That can't be a break


「ぅ…♡あ♡あ♡は、ぁ♡」

今、アルカディアはクラウディオに対面座位の姿勢で抱きかかえられて、ユサユサと揺られながら背中をトントンと叩かれていた。
これは優しいクラウディオなりの『休憩』である。イキ過ぎて疲れ果て、ぐったりしているアルカディアを休ませるつもりで抱っこしてくれているのだ。赤ちゃんをあやすようなこの格好は、クラウディオに大切に扱われているということを全身で感じられて、ときめきと安心を同時に味わうことが出来る。
ただ……これを『休憩』と思っているのは、クラウディオだけだ。
自重によって正常位よりも奥まで入ったペニスは内臓まで圧迫し、揺さぶられているせいでグニグニとゆるく潰されるクリトリスはもどかしい刺激を断続的に与えてくる。これまでに何度もイカされているアルカディアの体は快感の波から降りられず、ぼんやりと吐息に混じらせて小さな喘ぎ声を漏らすしか出来ずにいた。

「落ち着いてきたか?」

アルカディアの髪を撫でながら、クラウディオが優しく問い掛けた。
……落ち着いたと言えば、落ち着いた、ような。
先程までのアルカディアは両手首を固定されながら正常位で激しく突かれ、半ば泣き叫ぶように喘いでいた。それに比べれば……。
「ぅ」と返事にもならない声を出しながら僅かにコクリと頷くと、まぶたに触れるだけのキスが落とされた。
正直、このまま眠ってしまいたい。しかし、それは多分叶わない。中に埋まっているペニスの震えが、そう教えてくれている。

「まだ、頑張ってくれるか?」

「………っ、♡」

耳元で囁かれる、クラウディオの低く甘い声。
アルカディアがこの声に逆らえないのを知っていて、わざとしている。
体はもうヘトヘトだと悲鳴を上げているのに、クラウディオの声が耳に注がれた瞬間、キュと膣が締まった。
それを合図のように、クラウディオが体を動かす。

「ん……え……?」

アルカディアを抱っこしていたクラウディオの上半身がフと離れたかと思うと、彼はクッションをヘッドボードと自分の間に立て、それにもたれ掛かった。もちろん下は繋がったまま。
急に遠のいたクラウディオに不安を感じ、すがりつこうと両手を伸ばすと、その手は簡単にパシと掴まれ、彼のおへその辺りに置かれてしまった。

「私の上で動けるか?」

「…へ」

それは、つまり。

「騎乗位だ。わかる?」

口に出されると、途端に恥ずかしさと緊張が高まった。
実は初めてのこの体位。クラウディオを若干見下ろすような姿勢に、アルカディアは今、完全に固まってしまっていた。いつもリードしてもらってばかりだったアルカディアは、彼の上に乗るなど、全く発想が無かったのだ。
アルカディアの知る『騎乗位』では男性は仰向きに寝転んでいるが、今のクラウディオはクッションにもたれているせいで少しだけ座位に近い。きっとアルカディアが初めての体位に不安がると予想して、顔を近付けてくれたのだろう。その優しさが、嬉しいような、恥ずかしいような、複雑な気持ちだ。
じっとこちらを見つめるクラウディオの視線に耐え切れず、アルカディアはおずおずと口を開いた。

「あ、ぇ、ど……どう…すれば……」

出た声は、自分でも笑ってしまいそうになるくらい情けなかった。
女性側が動く体位だということは知っているが、今のアルカディアは上下に動こうにも腰に力が入らず、到底クラウディオを気持ち良くさせてあげられそうにない。
途方に暮れ戸惑ったままでいると、クラウディオがアルカディアの腰からお尻をその大きな手の平で包むように持ち、ゆるゆると前後に揺らし始めた。

「こうやって、自分の良いところを当てるように擦ってみろ」

「……ぅ…っ、…ふ、ん……ぁ…ッ♡」

ヌチャ、ヌチャとまとわりつくような水音が立つ。膣に溜まっていたアルカディアの愛液とクラウディオの精液が、結合部でかき混ぜられる音だ。
アルカディアの下半身に添えられたクラウディオの手は決して速い動きではない。疲れたアルカディアの体の様子を見るような、極めてゆっくりとした前後の往復だ。
ただ、それだけに、擦られている部分に意識が集中してしまう。

「ぁ……はぁ…ッ♡ぁ♡……ぅ…♡」

ズ…ッと圧迫され形を変える小陰唇。ヌリュ、と押し潰される勃起したクリトリス。既に包皮から出きっていたクリトリスは、軽く体重がかかるだけで背筋を痺れさせる。

「自分で動いてみろ」

クラウディオがアルカディアの下半身からそっと手を離した。支えをなくし止まっても良いはずなのに、快感を求め出した腰ははしたなくも動き続けてしまう。

ヌル…、ヌチャ…ヌチャ…ッ

クラウディオの腹筋に手を置き、アルカディアはヘコヘコとだらしなく腰を前後に擦り付け始めた。

「ぁ…っ、あ♡ん…ッ♡ぁ……ぅ、ッ♡」

「そう、上手」

グニグニと潰されるクリトリスと、ペニスで圧迫される膣壁。
クラウディオでオナニーしているみたい。
そう思ってしまった途端、外と中が同時にジワジワと責められ、だんだんと腰の動きが速く、強くなっていく。
気付けばアルカディアは夢中で腰を動かし、自分がイクことだけを考えていた。

