定期的に行われる組織内での宴会は、時間が進むにつれ、どんちゃん騒ぎと成り果てた。

部屋に戻って呑みなおそうか、なんて即物的な口実。
アルコールに浸った脳みそは、耳元にそっと囁かれたその誘いを無碍にはできなかった。それどころか、わざとらしい手つきで腰を抱かれたときには酒宴の賑わいなんて徒事も同然。
悠然とアルカディアの腰を撫ぜるクラウディオの大きな掌の感触に、じんわりとした熱が身体の奥から込み上げた。堪らなくなったアルカディアは酔態を装いクラウディオへと身を寄せて、くったりと身体の力を抜く。そうしてちらりと視線を持ち上げたその先には、生々しい情欲を孕んだ対の瞳があった。



連れ立って向かった先は、クラウディオの一人部屋。
クラウディオは酒盛りの続きとばかりにワインの瓶を手にグラスを差し出した。体裁ばかりに一杯交え。それからはもう、なし崩し。
アルカディアの身体を抱きすくめたクラウディオは、酒の匂いのする吐息と共にアルカディアを呼んだ。
それに答えようと口を開けばすぐに唇を奪われて、貪るようなキスの合間にも愛おしげに名前を呼ばれるものだから、たまったものではない。アルカディアの名を呼ぶ声にも、触れる指先からも、隠しようのない劣情が伝わってくる。

「ぁ、…ん、」

服の上から胸の先端を押し潰されて、きゅうっとつままれれば自然と甘い声が洩れる。布越しでも分かるくらいに立ち上がってしまったそこを引っ掻かれて捏ねられてしまえば、じくじくとした疼きが下腹の方まで広がっていくような気がした。
もっと強い刺激を求めて無意識のうちに背筋をしならせていたせいか、まるで強請っているかのような体勢になってしまっていることに気付いて頬が火照る。そんな浅ましい姿を見られまいとして身を捩るも、それを咎めるように両方の突起を強く摘ままれて、あられもない悲鳴をあげてしまった。

「ひ、ぅッ、」

そのままぐりぐりと押しつぶすようにして弄ばれたかと思うと、今度は爪先でかりかりと引っ掛かれる。痛みを感じる一歩手前の力加減で与えられる快感に、思考回路ごとどろどろに溶かされていくようだった。
ふわふわする頭の中で必死に理性にしがみついてみても、クラウディオの手の動きに合わせて勝手に跳ねてしまう身体をアルカディアは抑えることができない。すっかり芯を持って硬く尖ってしまった乳首を執拗に苛められながら、もう片方の手で脇腹や臍の周りをさわさわとくすぐられるたびに甘えた猫のような鳴き声が出てしまいそうになる。

それでもどうにか堪えようと歯を食い縛ってみたところで、不意打ちのように首筋から耳の裏にかけてゆっくりと舐めあげられる。それだけで腰が砕けそうなほど気持ちが良くて、喉を反らせて感じ入ってしまう自分が憎らしい。

「っ……う、ぁ……」

膝を擦り合わせてやり過ごそうとしていたら、クラウディオの大きな手が太腿の内側をするすると撫ぜていく。際どいところを掠めては離れていく手付きがいやらしくて、焦れったくて仕方がない。
はやく触れてほしいという欲望を抑えきれずに腰を揺らせば、クラウディオはくすりと笑みをこぼしてアルカディアの下履きを剥ぎ取った。
 
何処からか取り出したローションをたっぷりとまぶした指先が、くるくると尻の穴を撫で回す。甘い匂いのする液体を塗り込めるような指の動きにアルカディアが腰を浮かせていると、ふっと笑ったクラウディオの顔が近づいてきて、優しく啄むように唇を吸われた。分厚い舌に口の中をねぶられると、頭がぼうっとする。自然と身体の力が抜けたのと同時に、後孔を撫で回していた指先がつぷりと入り込んできた。

「っん、んぅ…ッ」

喘ぎ声は、クラウディオの口の中に呑み込まれる。浅いトコロをほじくるみたいに弄られて、アルカディアは軽く首を逸らせた。抵抗なんてする気はないのに、身体が勝手に逃げてしまう。しかし、背後から抱きしめられた体勢のままでは、逃げるすべなんてあってないようなものだ。案の定、クラウディオの太い両腕は、アルカディアの動きをやんわりと制止した。

