Stop




「勝手に動くのやめて、もっと手加減して」

眉間に皺を寄せて、唇を尖らせたアルカディアの愛らしさに内心微笑みつつ、顔だけは真面目なままクラウディオは首をかしげる。

「手加減?別に痛くないだろう?」

「痛くない。手加減して」

同じ言葉を繰り返され、考えるように腕を組む。
要するに「強制連続絶頂させられっぱなしで腰も背中もつらい、」ということか、と勝手に解釈してアルカディアを見遣る。

「じゃあ今日はお前の要望を叶えるように動くか」

自分の言葉に眉をひそめた男へついばむようなキスを二度、三度。四度目はアルカディアがおずおずと口を開いたことで深い愛撫のキスに変わった。
もっと欲しいとばかりに差し出された舌を丁寧に舐めしゃぶりながら、クラウディオはアルカディアが見ていたらギャッと怯えて後ずさりそうな、悪い獣の笑みを、浮かべていた。



「どうした、アルカディア。挿入れなくて良いのか?ほんの少し腰を持ち上げて、下ろすだけだ。頑張ってみろ」

「たのしませてみろ、…のまちがい…でしょ」

クラウディオの太ももの上にへたり込むように座ったまま、こんな時でしか見下ろせない男をぎっと睨みつける。
だが普段でさえ動じない男が、汗びっしょりの涙目で睨んだところで怯むはずもない。
確かに騎乗位の体勢であれば、寝バックの時のように圧し潰される苦しさはない。ペニスの挿入具合も当てる位置も、アルカディアの方でいくらでも調節できる。
 
だがそれは正常な体力が残っていればの話だ。
触られてないのにジンジンするほど執拗に乳首を吸われ、それが済んだと思ったら今度は指がふやけるまでぐちゃぐちゃにナカをかき回され、排泄器官だった場所をトロトロの性器へ仕立てあげられた挙句の、騎乗位。
サディスティックにもほどがありすぎる。
身じろぎした拍子に、こぼれるほど注がれたローションがぬちゃりと泡立つ卑猥さに首筋まで火照る。

「……私としては、このままお前を眺めているだけでも十分楽しめるが」

アルカディアの頭なんて片手で掴んでしまえるような大きな手が、腰というか尻というかの中途半端な部分を掴む。
すっかり情けなく眉を下げてしまったアルカディアは、もしかして動いてくれるのか、いやこの自分にだけ甘くもあり嗜虐的でもある男がそんな殊勝なわけがない、いやでも、という意味を濡れた視線に込めてクラウディオを見下ろす。
欲情と期待のこもった視線に心が満たされるのを感じながら、クラウディオは軽く腰を揺らす。

「お前は、ここを直に犯されるほうが好きだろう?」

「……? ……ッあ、あっ!?♡」

アルカディアの勃起したペニスより二回りは大きいそれの先端が、臍の辺りをくっ、くっと軽く突いて柔らかい皮膚と肉をへこませる。
薄い皮膚と肉越しに結腸部分を突かれている、と腹の奥から滲み出した快楽にわからせられたアルカディアが、慌てて腰を引く。
だがこの男の手は、アルカディアの抵抗など意にも介さない。クラウディオの精液を飲みたくてきゅうきゅう疼く場所を外側から刺激され、アルカディアの顔がくしゃりとゆがむ。
挿入されていると錯覚したアナルがひくついて、ちゅぷちゅぷ卑猥な咀嚼音を立てるのに泣きたくなる。

「っもぉ、さい、あくっ……!♡」

「無理やりイカせるなとリクエストしたのはお前だろう」

「…ここまでしろって、いってない…」

恐ろしいことに、これだけしつこく内からも外からも全身を撫でさすっているくせに、クラウディオはアルカディアに一度として射精をさせなかった。
絶頂の予感に身を固くした途端、指も唇も手品のように離れているのだからたまらない。両手の指でも足りないくらいそれを繰り返され、アルカディアの理性と身体は茹ですぎた芋よりぐずぐずに煮崩れてしまう。

​​──はやくされたい。射精したい。浅いところをゴリゴリえぐられたい。奥のところを壊れるくらい強く叩いて、ナカにたくさんかけて欲しい。

淫らな欲望は沸騰した鍋みたいに後からあとから湧きだした。
追い打ちをかけるように外から結腸を責められて、自分の意思ではどうしようもなくカクカク下品に腰が跳ねる。睾丸がひきつり、目の前がちかちかして……。

