悪夢
「せんせーおはよー!」
「はい、おはよう」
元気よく布団から飛び起きてきた
1枚透明な壁の向こうにいるのはジョゼフの患者であるノートン
「今日は早起きだね。まだアラームがなる前だよ」
「うん!あのね!怖い夢を見たから起きた!」
「おやおや、どんな夢だったのか覚えているかい?」
怖い夢を見たようには見えなかったがこの子はそういう症状だから
彼のいる部屋に入り椅子へ座るよう誘導する
「覚えてるけど……話さないとダメ……?」
「無理に、とは言わないけれど他人に話すとすぐ忘れられたり、もう二度と見ないとか、そういう話があるんだよ」
嫌な思いはしたくないだろう?
そう言って彼の話せる範囲を聞き出した
夢はおそらく入院する前の記憶なのだと推察される
「怖かったね、話してくれてありがとう」
「うん……えへへ、でもせんせーに話したらなんだかもう怖くないかも!」
「そうかい?ならよかった」
彼の頭を撫でてやる
猫のように擦り寄ってくる姿は愛らしい
「さて、お話は終わり。顔を洗っておいで」
「はーい!」
「歯も磨くんだよ?このあとすぐ朝ごはんだからね」
「わかってます!」
「うん、いい子」
食堂へ向かう途中、ノートンから手を繋ぎたいとお願いされた
まだ少し怖いと言う気持ちが残っていたのだろう
いいよ、とこちらから手を取ればご機嫌だ
「もうみんないるかな?」
「今日は君が1番かもね」
「ふふふ!みんなお寝坊さん!」
嬉しいのか腕を大きく振る
少し痛むが指摘して泣かれるよりは、と目を瞑る
突然彼が腕を降るのを辞めて足を止める
どうしたのだろうかと顔を覗き込んだ
「ねぇ、先生……」
「なんだいノートン」
「先生は、居なくなったりしないよね……?」
「……ずっと居るよ」
「……うん」
友達を見つけ挨拶しながら走っていくノートン
彼は今、どの段階なのだろうか
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