「逃げるな」

一瞬だけ離れた唇が濡れた音と共にそう囁くと、アルカディアが口を利く暇も与えず、また唇を塞がれる。煮詰めた蜂蜜のような色をした瞳が細まって、ナカにうずめられた指先が意地悪に快いところを捏ね上げた。それからゆっくり、じっくり。太い指で奥を拓くようにされると、腹の奥がじくじくと疼いて堪らなくなる。立てていた膝が自然と開いて、腰が浮いた。指の動きに合わせてかくかくと揺れてしまう腰の動きが、我ながら滑稽だった。
 
「ッぁ、ぁ…、」

「…足開いてるぞ、やらしい」

低く落とされた声に、アルカディアは思わず息を詰めた。
クラウディオに指摘された通り、アルカディアの足は無様なほどに大きく開いて、クラウディオの指に媚びるような格好になっていた。
厚い手のひらが内腿をさすり、皮膚の弾力を愉しむように揉み込まれる。その淡い刺激はまるでぬるま湯のような快感となって身体の輪郭をなぞり、期待感に疼いた腹の奥がナカを犯す指に甘えた。

「そんなに急かさなくても、ちゃんとしてやる」

可愛いな、と舌なめずりをするクラウディオが、ゆったりと腰を擦りつける。張り詰めた昂りの熱を布越しに感じて、アルカディアの喉がきゅうと鳴った。は、と洩れた吐息が妙に熱い。アルカディアは無意識に手を伸ばして、クラウディオの両腕に爪を立てた。

「ゆび、」

「……ん?」

「ッぁ、も……ゆび、じゃ、足りな、から、ぁ、もっと、」

みっともなく震わせた唇から溢れた声は、自分のものとは思えないくらいに甘く蕩けていた。アルカディアはクラウディオの腕に縋りついて、媚びるように腰を揺らす。恥ずかしい、情けない。でも、欲しがる身体はどうにもならなかった。
クラウディオは、そんなアルカディアを宥めるように額に唇を落とすと、そのまま指を軽く引き抜いた。ローションを継ぎ足して二本に増やした指が入り込み、ぐちゅぐちゅと粘っこい音を立てながら奥を掻き混ぜる。途端、脳天を痺れさせるような快感に身体中を支配されて、ぐるりと視界が回った。

「ぁ゛〜ッ、ちが、ぁ゛、ぁッ、…う゛♡」

「何が違う?」

「ゅび、じゃ、なッ、ぁ゛〜〜ッ!♡ はッぁぅ♡」

さっきまでとは打って変わって荒っぽい指の動きに、上手く言葉が出てこない。視界がぶれて、思う通りに身体が動かない。
がくがくと震える腰を抑え込まれて、クラウディオの硬い指先がアルカディアの快いところだけを重点的に捏ねた。身体の震えが止まらない。クラウディオの指が与える快感に逆らえず、媚びるばかりのだらしない身体。羞恥を覚えないといえば嘘になるが、胸の奥をざわめかせるようなその羞恥心すら癖になってしまっていた。

「ん、ぁッ、ぁ〜ッ、ぅ゛♡」
 
太い指に奥を抉られて、アルカディアは首を仰け反らせて喘ぐ。溢れた涙が頬を濡らして、弛んだ口の端からとろとろと唾液が垂れる感覚があった。
明瞭を欠いた視界と、ふわふわとした思考。中途半端に高められたアルカディアの身体は熱を持って、煮え切らない快感で満たされていた。これで、気をやれたら随分と楽なのだろうと思う。しかしクラウディオは、寸でのところでアルカディアの身体を放り出してしまう。

「ッぁ、ぁ…、ぁう、はッ、」

二本の指が隘路を拓くようにしながら、ゆったりと抽送する。ずりずりと腹の裏側を撫でて、拡げて。泣きたくなるほど優しい手つきに、身も心も蕩かされるような心地だった。逃げ道を塞がれ、発散できない熱に苛まれる。もう、アルカディアの頭の中に碌な思考なんて残されていない。先ほど、布越しに感じたクラウディオの熱が欲しくて仕方がなかった。

無性に何かに縋りたくて堪らなくなり、アルカディアはクラウディオの太い腕にそっと触れた。啜り泣くような喘ぎ声の合間にクラウディオを呼べば、琥珀色の瞳が愉しそうな弧を描く。そしてナカを弄っているのと反対の手が、アルカディアの頬を撫でた。

