◆チャプター4「思考の海」異界深度8

【状況説明】
足下に絡みついたツタは貴方達を下へ引き込むように力を加えます。しかも、貴方達の立つ地面はまるで、元からぬかるみだったかのように二人を迎え入れました。

ツタによって引き込まれる感覚、体に感じるなれない感覚。
貴方達が不意に目を伏せると、またしても海の中に落ちたような、暖かくも冷たい感覚に襲われます。

やがて、地面に足が触れる感覚がして、ツタが足下で霧散していきました。どうやらここは海の中、もっと言えば海の底のようです。

しかしながら先程とは違い、波は非常に落ち着いていて、海の中ながら息もできるようです。
*会話をしようとするとまるで本当の海の中のように水がごぽりと浮き上がります。声が遠く、よく聞こえません。


【手を繋ぐ】
女性の声が聞こえます。
先程までと違うのは、その女性の声が全身から体を満たすように聞こえることです。

女性の声は、「もっと物語があれば」「貴方達がここにいれば」「ここにいて、一人にしないで」と縋るような響きを持っています。
聞いているとまるで自分の思考回路さえ、この海に溶けていってしまいそうです。

バインダーがこの情報を得たとき、GMは以下の情報もPLに与えて良いかと思います。
この状況は危険だとわかる。一刻も早く抜け出した方がいい。


【判定】
「一刻も早く、この海から逃げ出す」難易度:8

 二人とも成功
→海の中、声も聞こえない状況で二人はしっかりと出口を捜し、前へ前へと進んでいきます。

 片方だけが成功
→摩訶不思議な海の中でも、成功した一方は確かな足取りで歩みを進めていきます。
 しかし、失敗した一方は不安に駆られふとその足を止めてしまいます。そして、その耳に、体に刻みこむように言葉が聞こえるのでした。
 「置いていかないで。ここにいて」と。
 失敗した方のフラグメントボックスから、フラグメントを1個選び、「忘却」にチェックを入れます。
 シフターが失敗した場合、フラグメントを「変異:帰還への抵抗→安心するような寂しいような。貴方と一緒ならずっとここにいても良いような気がする。」に変異させます。
 バインダーが失敗した場合、フラグメントを「変異:不安→大切な一が消えてしまいそうな気がする。失ってしまうような漠然とした不安が離れない」に変異させます。

 両方失敗
→二人はその不思議な海の中歩みを進めてい来ます。しかし、その海に終わりは見えません。精神は摩耗し、足はまるで鉛のように重く、今にでも足は止まってしまいそうです。
 そんな二人に聞こえたのは、女性の強い願いでした。
 「ずっとここにいて」
 これまではずっとおかしいと思ってきたその言葉が、なんだか今は「最初からあったもの」のようにすんなりと体に馴染むのでした。
 二人はそれぞれのフラグメントボックスから、フラグメントを1個ずつ選び、「忘却」にチェックを入れます。
 次に、フラグメントを「変異:帰還への抵抗→安心するような寂しいような。貴方と一緒ならずっとここにいても良いような気がする。」に変異させます。


【RP指針】
海の底は暗く、先の見えない不安に包まれます。
息は吸えますが、パートナーの声はろくに聞こえません。しかも、シフター(手を繋いでいた場合はバインダーも)絶えず直接脳を包み混むような、自分自身さえ変わってしまうような声を聞いています。
手だけのぬくもり、不安、自分が書き換えられてしまう恐怖。うずくまって先に進めなくなってしまう人がいてもおかしくはありません。

海ですので泳ぐのももちろん素敵ですが、せっかくの海の底ですので、歩き回るのも一興でしょう。是非、PLと相談し、二人だけの旅路を楽しんでください。

通常のサンプルシナリオではこのチャプターで終わりです。それを踏まえ、足取りを重くしたり、脳が摩耗していく様子があるとプレイしやすいかもしれません。


【結末】
なんとか手を取り合い進んでいった先で、貴方達はふと自分にのしかかる空気が軽くなったことを感じます。どうやら海の中を抜けたようです。

シフター(および手を繋いだバインダー)は、ひときわ大きな声で女性が「どうして!」と叫んだのに気づきます。そして、自分を塗りかえんとするその声がいくらか薄れたことに気づくのでした。

きっと貴方達はこの異界の奥深くまで、来ているでしょう。後少し、あと少しで出口を見つけられるはず。そんな小さな希望を胸に、二人はさらに前へと進んで行くのでした。