないのだが……
「……呆れたり、がっかりしたりしませんか?」
「もちろん」
「……その……火傷があって……」
「知っているよ」
「それで……貴方のように綺麗じゃないから恥ずかしくて……」
ジョゼフがキョトンとする
あぁ、やっぱり
きっと彼はため息をつくのだろう
そう思い顔を伏せる
しかし次に聞こえてきた彼の声はノートンが想像するよりも明るく意外なものだった
「は、あははははは!君ってばいつもそんなこと思ってたのかい?」
「そ、そんなに笑うことないでしょ?!」
「だって、真剣な顔で言うものだから」
「こっちは大真面目で真剣なんですけど?」
「ははは、君は本当に私のことが好きなんだなぁ」
「なんでそうなるんですか!!」
先程までの暗い気持ちが嘘のようだ
彼の言葉ひとつひとつに大声で反論している
「だって、私の手と比べて見目が悪いからってことなんだろう?」
「そ、そうですよ!こんな手で貴方の隣を歩けないんです!」
「ほらそれ。君は私と共にあることを前提に考えているだろう?」
「は……〜〜〜っ!」
ブワッ、と顔が熱くなる
確かにそうだ
これがジョゼフと一緒にいることを前提とした劣等感だと言われて初めて気付かされる
途端に恥ずかしさが増した
「ふふふ」
「……笑いすぎです」
「仕方がないだろう?」
君が愛しくてしようがないのだから
そんなことを言われるともっと赤くなると分かってるのに
悔しくて彼の脚を蹴る
それでもジョゼフは尚嬉しそうに笑うだけ
「絶対に取りませんからね」
「それは残念」
ニヤニヤと笑う顔に残念だと言う言葉が不釣り合いでジョゼフが何を考えているかなんてすぐにわかった
ノートンは再度ジョゼフの脚を蹴る
痛いよ、なんて言うがそんなこと知らない
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