「どうした」

「ッぁ、もう、…くらでぃお、はやく、ッぅ」

「…まだ指二本しか入ってないぞ、あともう少しだけ」

「ぁ゛ッ、……ッん、ばか、ぁ、ゃめ、ぇ♡」

「無茶して後で辛くなるのはお前だぞ」
 
アルカディアのことを慮っているような物言いをするくせに、当のアルカディアに決定権がないのは明白だった。首を横に振っても、なじっても。返ってくるのは悩ましいばかりの責め苦だけ。

「な、アルカディア?」

可愛らしく首を傾げて、優しく微笑んでいるくせに。アルカディアのナカを拓く指の動きは酷く俗っぽい。
唇を噛み締めて返事に焦れるアルカディアの機嫌をとるように、クラウディオはゆうるりと手首を返す。とんとん、と指の腹で前立腺を叩かれて、胎の奥がじゅくりと疼いた。

「んっぁ、も…ぉ、ばか…ばかぁ、」

首を振りながら何度も文句を言えば、アルカディアの頬を撫で回していたクラウディオの手がそっと首に添えられる。すりすりと優しく撫でられると、ぞわりと体が震えた。その間にも、後孔を弄くる指は止まらない。ぬこぬこと抜き差しする指はいつの間にか三本に増えて、掻き交ぜるような水音が一際大きく響いた。

「ぁッ、ひ…ぃ、ぁッ、ぁあッ♡」

閉じられなくなった口からは、喃語のような声しか出せない。急かすような快感の波がぶわりと身体を呑み込んで、堪らなくなってしまう。
どうにかこの熱を散らしたくて、アルカディアはクラウディオの腕を引っ掻いたり、爪を立てたりしてみる。しかし、クラウディオの指はそんなのお構いなしといった様子で執拗にアルカディアの身体を犯し続けた。
大きく開いた両脚の間で、張りつめた性器がとろとろとはしたなく蜜を零している。あと少しの刺激さえあれば達することが出来る、と伸ばしたアルカディアの手を、クラウディオに制される。

「こら」

「ッ、ぁ…なん、で——ッぁ゛!♡」

アルカディアの言葉を遮るように、指が奥まで突き入れられる。そのまま、ばらばらに動かしたり、時折思い出したように手前の方まで引き抜いてみたり。かと思うと、再び奥まで押し入れて、胎内を拡げるような動き。緩急のついた指使いに翻弄されて、アルカディアはただ喘ぐしかない。身体を震わせて喘ぐアルカディアの耳元に口を寄せて、クラウディオは甘ったるい声で囁いた。

「私以外の手で気持ちよくなるのは許せん」

「ぁッ、ぇ……?…なに、なん、でぇ…ッ!」

「言葉の通りだ」

その言葉と同時に、後孔を虐める手が激しくなった。内壁を擦り上げるようにしながら何度も出し挿れされて、視界がぐらつく。腹の奥底に溜まった熱が出口を求めて暴れまわって、どうしようもなかった。

「ひッ、ぃ…ぅ、んぁ、あッぅ、」

散々に慣らされた後孔はすっかり柔らかく蕩けていて、クラウディオが指を動かすたびに、ちゅぷ、ぢゅぽと下品な音を立てる。自分の意思と関係なしにひくついてしまう窄まりが恥ずかしくて堪らない。
必死に快楽に耐えようとするアルカディアに追い打ちをかけるように、クラウディオの指先がぐりっと前立腺を押し潰す。途端、電流を流し込まれたような強烈な感覚が背筋を駆け抜けて、アルカディアは喉仏を突き出すようにして仰反った。

「ぁ゛ッ、ぁ゛ッ、ん…ぁ〜〜ッ!♡♡♡」

「ここ、好きだろう」

「ぅぁっ、あッ、やめ…ぁッ♡」

腸壁を拡げるみたいに、クラウディオの指がバラバラに動く。アルカディアの意思とは無関係に収縮する媚肉を掻き分けながら、腹側の浅いところをごりごりと責め立てられて、アルカディアは身体を捩らせた。
腰の動きに合わせて揺れた陰茎の先端からは、ぴゅくぴゅくと白濁液が漏れ出している。勢いに欠いた射精は長く続いて、まるで粗相でもしてしまったかのような錯覚に陥った。