「ッあ、ッ!?♡…ッや、ぅ………ッ!♡」

「おっと」

イキそう、腹を擦られただけで絶頂するなんて淫乱すぎてみっともない、でもイキたくてたまらない……。相反する二つの感情で真っ二つに裂けそうだった身体は、腹を撫でる圧が消えたことでまたしても絶頂を抑え込まされた。
濡れて重たくなったまつ毛をふるふる持ち上げれば、滲む視界にクラウディオが楽しそうに微笑んでいるのが見える。
本当に自分から挿入れるまで手を出さないつもりなのだろうかとぼんやり思う。

決して小さくはないアルカディアのペニスを貧相に見せてしまう、クラウディオのそり返った逞しい肉棒は、先走りとローションにてらてらと赤黒く光っていた。
それを見ているうちに、今までとは違う種類の強い衝動が、むらりと胸を突き上げる。

意思が萎えかけた太ももに力を取り戻させる。段差の陰影さえ美しい腹筋に手を突っ張り、指を添える必要もないほど固くなったペニスにまたがる。
クラウディオは、柔らかく細めていた琥珀の瞳をみはり、それまでの悪戯っぽい雰囲気を消して真顔になる。
目鼻立ちのくっきりした男の顔はそうするとひどく恐ろしく見えた。檻の暗がりに潜んでいた獣が一歩、こちらへ踏み出したような。恐怖と、けれどそれだけでもない震えが背骨を走り抜けて、頭の後ろでパチッと弾ける。

「っん……」

亀頭が肉環を割り開く瞬間が、以前は苦しくて怖かった。
今は、クラウディオがナカに入ってくる実感で、脳が溶けてしまいそうなことのほうが恐ろしい。
腹筋に力を込め、ナカのものを強く抱擁してしまわないようこらえる。少しでも敏感なところに当ててしまったら、クラウディオに見られていようがお構いなしに前立腺オナニーに耽ってしまう、いやな自信があった。

「は……っ…ぁ、ぅっ……♡っあ、んっ……♡」

「……っ、」

前立腺に当たらないよう前へ前へと逃げるうち、姿勢が前のめりになっていった。アルカディアはあっさりと重力に負け、そのままクラウディオの胸へと倒れ込む。
反射できゅう、と後ろに力が入り……瞬間、テーブルに零した水のようなごく薄い絶頂感に肌を覆われ、アルカディアは舌の付け根を震わせた。

「ひ、ぅっ……♡」

待ち望んでいた解放はあまりにささやかだった。けれど飢えきっていた身体にはそれさえたまらなくて、アルカディアは目の前の広い胸に額を押し付け熱い溜息を吐く。
肌と肌をひたりと寄せた体勢の中、唯一、伸びをする猫のように浮かせた尻が、小刻みにビクビク震えている。
クラウディオがごくりとつばを飲んだのが、肌の震えでわかった。

今の衝撃だけでイッてしまいそうだった。
ゆっくり挿入れるとナカがぜんぶ擦られる感覚がリアルに伝わって、クラウディオが挿入ってくると感じる時間も長くて。
頭の中で反芻しただけでまた体が震え出す。

「〜〜……っ!!♡♡」

すっかりとろけたアルカディアの身体は、絶頂の記憶の反芻にあっさり再度の快楽堕ちをきめてしまう。押し寄せた快楽のさざ波に、アルカディアはきゅうと背中を丸めて耐えた。へたりこみそうになる足腰に何とか力を込め、最後の砦​​──くっと尻を持ち上げた体勢​​──をどうにか死守する。
クラウディオのペニスはどんな体位だろうと前立腺をゴリゴリと押し込み、ひっかくそれは、アルカディアにとって淫魔の見せる悪夢の具現だ。

深々と腰を下ろしさえしなければ体内に潜り込むこともないのが唯一の救いだが、逆に言えば一度でも腰を落としてしまえば、この獣が満足するまで延々搾精され続ける羽目になる。
今、奥まで挿入れられてしまったら、確実に堕ちる。落ち着くまででもいいから、このポーズをキープし続ける必要があった。

