VD前日
今日の試合が終わってすぐ、ノートンはジョゼフから部屋に来るように言われていた
扉をノックしようとしたがその扉は自分から遠のく
「やぁ、いらっしゃい」
「……よく、わかりましたね」
「君の足音は覚えているから」
喜んでいいのかよくわからない
でも笑顔で迎えてくれた彼を見て嫌な気はしなかった
「さぁ、入って」
「お邪魔します」
部屋に入るといつものようにテーブルには飲み頃の紅茶と茶菓子が用意されていた
当然そこへ向かって歩くノートン
後ろでジョゼフが扉の鍵を閉めたことには気付いていないようだった
席につき、紅茶を飲もうとしたらジョゼフから小さな小瓶を渡された
「普段手に入らないシロップをもらったんだ、紅茶に入れると美味しいんだって」
キャップを開けてみると甘くいい匂いがした
紅茶に入れずとも美味しそうだ
「ありがとうございます。頂きます」
「どうぞ、君好みならいいんだけど」
ふわりと紅茶の匂いと混じってシロップの香りがする
花……薔薇、だろうか
甘くとろけるような……不思議な香りだ
「美味しい?」
「えぇ……でもなんか、ボーッとして、きて……」
「リラックス効果があるらしいから、そのせいかな?ベッドに行こうか?」
返事をしようにも上手く言葉が出ない
行く、と言う返事の代わりにコクリと頷く
ジョゼフに抱き抱えられて彼の香りがするベッドへ横たわる
彼の匂いもまた甘い
なんだか今日はずっと甘い、そんなことを考えていた
「眠ってもいいよ、おやすみノートン」
遠くなる意識の中でも彼が頬に口付けたのがわかる
なんとかおやすみ、と彼に伝えた所でノートンの意識は途切れた
そのまま朝まで寝てしまい、起きたら横に自分を抱えるように眠るジョゼフがいた
聞くと最近試合続きで疲れているだろうからリラックスできるように、と彼からのプレゼントだったらしい
ジョゼフもあんなにすぐに寝てしまうとは思ってなかった、と言う
「今日は試合に行かせないよ。今日1日ずっと私と一緒にいて」
よほど疲れていたのを気にしているようだ
普段カッコいい彼からは想像できないくらい可愛くて、ついわかったと答えてしまった
外が騒がしい
そう言えば今日はバレンタインだったか
恋人であるジョゼフとゆっくり過ごすのもいいかもしれない
疲れているから、と適当な理由をつけて彼の胸に顔を埋める
2度寝も悪くない、そう幸せを感じながら目を閉じた
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