「ッぁ、ぁぅ……う…♡」

身体中を蝕む甘い痺れ。脳髄がどろどろに溶けてしまったみたいな心地だった。じんわりと波及してゆく悦楽に身を委ねたまま、ゆったりと腰を揺らして絶頂の余韻に浸っていると、不意にクラウディオの指が引き抜かれた。

「ぁッ、ぇ…」

呆けたように見上げると、クラウディオは雄くさい笑みを浮かべて舌舐めずりをしていた。そのままクラウディオに腕を引かれて身体を起こすと、腋の下から手を差し入れられ、背後からぎゅうっと抱きしめられる。
ぐい、と腰を引き寄せられたかと思えば、尻のあわいに熱い昂りを押し当てられた。ずっしりとした質量と灼けつくほどの熱に、アルカディアの頭はくらくらとした。呼吸を試みて口を開いても、喉が震えてみっともない音が洩れるだけ。

「は、ぁッ…く、ら、ぃお…♡」

舌足らずの甘ったるい声に恥じ入る余裕は、欠けらも残されていなかった。アルカディアの呼びかけに応じるように、クラウディオの手が腰を支える。そして後孔に剛直の先端をくっつけたまま、クラウディオは焦らすように腰を揺らした。ちゅぽ、ちゅぽと粘っこい音と共に先っぽが入っては、出てゆく。大きく張り出した雁首が肉輪を引っ掛けるたび、うずうずとした性感がアルカディアの腹の奥に湧いて、気が狂いそうだった。

「アルカディア、力抜け」

ひどく優しい声でそう囁いたクラウディオは、アルカディアの肩口に顎を乗せてそっと首筋を食む。触れる吐息がくすぐったい。そう思う間もなく、クラウディオの怒張がゆっくりと後孔を割り拓いてくる。

「——ぁ〜〜ッ、ぅ゛ッぁ、あッ♡」

ずぷ、ずぶ、とゆっくり押し入ってくる熱杭に身体の内側を満たされて、アルカディアは背を仰け反らせた。
身体が勝手にびくびくと跳ねて、口の端からは唾液がこぼれる。散々に指で犯されたそこは、待ち侘びた熱と身体の芯まで響くような悦楽に歓喜した。

「んぁっ、ッは、あ゛ッう♡」

「っ、は……堪らないな、」

腹の奥がきゅんきゅんとうねり、頭の天辺から爪先まで痺れるような感覚に襲われる。無意識に腰を逃そうとしてしまうが、腹に添えられたクラウディオの手がそれを許さない。もうずっと絶頂が続いているかのような心地に、視界が明滅する。

「んぅ、ぁ…、ぁッ、ぅ゛〜ッ♡」

腹の濡れる感覚がして視線を落とせば、ひくひくと震えるアルカディアの性器が白く汚れていた。とめどなく竿肌を垂れ落ちる精液が、なんだか情けない。
 
「ぁ、ん、ぁ…はッ…ぁ、な、にッ…これ、ぇ♡」

気を遣ったはずなのに、身体の中に渦まく熱はちっとも収まらない。むしろ、じりじりと燻るような、擽ったさにも似た快感に呑み込まれて身悶える始末。
アルカディアは必死になって身体を捩ると、クラウディオの首に腕を巻き付けた。もっと欲しい。奥の方を突いてほしい。そう思って必死に腰を振りたくっていると、クラウディオが宥めるような手つきでアルカディアの下腹部を撫でる。臍の少し下あたりをぐっと押された瞬間、身体の深いところがきゅうっと疼いた。

「ぁッ、ぁ…やぁあッ!ゃめ、そこッ、や゛ぁっ♡」

「ん、ここが好きか?」

とん、と軽くノックするように最奥を突かれ、追い討ちをかけるようにそこを何度も何度も抉られてアルカディアはひっきりなしに喘ぎ声を上げた。そのままぐりぐりと亀頭を押し付けられて、あまりの気持ち良さに頭を振る。