「っ……ふ、う……」

広い背中に手を回すと、少し落ち着いた。クラウディオにも抱きしめ返され、腕の重みにうっとり目を閉じる。背中の汗を拭うように動く大きな手も、少しくすぐったいが気持ちいい。
ナカは不随意にぎゅうぎゅうとひくつくが、前立腺にも結腸にも決定的な刺激を与えないポーズでじっとしているおかげで、強い絶頂が襲ってくることはない。
クラウディオの雄しか知らない場所は彼のペニスに完全にフィットする形に成形されてしまっている。押し広げられているだけで気持ち良いが、感じるのはオーガズムではなく満足感なので何の問題もない。
いくらこの男が忍耐強かろうが、そのうち焦れて動きたがるはずだ。こんなに固くした男が射精せず終われるわけがない。
つま先に達した絶頂感の甘さを、指を開いたり閉じたりして追い出しながら、他人事のように考えていた。



……その思考が消えたのは数十分、あるいは何時間か後のことだ。
意識が朦朧としているのでどれくらい前のことか自分でももうわからない。

「はーっ♡はーっ♡っあ、ん、やっ…♡だ、めっ、また…、あっ、あ〜〜……ッ!!♡♡」

目測を完全に誤った過去の自分を低い語彙で罵りながら、アルカディアは途方に暮れていた。
絶頂が終わらないのである。
最初に事故みたいに迎えたオーガズム。それを思い出したせいで落ち着きかけた絶頂がぶり返し、不随意反応で後ろを締め付け、突き出した胸がクラウディオの身体に擦れて乳首イキを起こして、身体を起こそうとしたら裏筋が腹筋の段差にひっかかってまたイッて、というのを繰り返し続けた結果、今の今まで絶頂感が収まらない。
その上、「待て」を命じられた雄膣が、「本体が腰を振りたくらないなら自分で動けばいいじゃない」とどこかのタイミングで気づいてしまったせいで、アルカディアの絶頂回数は加速度的に増加した。

咥え込んだクラウディオのペニスの、わずかな血管の盛り上がりにさえさえねっとり絡みつき、ローションをまといつけた襞を密着させてチュバチュバぐにゅぐにゅと舐め上げる。
特にひどいのが亀頭の当たっている太い襞だ。本来であれば結腸を守る役目である肉厚の壁は、別の生き物のようにモニュモニュうねって鈴口の割れ目をしゃぶりこみ、わずかに吐き出されるカウパーを蜜のように舐めすすっては狂ったように甘い痙攣を繰り返す。
それだけでもつらいのに、大事な結腸さえクラウディオに明け渡そうと、卑猥な蠕動運動まで始めてしまうのでたまらない。
カリのくびれにもぐりこみ、その動きでペニスを奥へ引っ張り込もうとするので、アルカディアは定期的に腰を持ち上げて奥襞を引き剥がさなくてはならなかった。その動作でまたナカをこねくり回されて絶頂する羽目になるので、前門の虎と後門の狼どちらに食われるのがマシかという最悪の状況だ。
勢いのない断続的な射精はクラウディオの腹さえ汚せず、結合部に流れては後ろを締め付けるたびに卑猥な粘着音を立てる。

──降りられない。
イキかたは浅いのに、ずっとイキっぱなしだ。イッたままイカされてるせいで、元の場所まで降りてこられない。
浅い絶頂であるからこそ起きてしまった悲劇であった。

結腸のような奥深い箇所に与えられるオーガズムであれば、責め苦がこれほどの長時間に及ぶより先にアルカディアの理性か体力が限界に達して失神していただろう。
そしてクラウディオは、深い快楽に怯えて逃げ出そうとするアルカディアを、彼が大好きな低い声や優しい顔でなだめ、甘えてその気にさせるのがうまい男だったが、気絶した相手を無理やりどうこうする趣味は(今のところ)なかった。
あるいは今日が普通のセックスの流れであればどこかのタイミングでスパートがかかっていたし、もっと早いタイミングでアルカディアが根を上げていれば、彼を甘やかすのが大好きな男は欲の満たされた微笑みを浮かべ、薄い腹を突き破ってしまいそうな激しいピストン運動を施しただろう。

