「お願いがあります」

真剣な様子でそう告げるノートン

「なんだい」
「……貴方と会うのを、今日で最後にしたいんです」
「……どうして?」

突然の申し出に目を丸くする
しかし頭は妙に冷静だった

「言えません……」
「それで私が納得するとでも?」
「……いっ!」

彼の腕を掴む手に力が入る
なぜ拒絶されなければならないのか

「ノートン、私は君になにかしただろうか」
「なにも……」
「じゃあなんで……ッ!」
「それ、は……僕の、僕のワガママです……!」

わからない
納得がいかない
なぜ?ワガママ?どうして?

「貴方は、悪くありません……だから……」
「……ごめんね。腕、痛かっただろう」
「いえ……」
「君の望みはわかったよ」

私が嫌だと言った所でおそらく変わらない
血影はそう感じた
彼の部屋を出ようと扉へ進む
気まずそうにその後をついてくるノートン
扉を開け外へ出る
振り返り、彼と向き合った

「さようなら、ノートン」

そう告げ触れるだけのキスをした
彼の唇に

「ち、か……」
「こんな形では、したくなかったんだけどね」

これは私のワガママ
そう笑った
血影は歩みを止めることなく遠ざかる
彼の赤が闇へと消えた
彼の言った言葉の意味
それがわからないノートンでは無かった
自分は選択を誤ったと思い知る

「血影……」

小さく彼の名を呼ぶ
返事はない
ボヤけていく視界
あぁ、今日はなんて寒いんだろう

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