「ぁッ、あうっ、おく、いッ、あ♡♡いく、いっ、あ゛ッ♡」

アルカディアが達している間も、クラウディオの動きは止まらなかった。
肉筒の奥まったところを穿たれて捏ねるようにして揺さぶられるたび、腹の奥がじんわりと甘く溶けてゆく。アルカディアは馬鹿になったみたいにはしたない声で泣き喚いて、クラウディオの剛直に媚びた。

「ぁ〜〜ッ♡うぁ、…あ゛〜〜ッ♡」

「…よく締まる」

アルカディアの尻たぶを揉み込んで、クラウディオはうっとりと声を洩らす。そのまま、ぱんっぱんっと音を立てて打ち付けられると脳髄が蕩けるほどの悦楽に襲われて、アルカディアはまたみっともなく甘イキを繰り返した。
捏ねあげるような動きに合わせて奥まった所を虐められると、その先にある、未知の快楽を予感させて腰が引けた。しかしそれを咎め立てるかのようにクラウディオの指先がアルカディアの乳首を摘むものだから、いよいよ逃げ場がない。胸の尖りをくにくにと弄ばれながら激しく腰を打ち付けられて、アルカディアは舌を突き出して善がった。

「ぁ゛ッ…ぉ、あ、〜〜ッぁ゛!♡」

過ぎた快楽にアルカディアは長い髪を振り乱し、クラウディオの腕の中で身体をくねらせることしかできない。
それでも、クラウディオはアルカディアを追い込む手を緩めようとはしなかった。耳殻を食まれ、首筋に歯を立てられる。そうやって身体中を愛でられれば、アルカディアの思考はどろりと濁ってゆく。
その間も抽挿は激しさを増し、突き上げるような律動に変わっていった。クラウディオの怒張が隘路を押し拡げて出入りするたび、太く張り出た雁首がごつごつぶつけられるたび。甘い絶頂が押し寄せてきて、アルカディアは咽び泣いた。

「んぅぅ♡ぁ、あ、うあ〜〜ッ♡♡ふ、ぅぅ、んッ!♡」

「はッ、ぁ……アルカディア、」

不意に、クラウディオがアルカディアの顎を掴む。より一層激しくなる律動に呼吸すらままならなくなって、目の前が真っ白に染まった。

「ッく、は……出すぞ」

そう言うや否や、クラウディオが一際強く腰を叩きつけてくる。どくどくと脈打つ熱杭の先端が、アルカディアの最奥に押し付けられた瞬間。熱い飛沫が弾けて、腹の奥底が焼けそうなほどの熱に包まれる。胎の中を濡らされたその感覚に、頭の芯まで痺れるような多幸感を覚えた。

「んぁ、ぁッ…♡ぁッ、あう、は…、♡」

「ッは、ぁ…、」

たっぷりと吐き出された精液を擦り付けるように、クラウディオはゆるく腰を揺らす。その刺激に小刻みな絶頂を繰り返していると、クラウディオの大きな手が腹の上に乗せられる。そしてゆっくりと下腹部を押されて、アルカディアは堪らず身体を震わせた。切なさにも似た快感が込み上げて、身体が熱くなる。

「……お前の中は、本当に堪らない」

クラウディオは熱に浮かされたように呟くと、アルカディアの背中にぴったりと胸板を合わせるようにして覆い被さる。そのまま俯せに押し倒されて、汗ばんだ肌が吸い付く感覚にぞくりとした。

「ふ、ッ…ぁ、ぁッ♡」

後ろを繋げたまま体勢を変えられたせいで、中の剛直の位置が変わる。それに反応して収縮した粘膜が、再びその存在感を強く感じ取って戦慄いた。
ずっぷりと奥の奥まで嵌まり込んだ先端が、行き止まりの弁をぐいぐいと押し潰してくる。その度に甘い官能の波が襲ってきて、アルカディアはみっともない声を上げ続けた。

「ぁ、あ……ん、ぅ♡はぁッ、ぁ♡」

「ほら、わかるか? お前の腹、いっぱいになった」

「ぁ……ぁッ♡」

クラウディオはそう言いながら、掻き混ぜるように腰を揺らす。ずちゅ、ぐちゃ、と緩慢な動作で抜き差しされる度、アルカディアは甘く達した。脳天を突き抜けるような強烈な快楽はないけれど、延々と続くような深い絶頂に意識が蕩けてゆく。

