昼に会いましょう
「おはよう my boy もう朝だよ」
いつもなら起きている時間だが今日はまだ布団でスヤスヤと眠る愛し子を起こす
「ん…はょ………ざい、ます……」
「今日はお寝坊さんだね」
遅かったからかな?
普段早く床につく彼が昨日は遅かった
何をしていたのかは教えてもらえず私には分からない
「何をしていたのかはわからないけど、起きれなくなってしまうほどの夜更かしは関心しないよ」
「ぅぅ……ゴメンなさい…ちゃんと、おきる……!」
そう言ってゆっくりだがベッドから出てくる
怒ったつもりはないが怒られたと思ったのだろう
少し泣きそうな顔をしていたように見える
「おやおや、怒ってはないよ」
ただ、気をつけようね
頭を撫でると安心したようでふにゃりと笑顔になる流浪
「えへへ…あ、あの、ちー様……」
「なんだい?」
「えっと……今日のお昼、お庭に来てくれますか……?」
庭?
「構わないけど…少し遅くなってもいいかな?」
今日は外せない仕事があるため提示された時間に行けるかはわからない
それでもいいなら、と返事をする
大丈夫!待ってます!とキラキラした目で見上げてくる
早く帰れるように努めよう
「行ってくるよ。お昼、待っていてね」
あとでね、と手を振る愛し子の可愛いこと
離れたくないと思う自分を抑えて仕事へ向かう
まず向かったのはいつもの森
「やぁ、先見の」
「これは血の剣様。遠い所をようこそおいで下さいました」
「そういうのはいいよ、今日も成果なしかい?」
「残念ながら…」
そう、なら仕方ないね
また無駄足だったようだ
そうとなれば此処にはもう用はない
帰ろうと踵をかえす
そういえば、と後ろから彼の声がした
「先日の占いは当たったでしょう?」
先日の……恐らく、流浪のことだろう
「お陰様で」
仮面とフードで目元は見えないが言動で彼がニヤけた顔なのはわかる
「よかったではないですか。やっと巡り会えた伴侶はさぞ可愛いでしょう?」
男の子ですけどね
日頃の恨みだろう、嫌味たらしく言ってくれる
「……別に性別は関係ない。彼は私の伴侶として迎える」
「変わっておられるとは思っていましたが、物好きですね」
私はともかく、愛し子を貶されたようで柄にもなくムカついた
「君だって人のことは言えないだろう。彼の方は息災かな」
彼の方?と首を傾げる
とぼけているつもりなのだろうか
そっちがその気なら、と続ける
「かの伯爵様がまさかこんな所に居るなんて、ねぇ……?」
彼のギクリと顔が引き攣ったように見える
「なぜ、それを……っ」
「あぁ!私以外は知らないから安心したまえ!言い触らしたりなどしないさ!」
にっこりと笑い私を揶揄うなど100年早いよ
そう言って彼の家を後にした
あぁ、無駄に時間を使ってしまった
約束を守るために次へ急ぐ
次が1番厄介だ、早く終わればいいのだが
そう祈る血の剣の願いが叶わないと分かるのはしばらく後のこと
時刻は昼過ぎ、約束の昼はとうに過ぎていた
遅くなると言っていたけど……
「ちー様、まだかなぁ…」
彼が忙しいのは分かっているつもりだ
早く会いたい
待ち遠しい
時間を確認してはまだかまだかとソワソワする流浪
暖かい庭に1人
昼を済ませている分、心地よい陽気に段々眠くなってきた
コクリコクリと船を漕ぐ
待ってなきゃ、ちー様、きっともうすぐ来てくれる…
「こんな所で1人でいるなんて危ないよ」
うとうとしていると頭の上から声がした
「やぁ、Petit enfant.」
「……?ちか、様…?」
よしよし、と眠い彼の頭を撫でるのは自分の待ち人によく似た人物、血影だった
「私はただの通りすがりだよ。それより、眠いのなら部屋に戻りなさい」
「……ねむくないもん」
「船を漕いでいた子が何を言っているんだい」
もうすぐちー様が来る、だからやだ
そう言ってその場から動こうとしない流浪
この城に来てから何度か遊んでいる彼が頑固なのはもう知っている
「しょうがないなぁ」
そう言って血影は流浪の隣へ腰掛けた
「?用事はいいの…?」
幼い君を1人で置いて行けるわけないだろう?と頬をつつく
「剣を待っているんだろう?なら一緒に居てあげる」
それなら部屋に戻らなくても良くなるでしょ?と笑いかける
「うん!ちか様、ありがとう!」