だが現実のアルカディアはギブアップのタイミングを逃してしまいもはや口をつぐむ以外なかったし、「勝手に動くな、無理やりイカせるな」という命令を逆手にとって全自動絶頂マシーンと化した恋人を(こんな状況じゃなければ)優し気に見える笑顔でひたすら見守るクラウディオしかここにはいなかった。
このまま何もなければ、アルカディアは気絶することもできないゆるやかな絶頂を朝まで続ける羽目になったが……。

「……ぁ、ぅ……♡」

「よさそうだな、アルカディア?」

均衡を崩すべく動いたのはクラウディオだった。アルカディアの頭を爪の先まで美しい手が撫でる。アルカディアは子供のような仕草でぎゅうと伸ばされた腕に抱き着いた。

「お前が望む通り、私はじっとしているだけだが。お前がナカで抱いてくれるおかげで、存分に楽しませてもらってる。……私にもそろそろいいか?」

「……や、だぁ……♡」

「そんな声と……っ、……この顔で言われても、説得力はないな」

腕に顔を埋めたままアルカディアは力なく首を振る。しがみつかれた腕から手首だけを動かし、顎に手を添えて上向かせれば、普段の雰囲気なんて欠片も残っていない発情しきったトロ顔が現れて、クラウディオの喉が鳴る。
ペニスもビクンと跳ね、アルカディアは「あう♡」と丸っこい悲鳴を上げてまた絶頂した。

「……何故だ?お前もそろそろ限界だろうに」

「……ぁっ、ん…だっ、て……」

うろうろと視線をさまよわせながら、アルカディアは蚊の鳴くような声で答える。

「……さいご…まで、挿入れられ、たら……ぜったい……は、恥ずかし…イキかた、しちゃ、う……♡」

途中から羞恥のあまり目をつぶってしまったアルカディアは、クラウディオが何も言わないのは、あまりに淫乱すぎる発言に呆れているからだと考えた。

「お前に一つ教えてやろう」

背中をさすっていた手が尻を鷲掴む。そのまま下へ下へと力が加えられ、アルカディアは慌てて腕を手放した。
必死に踏ん張っていた膝が、彼の腕力にあっさり負け、汗で湿ったシーツの上を横にすべっていく。数十秒後には、クラウディオのペニスの上にぺたんと座り込んでしまうだろう。

「や、やだっ…まって、待っ…ぁ!?♡あっ、んぅ♡だ、めっ…♡いれな…でっ♡ぇあっ♡♡」

つぷんっ♡♡ ぷちゅっ♡♡ ちゅぷぅっ♡♡

ふやけきったアナルはちょっと追加で押し広げられても苦痛など感じず、喜んで飲み込んだ。興奮してぽってり腫れた前立腺に迫っていることに気づき、アルカディアは慌てて広い胸に手を突っ張り、不埒な男を押しのけようとあがく。

「は、ぅっ♡…まって♡くら、でぃお♡ぁっ、ゃだ…、まっ…ぁう♡♡」

「…お前が乱れてる様は私の大好物だよ」

腰を引き寄せる手はどんどん力を増し、反比例して下半身からは力が抜けていく。ゆっくりした挿入はあくまでクラウディオの慈悲である。
あと一ミリ、押し込まれれば棘の先端が前立腺の中心をコリッと押し込むところまで腰を進められ、せめて無様な声だけは押さえようときつく唇を引き結ぶ。

「………………あ、ぇ……?」

想像していた快楽は訪れず、アルカディアはぽかんと呆けた。
クラウディオの手が頬を包むのにうながされ、されるがまま顔を上げる。

「だからお前も、安心して私に食われに来い」

「へ…………あ、……?」

自分から腰を下ろせと言われたことを数秒かけてようやく理解し、アルカディアは慌てる。
クラウディオの願いは叶えてやりたい。だがイキ顔をこんなまじまじと見られるなんて恥ずかしすぎる。
元々通信速度の落ちていた頭に、対立する命題の解は求められず、オロオロと視線をさまよわせることしかできず……。

