起きたら隣にジョゼフが居ない
いつもなら自分を抱き締めているのに
寝坊をしただろうかと時間を見ても時計が指す時刻は6時前
まだ彼が仕事に行くには早い
耳を澄ますとリビングの方から音がする
なんだ、ただ先に起きていただけか
安心したのと同時に少し寂しく感じた

「いつもなら、起きたらおはようって言ってくれるのに」

彼にも何か事情があったのだろう
ベッドの傍に置いてあった彼のシャツを羽織りリビングへ行く

「おや、おはよう。起こしてしまったい?」

ごめんね、と言う彼
上には何も羽織らず下だけ着た姿でキッチンにいた

「いえ……何をしているんですか?」
「うん?コーヒーを入れているんだよ」

はい、と自分の分まで用意していたようでふたりで買ったお揃いのカップを渡される

「ありがとうございます」
「美味しいといいんだけど」

貴方の入れたコーヒーがまずかっとことなどない、と返す
微笑む彼に少し胸がチクリと傷んだ

(自分より、コーヒーを優先されてしまった……)

そんなことを思っていると察したのか

「起きるまで待とうと思ったんだけど、昨日は無理をさせてしまったからね」

ゆっくり寝かせたかった、と彼は言う
彼なりの気遣いが嬉しいような寂しいような

「昨日、言っていたからさ」
「……そういえば」

忘れていた
昨夜、彼にお願いをしたのだ
貴方の入れたコーヒーが飲みたい、と
あぁ、なんて自分勝手だったんだろうと落ち込む

「寂しい思いをさせてごめんね」
「いえ……僕こそ……ワガママを聞いてもらっておいて……」
「大丈夫だよ」

美味しいかい?と笑顔で聞いてくる
その顔が綺麗で顔が赤くなる

「美味しい、です」
「よかった」

この後また布団に戻ろうか、と提案された
仕事は、と聞けば今日は休みにしたらしい

「寂しい思いをさせたからね、今日はずっと一緒に居ようかなって」
「そんな理由で休みだなんて……」
「いいんだよ、私の店だもの」
「ふふ、子供みたい」
「嫌だったかな?」

全然、とカップを置いて隣に座るジョゼフの頬に口付ける
彼が応えて唇が重なる

「苦いね」
「本当に」

ふふ、とふたりで笑った
そんな甘く苦い平日の朝


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