しばらく友人である血影と談笑をしていた流浪
それでも眠気には勝てないらしく、話の途中でも船を漕ぎ始める
うん、うん、と相槌を打ち少し頭を撫でてやれば彼はすぐに寝てしまった
いくらで暖かくても外で寝れば風邪を引いてしまう
血影は流浪を起こさぬようゆっくりと抱き抱え、部屋のベッドまで運んだ
時計に目をやるともう夕方と言ってもいい時間
「こんないい子を放っておくなんて……アイツも酷いなぁ……」
スヤスヤ眠る流浪にシーツをかける
寝言で彼の名を呼ぶ流浪
そんな彼の頬を撫でる
血の剣の立場上仕方がないとはわかっているがどうにも歯痒い
「あんな奴ら…さっさと殺してしまえばいいのに」
邪魔なだけじゃないか
しかしそう簡単にいかない
それをしたら血の剣のこれまでの苦労も、これからの生活も困るからだ
「私は君たちと楽しく過ごせるだけでいいのに……それが1番難しいなんて、ひどい話だよね」
だから人間は嫌いなんだ
寝ている流浪の頬をつつく血影
んぅ、と唸り眉にシワがよった
「ふふ、可愛いなぁ」
早く帰ってくるといいね
そう言って電気を消し、部屋を後にした
少し日が暮れ始めた頃
そろそろ帰ってくるだろうと空を見る
こちらに向かってくる黒い影がみえた
ちょうど帰ってきたようだ
「おかえり。今日は随分と遅かったね」
あの子、ずっと待ってたよ
と告げる
「知っている」
降り立ってすぐ足早に去ろうとする血の剣
相当機嫌が悪いようだ
「あの子なら部屋だよ」
「……ありがとう」
あれはしばらく近づかない方がいい
そう感じた血影は1羽の蝙蝠を呼ぶ
今から数日、血の剣と流浪には近づかないこと
彼らに用があれば血影に言うこと
城中に伝えるよう指示を出す
「やれやれ、手のかかるお兄様だ」
大事な兄のためにがんばりますかね
ぐ〜っと伸びをして彼は仕事をするために書斎へ向かった
部屋に着いた血の剣
そこには朝と同じように流浪がベッドで眠っていた
ベッドの脇に腰掛け、彼の顔にかかる髪をそっと退かす
「遅くなってごめんね、流浪……ただいま」
まだ眠る流浪の頬に口付ける
この子が起きる前に着替えよう、そう思い立ち上がろうとした
「ん……ちー、様……?」
「おや、起こしてしまったね」
おはよう、と目を擦る手を取り握りしめる
「ごめんね、約束を破ってしまった」
「ううん、ちー様が忙しいの知ってるから大丈夫だよ」
「君にそんなことを言わせてしまうなんて……」
悔しいなぁ、と苦笑する血の剣
その顔が泣きそうに見えたのだろう、流浪は空いている手で血の剣の頭を撫でた
「大丈夫、大丈夫だよ、ちー様」
「ふふふ……ありがとう、流浪」
流浪を抱きしめもっと、と強請るように小さな手に頭を擦り付ける
それが嬉しかったらしい
よしよし、と笑顔で彼の頭を撫でた
「ねぇ、ちー様」
「なぁに?」
「明日は?明日も、忙しい……?」
返事をしようとするとコンコン、と後ろの窓が叩かれる
振り向くと1羽の蝙蝠がいた
「書斎」
それだけ伝えてまた飛んでいった
血影の使いだ
血の剣が呼ばれていると思い流浪が離れようとする
しかし血の剣はそれを許さず流浪を抱き寄せた
「行かなくていいの……?」
「ふふ、あれはね、血影が私にお休みをくれるって事だよ」
「お休み?」
「そう。2〜3日は仕事するなってさ」
じゃあ、と嬉しそうに笑う流浪
釣られて血の剣も笑顔になる
「晴れたらいいね、明日」
「うん!」
翌日、少し休憩と書斎の窓から庭を見下ろす血影
暖かい日差しの中、流浪が血の剣に花の冠を作って渡している姿が見えた
彼がたくさん練習していたのを血影は知っている
2人とも嬉しそうだ
「よかったね」
楽しそうな2人を見届けまた机へ向かう
この仕事が終わったら私も混ざろうかな
そう思う血影だがその仕事が終わったのは昨日血の剣が帰ってきた時刻よりも遅かった
「君いつもあの量の仕事してるの?馬鹿じゃないの?」
「慣れればすぐだよ」
「ちか様、お疲れ様です!」
「ありがとう、流浪」
「明日もよろしくね」
「はいはい」
back topいつもなら起きている時間だが今日はまだ布団でスヤスヤと眠る愛し子を起こす
「ん…はょ………ざい、ます……」
「今日はお寝坊さんだね」
遅かったからかな?
