「ねえ……、くらでぃお」
「ん……?」
疲労が浮かぶ声でアルカディアが呼びかけても何処吹く風で、ちっともやめてくれやしない。
「おれ、もうできない……」
「んー……」
折り目正しい彼にしては珍しい程の生返事に、アルカディアは閉口する。
そうこうしている間もクラウディオの指はアルカディアの胸の突起に添えられ、そこを好き勝手に弄り倒していた。
くり、くりと指先で捏ねるように弄ばれ、時折優しく、きゅ、と摘まれれば、アルカディアの腰は否応なしに跳ねてしまう。
半身を下に寝台へと横たわる二人の身体は、アルカディアの背とクラウディオの胸板を密着させたまま情事の余韻にしとりと濡れている。
先程精を吐き出したばかりだというのに、アルカディアの臀部に押し当てられたクラウディオの熱源は既に硬度を取り戻していた。意外にもむちりとした感触の双丘を再び割開くかのように、悪戯にそこに擦り付けられる。
「…もう、つかれた………」
「なら横になって楽にしているだけで良い」
「……良くないぃ……」
一回でぐったりのアルカディアと違い、未だ足りぬ様子のクラウディオは、その舌でアルカディアの耳介を舐め上げる。
ぞくぞくと背筋を這う痺れはじわりと全身に広がり、蕩けるような性感をアルカディアに齎す。が、その度に、今にもくっつきそうな瞼を強制的に開かせられるような、微かな煩わしさも付き纏った。
快楽はアルカディアを甘やかしてくれるばかりでは無い。
「くらでぃおぉ…ほんとに、むり…...」
「ん、分かっている」
「分かってない〜……」
いや、分かっているのだろう。
本当は、久しぶりの逢瀬に未だアルカディアの心は弾み、体は燻っていることを。それこそ、この男には筒抜けなのだ。
しかし哀しいかな、アルカディアのスタミナはクラウディオに比べると中々乏しく、体力がついていかない事も常だ。
はぁ、と溜息を一つ零したアルカディアは、未だ背後から己を抱き竦める男を首だけで振り返る。
作り物のように端正な顔立ちの男は、自身をゆっくりと振り向いたこれまた別の美しさを持つ顔立ちに笑みを深めると、血色の悪い唇へと己のささくれ一つ無いそれを重ね合わせた。
ちゅ、ちゅ、と可愛らしい音が数度、二人の間で響き、またゆっくりと、離れていく。
「……おれ、途中で寝ちゃうかもよ」
「安心しろ、寝かせない」
「わあ……寝かせてよぉ…」
そう言いながら、今度はアルカディアから、一つ、口付け。
「……やさしく、して」
少しだけ不服そうな、拗ねた風な顔でそうアルカディアが言い終わるや否や、クラウディオがぬぐりと、先程までの行為の余韻が残る柔らかな秘所に自身を押し込む。
狭い、しかし熱く蕩けた内部を掻き混ぜるようにしながら奥へと切っ先を進ませれば、んん、と、アルカディアの感じ入った吐息が漏れた。
明朝まではまだたっぷりと時間がある。
アルカディアは知らない。
己を抱くこの男が。
折角口説き落として二戦目の了承を得られたんだ、思う存分好き勝手してやろうなどと物騒な事を画策していることを。
快楽は己を甘やかしてくれるばかりではないという事を。先程実感したばかりの事を、早速忘れてしまったアルカディアは、まだ、知らない。