「ひぁ、んッ♡んぅ、ん……ぁ、あ♡」

「なぁ、アルカディア」

耳元で囁かれて、びくりと肩を跳ねさせる。この甘ったるい声音には覚えがあった。クラウディオがこういう喋り方をするときは大抵、ろくでもないことを考えてる時だ。案の定、アルカディアの予想は的中したようで。クラウディオは上機嫌に笑みを含んだ声でこう言った。

「この奥、きっともっと良くなるぞ」

そう言って、臍の下あたりに差し入れられたクラウディオの掌が、とんとんと軽くそこを叩く。それだけのことで、じくじくと疼き始めたそこが酷く敏感になった気がした。
アルカディアの意識に摺り込むような手つきに、妙な想像を膨らませてしまう。
まだクラウディオを知らない、一番奥の、深いところ。時折り、淫蕩の果てに戯れのように責められたことはあるが、実際にクラウディオを迎え入れたことはない。今のままでも充分すぎるほどに情痴に尽くしているというのに、これ以上に深くを犯されたとき、アルカディアは果たして自らを保つことが出来るのだろうか。
そこまで考えて思わず息を呑むアルカディアを見て、クラウディオはまた笑う。それから、アルカディアの尻たぶを掴んで左右に割り開くようにして、さらに深く腰を押し付けてきた。ぞくぞくとしたものが背骨を駆け上がる感覚に身悶えていると、首筋を柔く食みながらクラウディオが口を開く。

「想像した?」

「ッぁ…ぅ、し……て、なぁ…♡」

「嘘は駄目だな。けどまぁ、ここは正直みたいだが」

「ぁ゛ッ、ひ…ぃ、♡」

ぐりゅ、と熟れた媚肉を捏ねられて、喉が鳴る。アルカディアは必死になって首を横に振った。これ以上の快楽なんて、想像もつかない。怖い。知りたくない。そんな風に思うのに、心のどこかではそれを望んでいる自分がいるのも確かだった。クラウディオは、答えられずにいるアルカディアの耳に唇を近付けそっと吐息を吹き込む。

「奥、こうすると気持ちいいだろう?」

「ッ……ん、んぅ、ぅ……ぅ♡」

「なあ、アルカディア」

「ぁ……ぁ、や……♡」

アルカディアを責め立てることに執心しているらしいこの男は、アルカディアの弱いところばかりを執拗に苛めた。くぽ、くぽと結腸口に亀頭を含ませては引き抜いて、焦らすような動きを繰り返す。そのたびに腹の奥底が切なくなって、無意識のうちに腰が揺れてしまう。それを揶揄するように腰の辺りをさすりながら、クラウディオは繰り返しアルカディアの名前を呼んだ。少し掠れた低い声で呼ばれるたびに、アルカディアの身体は芯までどろりと溶けてしまう。輪郭を失った思考に理性の糸が千切れそうになるのを感じながら、アルカディアは震える舌を動かして、途切れ途切れに言葉を紡いだ。

「ぁ……お、く……ぅ」

「ん?奥、がどうした?」

そう言いながらも、クラウディオは最奥の弁にぐぷぐぷと先端を押し付けた。腹の底で煮えたぎるような熱が膨れ上がって、視界が潤む。

「おく、ほし……、ッぁ♡くら…ぃお…はやく……ぅッ——あッぁ゛!♡」

言い終わらないうちに、ぐぽん、と勢いよく弁がこじ開けられる。突然の衝撃に身体が仰け反った。しかしクラウディオに背後から伸し掛かるように覆い被さられているせいで、アルカディアに逃げ場はない。

「ひッ、ぃ゛…ぁッ♡ぁ゛、ッあ゛、うぅっ♡」

「、……ッ」

「〜〜ッあ゛、っは、ぁ゛うぅ♡」

ひゅうひゅうと呼吸を荒らげながらシーツに爪を立てていると、いきなり激しい抽挿が始まった。ばちゅばちゅと下品な水音が部屋に響き渡る。何度も何度も結腸口を穿たれて、その度に頭が真っ白になるほどの快感が押し寄せて、アルカディアは手足をばたつかせながら泣き叫ぶ。
いっとう奥まった肉の輪は、アルカディアを犯す張りつめた欲望を愛おしむかのようにしゃぶりつくす。もっともっとと貪欲に強請る粘膜を叱りつけるような仕草で腰を叩きつけられれば、もう何も考えられなくなってしまう。