普段早く床につく彼が昨日は遅かった
何をしていたのかは教えてもらえず私には分からない
「何をしていたのかはわからないけど、起きれなくなってしまうほどの夜更かしは関心しないよ」
「ぅぅ……ゴメンなさい…ちゃんと、おきる……!」
そう言ってゆっくりだがベッドから出てくる
怒ったつもりはないが怒られたと思ったのだろう
少し泣きそうな顔をしていたように見える
「おやおや、怒ってはないよ」
ただ、気をつけようね
頭を撫でると安心したようでふにゃりと笑顔になる流浪
「えへへ…あ、あの、ちー様……」
「なんだい?」
「えっと……今日のお昼、お庭に来てくれますか……?」
庭?
「構わないけど…少し遅くなってもいいかな?」
今日は外せない仕事があるため提示された時間に行けるかはわからない
それでもいいなら、と返事をする
大丈夫!待ってます!とキラキラした目で見上げてくる
早く帰れるように努めよう
「行ってくるよ。お昼、待っていてね」
あとでね、と手を振る愛し子の可愛いこと
離れたくないと思う自分を抑えて仕事へ向かう
まず向かったのはいつもの森
「やぁ、先見の」
「これは血の剣様。遠い所をようこそおいで下さいました」
「そういうのはいいよ、今日も成果なしかい?」
「残念ながら…」
そう、なら仕方ないね
また無駄足だったようだ
そうとなれば此処にはもう用はない
帰ろうと踵をかえす
そういえば、と後ろから彼の声がした
「先日の占いは当たったでしょう?」
先日の……恐らく、流浪のことだろう
「お陰様で」
仮面とフードで目元は見えないが言動で彼がニヤけた顔なのはわかる
「よかったではないですか。やっと巡り会えた伴侶はさぞ可愛いでしょう?」
男の子ですけどね
日頃の恨みだろう、嫌味たらしく言ってくれる
「……別に性別は関係ない。彼は私の伴侶として迎える」
「変わっておられるとは思っていましたが、物好きですね」
私はともかく、愛し子を貶されたようで柄にもなくムカついた
「君だって人のことは言えないだろう。彼の方は息災かな」
彼の方?と首を傾げる
とぼけているつもりなのだろうか
そっちがその気なら、と続ける
「かの伯爵様がまさかこんな所に居るなんて、ねぇ……?」
彼のギクリと顔が引き攣ったように見える
「なぜ、それを……っ」
「あぁ!私以外は知らないから安心したまえ!言い触らしたりなどしないさ!」
にっこりと笑い私を揶揄うなど100年早いよ
そう言って彼の家を後にした
あぁ、無駄に時間を使ってしまった
約束を守るために次へ急ぐ
次が1番厄介だ、早く終わればいいのだが
そう祈る血の剣の願いが叶わないと分かるのはしばらく後のこと
時刻は昼過ぎ、約束の昼はとうに過ぎていた
遅くなると言っていたけど……
「ちー様、まだかなぁ…」
彼が忙しいのは分かっているつもりだ
早く会いたい
待ち遠しい
時間を確認してはまだかまだかとソワソワする流浪
暖かい庭に1人
昼を済ませている分、心地よい陽気に段々眠くなってきた
コクリコクリと船を漕ぐ
待ってなきゃ、ちー様、きっともうすぐ来てくれる…
「こんな所で1人でいるなんて危ないよ」
うとうとしていると頭の上から声がした
「やぁ、Petit enfant.」
「……?ちか、様…?」
よしよし、と眠い彼の頭を撫でるのは自分の待ち人によく似た人物、血影だった
「私はただの通りすがりだよ。それより、眠いのなら部屋に戻りなさい」
「……ねむくないもん」
「船を漕いでいた子が何を言っているんだい」
もうすぐちー様が来る、だからやだ
そう言ってその場から動こうとしない流浪
この城に来てから何度か遊んでいる彼が頑固なのはもう知っている
「しょうがないなぁ」
そう言って血影は流浪の隣へ腰掛けた
「?用事はいいの…?」
幼い君を1人で置いて行けるわけないだろう?と頬をつつく
「剣を待っているんだろう?なら一緒に居てあげる」
それなら部屋に戻らなくても良くなるでしょ?と笑いかける
「うん!ちか様、ありがとう!」
