◆チャプター1「物語、あるいは夢の中のよう」異界深度5

【状況説明】
扉を開けて帰ろうとした先は、見ず知らずの森の中でした。
そう認識した瞬間に、まるで幻のように図書館は姿を失います。

森にそびえ立つ木々はまるで天まで伸びているのではないかと錯覚するほど。落ち葉は自分の体をはるかに超える大きさで巨人のようです。まるで、自分たちが小さくなってしまったかのような錯覚すら覚えるでしょう。

しかもそれだけではありません。遠くに聞こえる虫の羽音は異様なほどに大きく、姿さえ見えない動物の遠吠えは鼓膜を破るのではないかと感じてしまいます。
今はまだ、太陽が高く周囲の様子がよく見えますが、このまま日が沈んでしまえば危険です。一刻も早く脱出しなければなりません。

とはいえ、あんなに大きな鳴き声の主がいるこの森で、無事に出口を見つけることなどできるのでしょうか。


【手を繋ぐ】
手を繋ぐと、羽音や動物の鳴き声に混じって女性の声が聞こえるような気がしました。
その声はすすり泣く様で、言葉という言葉ではありません。
しかも見渡して見る景色はまるでハリボテのようで、あるいはどこかの絵本の中のようで、
「作られた」ような歪さを感じます。

図書館で聞こえた声はまだ耳の奥、脳に直接こだまします。
どうして来ないの。さみしい。貴方達も置いていってしまった。
声は、「シフターをこの場に引きとどめんとする」ものです。


【判定】
「果てしなく大きな森で出口を探す」難易度:5

 二人とも成功
→どんなに恐ろしい場所でも、二人で一緒なら恐れるものはありません。
 広く未知の森の中を、迷いなく進んでいきます。

 片方だけが成功
→終わりの見えない森、大きくなる遠吠え。
 成功した一方は、迷いなく歩みを進めていきます。
 しかし、それを心の支えに進んでいた一方が歩みを止めてしまいます。
 図書館で聞いた言葉がリンクしてしまうのでしょう。
 失敗した方が落ち着くまで、先に進むのは難しいでしょう。
 失敗した方のフラグメントボックスから、フラグメントを1個選び、「忘却」にチェックを入れます。
 次に、フラグメントを「変異:フラッシュバック→図書館で聞いたあの奇妙な言葉が忘れられない」に変異させます。

 両方失敗
→震える足に鞭を打ちなんとか進もうとする二人ですが、
 森の奇妙な様子に先ほどの声をが蘇ってしまい、足を進めることができません。
 二人はそれぞれのフラグメントボックスから、フラグメントを1個選び、「忘却」にチェックを入れます。
 次に、フラグメントを「変異:フラッシュバック→図書館で聞いたあの奇妙な言葉が忘れられない」に変異させます。


【RP指針】
空は明るくとも、見たことがない大きさの森です。
シフターの耳には奇妙な声が聞こえ続け、そうでなくとも鼓膜を破ってしまいそうな動物の大きな鳴き声が響きます。
失敗した場合は、耳を塞いでうずくまってしまってもおかしくはないでしょう。


【結末】
森の奥へと足を進める二人の目の前にやがて大きな水辺が広がります。湖の奥からは、女性のくぐもった泣き声と葉の揺れる音が響きます。

文学に明るいPCがいるのであれば、
いつか読んだ「不思議の国のアリス」を思い出しても良いでしょう。少なくとも、この場、この限りでは、その言葉が現状をよく表しているように思います。

どちらかが口を開こうとすると、女性の声がひときわ大きく響きます。
どうやら「彼女」の涙が降ってきたようでした。
そして、何かを判断するよりも前に、その大きな涙が湖に落ち、
湖が波となって貴方達に襲いかかってくるのです。