「私一人でも大丈夫だよ」
「心配なのは貴方ではなくて相手です」
「殺しはしないって」
「貴方が思っている以上に人間は脆いんです」
「知っているとも。だから私からは攻撃はしていないだろう?」

今自分たちは襲われている
それぞれの武器を構えこちらを睨む人間
所謂賞金ハンターという奴らが彼の賞金目当てに集まったのだ
流浪者の主である血の剣は人間ではなく世に言う吸血鬼
別段何をした訳でもない
ただ森でひっそりと生きているだけでもこの首には多額の賞金が掛けられている

「よくもまぁ飽きもせず挑んでくるものだ」

そう言って後ろに広がるマントを靡かせ周りを吹き飛ばす
それだけで怯えて走り去る者、腰が抜けて動けなくなる者、それでも武器をかまえジリジリと寄ってくる者
あとはよろしくね、とマントを整えて自分は後ろに下がる
流浪者はまだ血の剣を狩るつもりでいる奴らの前に己の武器を投げる

「それ以上近付けば怪我をしますよ」

びくり、と後退りする
自分達の目の前に投げられた物を確認するように下を向く奴らが目を丸くする
当然だろう
そこにあるのは大きな磁石なのだから
こんなもので、と馬鹿にされたと思う奴らは直ぐに突っ込んでくる
だから流浪者は自分の手にある磁石を使い彼らを吹き飛ばし木に直撃させた
そしてまた彼らの前に磁石を投げる

「もう1度言います。それ以上近付けば怪我をしますよ」

動ける奴らはみな一斉に悲鳴を上げ逃げていった
気絶した者は後で森の外にでも投げておこう

「いつも悪いね」
「いえ、これも仕事ですから」
「今回の報酬は何がいいかな?」
「いつもと同じで」
「Oui」

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