とんっ♡♡♡

「……はっ……?」

腹の奥に小さな刺激が生じ、アルカディアの身体が別の意味で硬直する。
それはクラウディオのペニスの先端に奥を小突かれる、身の覚えのありすぎる感覚だった。

「……あ、う…、う、そっ……♡」

ぎしつく動きで振り返ったアルカディアの目が見開かれる。
ギリギリで踏ん張っていた足は無様な「くの字」に折れ曲がり、シーツに投げ出されていた。支えを失った身体は重力に従って下へ落ち、クラウディオのペニスを奥までずっぷり咥え込む。
クラウディオが愛情たっぷりに仕込んだ身体は、主人に腹を見せる犬のような素直さで、頭で考えるより早く、自ら雄膣の最奥を差し出していた。

「あ……っあ、ぁっ……♡」

きゅう♡ きゅう♡♡ きゅうううんっ♡♡♡

現実を受け入れられずにいたことで遠くにあった快楽が、「クラウディオのペニスで奥まで突かれている」とアルカディアが認識したことで、ひといきに押し寄せる。

「やぅっ♡あっ♡あ、あっ♡♡ふ、あっ♡♡♡」

胎奥と前立腺を同時に揺らされる強烈なオーガズム。背中がしなり、首がのけ反る。だが頬を掴まれているせいで顔を背けることは許されない。

「くらぁっ♡♡くあ、ぃお♡♡♡だ、ぇ…やだ、ぁ♡♡見な、で…♡♡♡♡」

「断る♡」

がんばれ、とほほ笑んでクラウディオはこめかみにちゅっとキスを送る。
​​──恥ずかしい。気持ちいい。
手は胸の間に挟まれて動かせない。いやいやと首を振っても手は無慈悲に顔を固定し続ける。

「えぅう♡くぁ♡でぃ♡お♡♡」

後になって振り返っても、この時の自分が何故あんなことを口走ったのかわからない。何でもいいから声が出したくて適当に口にしたのか、そうすればいいと無意識で計算していたのか。
結論から言えば、その夜アルカディアはクラウディオにそれ以上、情けないアヘ顔を鑑賞されることはなかった。

「…キス、して、」

「……ッ!!」

やってくれたな、と呻くように吐き捨てる男の声を聴いた気がした。

「んぅうっ♡♡ぅっ♡♡ん〜〜ッッ♡♡っふ、あ♡はっ、ぁっ、ぁぅ、ん゛ッッ〜〜♡♡」

気づけば、クラウディオに唇を塞がれていた。頬を撫でていた手が後頭部に回り、唇がひしゃげるほど強く押さえつけられる。口中を余すところなくかき回され、それまで以上の快楽が頭の中で大輪の花を咲かせる。
同時に、胎の奥に熱いものを大量に注がれる。噴き上がる精液に結腸全体をピストンされ、アルカディアは喉の奥で獣のように喘ぐ。
あまりに強く精液がほとばしるせいで、ペニス本体までもが激しくのたうつ。奥まで挿入されたまま、雄膣の襞全体を小刻みに揺すられる未知の快感に、アルカディアのつま先がぴんと伸びる。
足は次第に高度を下げてシーツの海へと不時着しようとするが、ずんっ!と今度は腰をばねのようにしならせた意図的な突き上げを食らい、またしても天国の方向を指し示した。

ぶしゅっ!ぶしぃいっ!と水のように薄い精液​​──それが潮だとアルカディアが知るのは夜明けになってからだ​​──を噴き散らしたのに気づいたのは、誘い出された舌を絡め合っていた時だ。

「ふあぁっ♡♡くらぃお、くら、でぃ、お♡♡ それっ♡♡それやら゛♡♡やぁあ♡♡あ、ぁぅう♡♡」

「ああ、…おいでアルカディア」

重なる唇の向こう、熱にあぶられ普段ではありえないぼんやりした目つきになった男の姿に、アルカディアは無意識に安堵の息を吐き、腕を伸ばしてローズグレイのゆるくうねる後頭部をかき抱いた。
目論み通り、夜が終わるまでアルカディアはクラウディオに焦点の合わぬ距離を保たせ続け、ドログチャのイキ顔を見せるけるのだけは回避してみせた。

数時間後。
無理やりイカせないって言ったくせに、と枕に顔を埋めたがらがら声でぼやくアルカディアへ、お前の要望を叶えるように動くとも誓ったぞ、と高貴な獣はこちらも掠れた声で返し、楽しそうに微笑んだ。