しばらく友人である血影と談笑をしていた流浪
それでも眠気には勝てないらしく、話の途中でも船を漕ぎ始める
うん、うん、と相槌を打ち少し頭を撫でてやれば彼はすぐに寝てしまった
いくらで暖かくても外で寝れば風邪を引いてしまう
血影は流浪を起こさぬようゆっくりと抱き抱え、部屋のベッドまで運んだ
時計に目をやるともう夕方と言ってもいい時間
「こんないい子を放っておくなんて……アイツも酷いなぁ……」
スヤスヤ眠る流浪にシーツをかける
寝言で彼の名を呼ぶ流浪
そんな彼の頬を撫でる
血の剣の立場上仕方がないとはわかっているがどうにも歯痒い
「あんな奴ら…さっさと殺してしまえばいいのに」
邪魔なだけじゃないか
しかしそう簡単にいかない
それをしたら血の剣のこれまでの苦労も、これからの生活も困るからだ
「私は君たちと楽しく過ごせるだけでいいのに……それが1番難しいなんて、ひどい話だよね」
だから人間は嫌いなんだ
寝ている流浪の頬をつつく血影
んぅ、と唸り眉にシワがよった
「ふふ、可愛いなぁ」
早く帰ってくるといいね
そう言って電気を消し、部屋を後にした
少し日が暮れ始めた頃
そろそろ帰ってくるだろうと空を見る
こちらに向かってくる黒い影がみえた
ちょうど帰ってきたようだ
「おかえり。今日は随分と遅かったね」
あの子、ずっと待ってたよ
と告げる
「知っている」
降り立ってすぐ足早に去ろうとする血の剣
相当機嫌が悪いようだ
「あの子なら部屋だよ」
「……ありがとう」
あれはしばらく近づかない方がいい
そう感じた血影は1羽の蝙蝠を呼ぶ
今から数日、血の剣と流浪には近づかないこと
彼らに用があれば血影に言うこと
城中に伝えるよう指示を出す
「やれやれ、手のかかるお兄様だ」
大事な兄のためにがんばりますかね
ぐ〜っと伸びをして彼は仕事をするために書斎へ向かった
部屋に着いた血の剣
そこには朝と同じように流浪がベッドで眠っていた
ベッドの脇に腰掛け、彼の顔にかかる髪をそっと退かす
「遅くなってごめんね、流浪……ただいま」
まだ眠る流浪の頬に口付ける
この子が起きる前に着替えよう、そう思い立ち上がろうとした
「ん……ちー、様……?」
「おや、起こしてしまったね」
おはよう、と目を擦る手を取り握りしめる
「ごめんね、約束を破ってしまった」
「ううん、ちー様が忙しいの知ってるから大丈夫だよ」
「君にそんなことを言わせてしまうなんて……」
悔しいなぁ、と苦笑する血の剣
その顔が泣きそうに見えたのだろう、流浪は空いている手で血の剣の頭を撫でた
「大丈夫、大丈夫だよ、ちー様」
「ふふふ……ありがとう、流浪」
流浪を抱きしめもっと、と強請るように小さな手に頭を擦り付ける
それが嬉しかったらしい
よしよし、と笑顔で彼の頭を撫でた
「ねぇ、ちー様」
「なぁに?」
「明日は?明日も、忙しい……?」
返事をしようとするとコンコン、と後ろの窓が叩かれる
振り向くと1羽の蝙蝠がいた
「書斎」
それだけ伝えてまた飛んでいった
血影の使いだ
血の剣が呼ばれていると思い流浪が離れようとする
しかし血の剣はそれを許さず流浪を抱き寄せた
「行かなくていいの……?」
「ふふ、あれはね、血影が私にお休みをくれるって事だよ」
「お休み?」
「そう。2〜3日は仕事するなってさ」
じゃあ、と嬉しそうに笑う流浪
釣られて血の剣も笑顔になる
「晴れたらいいね、明日」
「うん!」
翌日、少し休憩と書斎の窓から庭を見下ろす血影
暖かい日差しの中、流浪が血の剣に花の冠を作って渡している姿が見えた
彼がたくさん練習していたのを血影は知っている
2人とも嬉しそうだ
「よかったね」
楽しそうな2人を見届けまた机へ向かう
この仕事が終わったら私も混ざろうかな
そう思う血影だがその仕事が終わったのは昨日血の剣が帰ってきた時刻よりも遅かった
「君いつもあの量の仕事してるの?馬鹿じゃないの?」
「慣れればすぐだよ」
「ちか様、お疲れ様です!」
「ありがとう、流浪」
「明日もよろしくね」
「はいはい」