暗い森を鮮やかな紅が2つ
今日は先見の元へ食料調達に来た血の剣と流浪
本来は1人なのだがお手伝いする!と流浪が着いてきたのだ
飛べない流浪を抱えて行こうと思ったら自分で歩くと言う
確かに彼はこの森に少しだけ住んでいた時期がある
それでも迷子にならない保証はない
実はなかなか頑固な流浪
無理に抱えようものなら暴れるし嫌いとまで言われる
じゃあ一緒に歩こうね、と彼の手を取った
嬉嬉として手を繋ぐ流浪
楽しそうにこの前あんなことがあった、こんなことがあった、と教えてくれる
談笑をしながら歩けば目的地はもうすぐ目の前にあった

「あ!ここ知ってる!」
「おや、来たことがあるのかい?」
「ううん、大きい鳥が飛んでるのを追いかけてたらここに入っていったの」

彼の使い鳥のことだろう
家の前に立つとちょうどよく噂の彼女が帰ってきた

「この子!この子だよ!」

今このタイミングで帰ってくる、という事は……
この扉を開けたらニヤニヤしてる彼がいると容易に想像出来る

「悪趣味……」
「?なぁに?」
「いや、なんでもないよ」

小さく呟いたつもりだが流浪には聞こえていたようだ
ニコリと笑って誤魔化すが面倒な絡み方をされると思うと気が重い
しかしじゃあ何もせずに帰ります。は出来ない
意を決して扉を開けようとノブに手を伸ばす
だが先に小さな手がその扉を開けていた

「こんにちわー!」
「これは元気なお客様が来ましたね。いらっしゃいませ」
「……邪魔するよ」
「いらっしゃいませ、血の剣様。今日は来るのが遅かったようで」

やはりだ
仮面の奥でニヤニヤ笑っている
恐らく森に入る頃から視ていたのだろう

「使い鳥まで使ってご苦労さまだね」
「あくまで私は血の剣様達の安全のために彼女にお願いしただけですよ」

森は危ないですからね、と恍ける

「仲睦まじく羨ましい限りです」
「当たり前だろう?」

茶番に付き合うつもりは無い
要件はわかりきっているはず、と先見に目で物申す

「おお、こわい。わかっていますよ。本日のご要件は……」
「みんなのご飯ください!」
「……ふふっ、ちゃんと言えて偉いですね」
「いい子だろう」
「本当に」

先見の使い鳥も彼を褒めているようで肩に止まり、擦り寄る
嬉しそうにへへへ、と頬を染めて照れる流浪

「ご用意出来てますよ」
「どうも。はい」
「確認します。……………確かに」

頼んでおいた食料が手渡される
彼に限ってないだろうが不備がないかこちらも中身を確認する
……大丈夫そうだ
袋をマントで覆い、全て収納する

「さぁ、帰ろうか流浪」

手を差し伸べるが反応がない
どうしたのかと顔を覗き込む
どうやらマントを見ているようだ

「あぁ、そうか。初めて見たから新鮮なんだね」

血の剣のマントは翼にもなるが大抵のものを収納出来る
こうして食料調達のときに使う
すごいすごい!と目を輝かせる流浪
あれこれ入れたがるようにならなければいいけど……

「血の剣様、流浪様、本日はこの後雨が降ります。お早めにお帰りになられた方がよいかと」
「へぇ、じゃあもう用事も済んだし帰ろうかな。行くよ流浪」
「はい!鳥のお兄さん、ありがとうございました!」
「はい。またどうぞ」

先見にぺこりと挨拶をして血の剣の手を取る流浪
使い鳥が流浪の周りを1周する
恐らく彼女なりの挨拶なのだろう

「鳥さんもありがとう!ばいばい!」

ちゃんと理解したようで挨拶を返す流浪
彼女も満足そうに彼の元へ戻って言った

「降る前に城に着けるといいね」
「うん!」

2人は手を繋ぎ暗い森の中を歩いて帰った
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