序曲──シンフォニア。
この せかい は
いちまい の かーど から
うまれ ました
その かーど の なまえ は
ぬめろんこーど と いいます
むかし むかし
その かーどを もとめて
ふたつ の そんざい が たたかい ました
その たたかい に けっちゃくは つきません
なぜなら その たたかい の とき
きょだい すぎる ぱわー が
ぬめろんこーど の かぎ となる
なんばーず を ばらばらに してしまった から
ぬめろんこーど の ばんにん は
その たたかい を みて
ひそかに わらい ました
――ああ、そんなにこの力が欲しいのかい。
――ならばあげようじゃないか。
――ただし、鍵をもう一度集めないと、この力は使えないけれどね。
――その鍵には《僕》の居場所も記してる。
――さあ、見つけてみなよ。
――ヌメロンコードとその番人《原初の巫女》を。
それから しばらく して
ふたりの おんなのこ が
とある くに で うまれ ました
ふたり は りょうしん から
ひどい ぼうりょく を うけて いました
あるひ あね が いもうと を つれて
りょうしん の もと を にげだし ました
しかし ちいさな こども ふたり には
いきていく すべ なんて わかりません でした
そんな しまい に て を さしのべる
ひとり の しょうねん が いました
その しょうねん は なんという ことでしょう
この くに の おうじさま では ありませんか
《へいわ の しょうちょう》
そう よばれる おうじさま が
しまい に こえ を かけ ました
――君たちは二人で生きているのか。
――辛かっただろう。
――私の元に来ないかい。
――私の元で暮らさないか。
しまい は とても よろこび ました
おうじさま の おさそい を うけ ました
この であい が
うんめい を くるわせる とも しらず に
そうして しまい は
おしろ へ むかい ました
あね は めしつかい に
いもうと は このえきし に なり ました
とても とても しあわせ でした
《あのひ》 が くる まで は
――おやおや、そこから先を話すのは野暮ってものだろう?
――その先の物語は実際目にしてもらおうじゃあないか。
――ああ、そうだそうだ。その姉妹の末路だけはボクから言っておこうか。
――姉の魂は"上"へ、妹の魂は"下"へ。
――ああ、なんとかなしきかな。
――ずっと一緒なんていう約束は違えられた。
――そうして姉は"コスモの巫女"へ
――妹は"カオスの巫女"へ
――相容れない存在になっちゃいましたとさ。
――さて、ここから紡がれるのは三人の少女のお話だ。
――ひとりは、伝説と謳われた人達の一人娘。
――ひとりは、騎士のように強い女の子。
――ひとりは、アイドルと復讐者、二つの顔を持つ女性。
――さあ、ご覧いただこう。
――ボクらが歩む、皮肉な運命の物語を。
或少女の夢想曲
(その声は恐ろしいほどに美しかった)