「ぅ、あ♡あ…ッ♡ん♡♡ぅ、ぁッ♡も…っ、い…く…、っ♡♡」

「ああ、好きなだけいけ」

そう言いながら、アルカディアの垂れた髪を耳にかけてくるクラウディオ。イク時の顔を見られる羞恥心が一瞬過るも、それはすぐ快感の陰に隠れる。
速まる腰、グリグリと前後に押し潰されるクリトリス。グ、と体に力が入った。

「あ、あ、あ……ッ!♡くらでぃお…ッ♡♡や…ッ♡あ♡う…ッ♡ん、ん、…んっ…♡ぅ、っ♡ぁ♡ぁ…っ♡あ♡い、く​​──………ッんん、〜〜〜ッッッ!♡♡♡♡」

ビクッ、ビクッ

手の平に爪が食い込む程強く握りしめ、丸めた背中を大きく痙攣させる。開きっぱなしになっていた口からよだれが垂れ、クラウディオのお腹に落ちた。
大きな絶頂の脱力と単純な体力の限界からガクッと腕の力が抜けたアルカディアは、クラウディオの上半身に倒れ込むように体を突っ伏した。
ハアハアと肩で息をすると、ポンポンと背中を軽く叩かれる。あやすような、子供を寝かしつけるようなそのリズムに安心し、ゆっくりと降りていくまぶた。この心地良い倦怠感の中で、眠りについてしまいたい……。そう思った、その時​​──。

ズンッ

「ッ!?♡」

下半身が、突然下から強く突き上げられた。
強制的に引っ張り戻された意識では何が起こったのか状況を整理できず、ただ目の前がチカチカと点滅する。前触れなく内臓を圧迫されたことで一瞬息が詰まり、声を上げることすら出来なかった。

ズンッ、ズン…ッ

「、ッ!……ぁ、ッ!♡あ゛ッ♡」

『待って』。そう言う隙もなく、規則的に突き上げられる腰。必死に呼吸をすると、吐く息は可愛くない喘ぎ声になって出ていく。
強すぎる揺れに振り落とされないようクラウディオの肩に爪を立てると、アルカディアの腰を掴む彼の手に力がこもった。

「あ゛ッ♡ぅ、あッ!♡う♡んッ♡ぅ♡…ッ♡や♡ま、まって…!♡くら、ぃお…ッ!♡♡あ、ゃ…ッ♡むりっ♡むりっ♡あ゛♡ぁッ♡あッ♡」

グチャッ、グチャッ、グチャッ

ユサユサと上下する体に合わせて、結合部からはしたない水音が聞こえてきた。
クラウディオが大きく抜き差しする度に、クリトリスが熱いペニスにグリッと擦られ、腰が跳ねる。そして、その跳ねる腰を逃すまいと、押さえる手に益々力がこめられる。
クラウディオの上に密着しているアルカディアは、まな板の上の鯉のように逃げ場も無くただ膣をガツガツと突かれていた。

「あ゛…ッ♡あ、う…ッ♡うッ♡あッ♡あ♡あ♡あ…ッ!♡だ、め…ッ♡♡くら、ぃお…ッ♡も…、イっ、ちゃ、…♡♡」

「はぁ、……私も、そろそろ」

「ぅ♡あ…ッ!♡ぃ、きもちぃ…♡んんぅ♡ふ♡ぁ♡あ、あ、あ♡♡イっ……いく…ッ♡♡」

「…っ、」

下から迫りくる大きな快感の波。アルカディアはクラウディオにしがみつき、手足の指をギュッと丸め、膣を締めた。

「あっ、あっ、あっ♡くらでぃお♡いく♡いく♡♡ぅ…ッ♡ぁ、くら、ぃお…♡あ♡あ♡い、く…ッ♡う♡ぁ、ぁ、ぁぁっ、ぁ​​──……ッッ!!♡♡♡」

ギュウウッ
ビクンッ、ビクンッ

クラウディオの太い腕の中に閉じ込めるように押さえられ、抱き締められながらも、大きく跳ねる腰。身動きの取れないこの体勢で唯一上下できる腰を体は無意識のうちに動かし、快感を発散させようとする。
もともと飽和状態になっていた膣内から、今の射精で溢れた精子がゴプリと漏れた。
下からペニスを挿され、上から抱き締められ、クラウディオに固定されてしまったアルカディアは朦朧とした意識の中、ただ腰をひくつかせる。

「ぁ…ッ、ぁぅ…♡ぅ♡ん♡…ぁ…ッ♡」

時折ピクンと動くペニスに刺激され、腰の疼きはなかなか収まらない。
浅く速い呼吸を繰り返すと、膣ひだが柔らかくペニスを包む感触が伝わってきた。

「このまま、少し寝るか?」

頭の上でクラウディオの声がする。
涙とよだれでベチョベチョになったアルカディアの顔を優しく拭きながら、そっとクラウディオが髪を撫でてくれた。
安心感から、丸めていた手足の指をほどき、全身をクラウディオに預ける。大きく息を吐くと、急激な眠気が襲ってきた。

「くらでぃお…すきぃ……」

ぽつり。夢現で呟いた言葉は消えていく意識に溶け、最後にひとつ、クラウディオの熱いため息が聞こえた気がした。