事務仕事をしているらしいアルさんの、隣に椅子を持ってきて座った時からイヤな予感はしていた。
「えらい解放的っすね」
「さっきまで実戦に付き合ってた」
「あ、だからね」
だからそんなラフな格好してるんすね。
オレはうんうん、と納得しつつ視線を外す。とにかく今日のアルさんはいつもよりえらく緩やかな格好をしていた。
シャツの前ボタンは全て空いており、軽く肩から羽織っているというだけ。しかも今立ち上がったらパンツ見えちゃうんじゃないのってくらい、腰のベルトも中途半端に開いている。
カテドラルは暖かいし、実戦後だと言うのだから暑かったのだろう。クーラーを入れるほどではなかったのか、窓が少し開いている。
それにしてもその格好では見る場所に困る。いや着替えるのが面倒だったとしてもズボンくらいはちゃんと穿いて下さいよアルさん。なんでそんな無防備にしちゃってるんですか危ない。
「なんでズボン」
「ん?…あぁ、面倒くさくなった」
「へえー誰か来たっすか?」
「いや来てないよ、まだ実戦してんだろ」
「そりゃ良かった。アルさん、そんな格好して誰かに襲われたらどうするんっすか、気を付けて下さいよ」
「…んな訳あるか。誰かさんでも在るまいし」
「その通りっすよオレみたいなこういう事、する人がいるし」
笑ったままアルさんの肌に手を置く。
それに気づいたアルさんが今は仕事してる、と言い拒否しようとした腕を取って、アルさんの座っている椅子に向い合せに座る。これで逃げれない筈だ。
ゆっくりと静かに唇を重ねると不満そうなアルさんの唇が動いた。
「…っやめろ」
「まだ誰も来ないですよ。下はしないから」
「そ、ういう問題…じゃ…っ」
「じゃあどういう問題?」
「…お前な、」
まだ実戦中なら他のみんなが入って来るのはまだ後になるだろう、こういう時間は十分にある筈だ。とニヤけた笑顔が漏れた。なんてタイミングが良い。
…けど射れるまでの時間は無いかも。あぁ残念だな、と思いながらじりじりと起って行く自身を思う。オレだってあんなアルさんを見てしまえば自然と起ってしまう訳で。仕方ない、今日はひとりトイレに駆け込むとしよう。
冷たい首元にキスをして、以前残った薄い赤に力を込めた。空いていた両手で小さな乳首に触れると、アルさんの体がびくりと揺れた。
「だってもし相手がレヴィアさんとかだったら絶対こんな事じゃ済まないっすよ。タナーさんとかさあ」
「お前は何言ってんだ…」
頬を薄く染めたままアルさんは呆れたようにオレを見る。
あんたはいつも鈍感で、まあそういう所がアルさんらしいと云えばそうなんすけど、
「そういう所が益々オレを心配にさせちまうんですよねぇ」
…変なとこで勘がいい癖に。こういうオレの気持ちに気づいて、あえてそんな事しちゃってるんですか?
それならなんて性質が悪い、と思ったけどむすっとした表情でオレを見つめるアルさんを見れば疑うのも馬鹿らしくなって止めた。こういう事はアルさんがもっと機嫌が良い時に言ってみようと思う。
他諸々がアルさんの事をどういう目線で見ているのかとか、オレが普段どんだけあんたを守って来たかとか。ていうかアルさんもそろそろ自覚して欲しい。
首元に寄せていた唇を徐々に体へと移動させる。アルさんの肌は薄らと汗を掻いていたが、何処も白くとても綺麗だった。
冷たい空気に触れ段々と固くなって来た乳首が可愛くて、指で先端をぴんと弾く。舌で包む様に舐めるとまたびくんと体が背もたれに付き揺れた。
「んっ、っあ、」
「気持ちいい?」
「…いっ、噛…むなっばか、っ!」
「じゃあ舐めるからじっとしてて」
噛むとやっぱり怒られた。前は痛いけど気持ちいいって言ってた様な気がするんだけど。あっあれはアルさんに薬飲ませてたから正直だったのか。
根元を指で強く押し、ぷくりと紅くなったそこに舌を這わせる。歯を当てると痛そうに、けど気持ちよさそうに声を出すもんだから何度も試した。
右はゆっくりと撫でながら左は舌で先だけをちろと舐める。ぴちゃりという湿った音を聞きたくないのか、アルさんは首を振りながら目元を隠した。
食い縛っているものの我慢できずに甘い声を漏らし、徐々に体が仰け反って行く。
オレはこのまま椅子ごと床に落としてしまっても良いな、と思った。
そうなればいつもの様に馬乗りになる訳で…あぁけどそうなっちゃうと、どうにも我慢できないかもなオレ。
「レギ、オ…っんっ!吸…うなっ…」
「ん…出そうじゃないですか。気持ちいいでしょ?」
「っ……馬鹿」
「ほんとに出たらいいのにな。そしたらもっと触れる口実が出来るじゃないですか」
冗談紛れに笑いながら言うとため息をつきながら頭を撫でられた。あ、また子ども扱いされてる。
随分と大きくなった胸にキスし指で挟む。その時やっと現実に気付き窓の外を見ると少し遠くにみんなの姿が見えた。
「あ。そういやみんな来ちゃうっスね」
「は…?」
「たぶんそろそろここに来るんじゃないすかね。けどアルさんオレ、ぶっちゃけこのまま我慢するの無理――」
「ば、か…っこの馬鹿ッ、早くっ…早く退け!」
「痛っ…ちょっとアルさんっ、ばかって何っいてぇ…!痛いじゃないすかっちょっと…!」
派手に転んだ床の冷たさとアルさんの冷ややかな視線といったら無い。その時運悪く入って来たシヴァさんとタナーさんが、完全に疑問符を頭に浮かべながらオレ達を見た。
床に落ち腹を押さえているオレと、ほぼ全裸の状態で椅子に座り背を向けているアルさん。後からレヴィアさんも部屋に入って来て、光景を見て一瞬で固まる。
そそくさと近くのシャツを拾い腕を通すアルさんの顔は真っ赤で、シヴァさん達は呆気に取られつつも、全てを理解した様に顔を上げオレを見た。それは明らかに塵を見る様な目だった。
「おらんと思ったら、こんなとこで何しとったんじゃ?」とタナーさんが笑う。
「レギオンちょっと来なさい」シヴァさんは低い声でそう言った。