胸の華
ハロウィンの仮装パーティーから約1ヶ月が過ぎた
あの日からノートンは心ここに在らず、小さなミスを繰り返していた
「またか……最近どうしたんだ?」
「少し考え事を……すみません……」
「はぁ……その考え事とやらを早く解決してくれ」
それまでは休んどけ、と言われ大人しく帰ることにした
「またここで会おう」
あの時の血影の言葉が頭を過ぎる
あれから彼のことが頭から離れないのだ
自分でもどうしてこんなに気になってしまうのか分からない
彼に会いたい、ノートンの頭にはそればかりだった
帰り道、気付けば彼と出会ったあの場所に来ている
門の外から彼を探す
「今日も居ない、か……」
いつになったら会えるのだろうか
項垂れはぁ、とため息をつく
帰ろう、そう顔を上げる
すると目の前に赤が見えた
「ぁ……ち、かげ……?」
「うん?やぁ、ノートン。また会えたね」
会いたかったよ、と柵越しにノートンの手を取り甲に唇を落とす
間違いなく血影であると確信するノートン
「あ、あの……僕も、会いたかった……えっと、そちらに行っても……?」
柵越しでは物足りない
もっと近くへ
「うーん、お話をするならここより君の家がいいな」
ダメかい?と首を傾げる仕草が愛らしい
「いえ、むしろ……いいんですか……?」
「もちろん。こんな寒い所では風邪を引いてしまうよ?」
「それは……まぁ……」
彼に会えた事で舞い上がって忘れていた寒さが帰ってくる
ぶるりと身体が震えれば血影がほらね、とノートンの頬にを手当て微笑む
彼の手は外気と同じように冷たかった
熱を持った顔が彼の手を余計に冷たく感じさせる
さらにぶるりと身を震わせれば血影は手を離す
「あぁ、ごめんね。私の手も冷たかった……ね……?」
「ぁ……いや、これは………!す、すみません!」
ノートンはあの手が離れてしまう方が嫌だった
無意識に離れていく手を掴んでいた
慌てて離そうとすれば今度はするりと血影の方から手を絡めてくる
「ふふふ、大丈夫だよ」
そのまま手を繋がれる
夢のようだ
「家はこっちで合ってる?」
「は、はい……!」
こんなに幸せでいいのだろうか
冷たい彼の手を離さぬようしっかり握って歩き出す
「君は暖かいね」
「そそ、それは……あの……えっと……」
「ふふふ」
あなたに熱を上げているなど言えるはずがない
この時間がずっと続けばいいのに
家まであと少し
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