「やらしい動きだな……ここが好きか?」

「ぁ゛ッ♡ひ…ッ、ぃ♡」

「ああ、気持ちよさそうだな」

クラウディオは楽しげに呟いて、ぐっと腰を押しつけてきた。上からの圧とシーツとの間で挟み込むような体勢になり、泣きどころをぐりぐりと容赦なく責め立てられる。耐え難い官能の波が次々襲いかかってきて、視界がぐるりと反転した。目の前がちかちかと明滅する。息が苦しい。それなのに、感じ入って媚びた声が止まらない。過ぎた快楽に惑乱しながら髪を振り乱して、アルカディアはがくがくと身体を震わせる。

「もッ、ぉ゛ッ…むり…♡むり、だ、からぁ♡んんぅッ♡ふっ…ぅ、ん、ぁあッ♡♡」

「は、ははッ……無理じゃないだろ。まだ頑張れる」

アルカディアが絶頂するたび、クラウディオは小刻みに痙攣する胎内の動きを楽しむように緩慢に腰を動かし続けた。そしてまた快楽に蕩けた中を突き上げて、アルカディアを追い詰める。延々と続く地獄のような快楽に溺れて、アルカディアはただ馬鹿みたいに喘ぐことしかできなかった。

「ひぃあッ、くら、くらぅッ♡ぁ、やッ、やぇ…へっ、ぁ…や、ぁああ♡」

唾液を零し絶命する獣のように身悶えるアルカディアを見て、クラウディオは興奮に濡れた呻き声を漏らす。それから一際強く腰を打ち付けると、アルカディアの身体を強引に引き寄せ抱きしめた。耳の裏に押し当てられた唇が震えて、熱い吐息を溢している。それが何を意味するのか理解する前に、腹の奥で熱い飛沫が弾ける感覚があった。

「〜〜ッ♡♡ぁ、ひ… う゛、ぅ…んッッ〜〜♡」

「ん……は、」

最奥で精液を受け止めながら、アルカディアは全身を戦慄かせる。身体の内側から焼かれるような強烈な快感に苛まれながら、アルカディアは声にならない悲鳴を上げ続けた。
最後の一滴まで注ぎこむように執拗な動きを繰り返すクラウディオの骨盤が尻に当たる。

「はッ、は…ぁッ…へぅ、……ぁ……♡」

ようやく長い射精が終わったところで、クラウディオがアルカディアの中から出ていった。栓を失った後孔からは、収まり切らなかった白濁がごぽりと溢れ出る。それを指先で掬って、クラウディオは嬉しそうに笑った。

「穴からこんなに垂れ流して……やらしいなお前は」

「……ん、ん…ぁ……や、…ぁ♡」

くぱくぱと収縮する入口の縁をなぞられて、ぞくりとした痺れが走る。こぼれ落ちた精液を穴の縁に塗り込むような動きに、アルカディアは嫌な予感を覚えた。
これは、このままでは、まずい。
そう思ったアルカディアは力の入らない身体を叱咤して身を捩るが、あっさりとクラウディオの腕に捕まってしまう。

「…こら…逃げるな」

「ぁ……や、め……やぁ……ッ」

「まだだ、」

クラウディオは笑いながらアルカディアの耳に口を寄せると、ふうっと湿った息を吹きかけた。たったそれだけのことなのに、ぞわぞわと肌が粟立つような心地がする。

「あの体勢だと、お前の顔がよく見えない」

ねっとりと囁かれて、身体から力が抜けていく。それを見たクラウディオは楽しげに喉を鳴らした。その声音には明らかな喜色が滲んでいる。

「観念しろ。なあ、アルカディア」

雄臭くて低い声で言い聞かせられれば、アルカディアに選択肢なんてないも同然だった。
アルカディアは結局クラウディオの手管で、自分の本性を曝け出す羽目になるのだ。いつも、いつも。それがなんだか悔しいのに、そんな思考も目の前にちらつく快楽への期待に押し流されてしまう。

「ぁ、と…いっかい…、だけぇ…」

「ああ。あともう一回だけだ」

アルカディアの言葉に満足げに微笑んだクラウディオは、ゆっくりと顔を近づけてくる。それに抗うことなく口づけを受け入れれば、すっかりこの身体に馴染んでしまった熱が粘膜を通してじわりと広がった。