AM4:23
ふ、とクラウディオの目が開いた。
部屋の中は薄らと明るくなり始めている。サイドテーブルに置かれた時計を見ると朝の4時を過ぎたところだった。
小さくため息をついた後、自身の肩口に頭を乗せながらくっついて眠っているアルカディアの頭を撫でる。
腕枕をしている左腕には痺れを感じているが心地よくもある。
今日は有難いことに休みだ。もう少し眠っていても大丈夫だろうと思ったが、生憎目が冴えてしまったようだ。
呑気に寝こけているアルカディアの姿を見つめていると、愛おしさが溢れてしまって、ぎゅうとその細い体を抱き締めた。
「ん…」
小さな声と共に身じろぐその体を逃さないように更に抱き込む。
するとまた小さな声で呟いた。
「…くるし」
まだ半分夢の中のようで、ぼんやりとした口調だ。
そんな様子さえ可愛らしいと思ってしまう自分は相当やられているなと思いながらも、つい頬が緩んでしまう。
「ああ、悪い。起こしたか」
そう言うと、アルカディアはゆっくりと顔を上げてこちらを見た。
「……おあよ…」
まだ完全に覚醒していないのか、舌足らずな話し方をするアルカディアは幼子のように見える。
そんな姿が可愛くて思わず額にキスを落とすと、アルカディアはくすぐったそうに身を捩って笑みを浮かべた。
「おはよう」
もう一度そう言って今度は唇に触れるだけのキスをする。
それを繰り返していくうちにアルカディアの瞼は完全に開き、綺麗な赤い瞳が現れた。
そして、ぱちりと瞬きをして目の前にいる人物を認識すると、嬉しそうな笑顔を見せた。
「……くらぅでぃお」
そう言って胸に顔を擦り寄せてくる。
猫のような仕草に微笑むと、そのまま髪を優しく撫でた。
「早く起きてしまったな」
そう言いながら窓の外を見る。カーテンの向こうはまだ暗いが空が白んでいることが見て取れた。
昨夜は久方ぶりに激しく求め合ったせいだろうか。少しばかり怠さを感じる。
だがそれも悪くないと思うくらいに気分が良い。暫くの間アルカディアの柔らかな髪を撫で続けていると、胸の中でモゾリと動く気配を感じた。
見下ろすとアルカディアがじっと見上げている。
どうした?と言う代わりに首を傾げると、アルカディアは何かを言いたげにもごもごと口を動かし、それから恐る恐るといった風に口を開いた。
「あ、の…」
「なんだ?」
「……えと…」
何事かを言おうとしているのだがなかなか切り出さないアルカディアの様子を見て、クラウディオはその言葉を察してしまった。
恥ずかしいから自分からは言えないということなのだろうと理解したが、敢えて助け舟は出さないことにする。
「なんだ?なんでもしてやるぞ」
そう言うと、アルカディアは少し躊躇してから消え入りそうな声で答えた。
「……もう一回、した、い……」
予想通りの回答だったが、実際に言われると破壊力があるものだ。頬を染めて視線を外すアルカディアの姿にドキリとする。
深夜まで散々抱いていたというのに、この可愛い生き物は何度自分の理性を壊したら気が済むのだろうかと心の中でため息をつく。
しかしそれを表には出さず、クラウディオは余裕たっぷりの表情で言う。
「いい子だ。たくさん愛してやろう」
その言葉を聞いてパッと顔を上げたアルカディアの期待に満ちた目に射抜かれる。
本当にこの子は自分を煽るのが上手いなと思いながら、クラウディオはニヤリと笑ってその細い腰を抱いた。
「……ん、」
ちゅっと音を立てて首筋に吸い付く。
何度も繰り返しているうちにアルカディアの白い肌には紅い花が散っていった。
鎖骨の辺りを甘噛みしているとアルカディアが小さな声を上げる。
「そこ、だめだってばぁ」
くすぐったさと快感が混ざったような甘い響きを持つそれは、もっとして欲しいと言っているようなものだ。
そう思いながら舌先でつつくと、アルカディアはビクリと体を震わせた。
「ん、ぅ、」
身を捩って逃げようとするアルカディアを逃がすまいと抱き締めると、今度は反対側の首元を舐め上げる。
「ふ、あっ」
一際高い声が漏れる。
アルカディアの体はもう既に熱を帯び始めていた。
クラウディオはアルカディアの耳を食みながら囁く。
「今日は休みだからな。ゆっくり楽しませてもらうとしよう」
そう言って服の中に手を差し入れると、アルカディアはふるりと震えた。
「あ……っ」
大きな手が体を這う感覚に身をよじる。
背中、脇腹、臍、そして胸をゆっくりと撫で上げられ、その度に体が跳ねた。
「ん…、ん、」
胸の先端に触れられるとピリッとした刺激を感じて思わず声が出る。
指先を掠めるように動くたびにじわじわとした快楽が生まれ、下半身が疼いた。
「んん…!」
カリッと爪で引っ掻かれると、びくん!と大きく反応してしまう。
それを見たクラウディオは満足そうに笑うと、そのまま先端を口に含んだ。
「や、あ、」
生暖かい舌に包まれ、ちゅう、と吸われると強い痺れが走る。
もう片方は親指と人差し指で摘まれ、コリコリと弄られた。
「やだ、それ、やだあ」
そう言いながらも無意識のうちに背が反ってしまう。
そんな様子に気をよくしたのか、クラウディオは更に強く吸い上げた。
「や、あッ」
ビリビリするような強烈な快感に襲われ、目の前がちらつく。
あまりの気持ちよさに涙目になりながらも、アルカディアは必死に訴えた。
「あ、あ…ま、まって、まって…ぇ」
それを聞いたクラウディオは一旦胸への愛撫をやめた。
はあはあと荒い呼吸を繰り返すアルカディアに、どうした?と尋ねる。
「あの…下、も……触って欲し…」
潤む瞳に見つめられ、クラウディオはごくりと唾を飲み込んだ。
いつもならここで一度イかせてから下の方にいくのだが、今日はそういうわけにもいかないようだ。
「分かった」
そう言うと、アルカディアのズボンに手をかける。
下着と一緒に取り去ると、そこは既に勃ち上がって蜜を零していた。
「……そんなに良かったか?」
そう言って微笑みかけると、アルカディアは顔を真っ赤にした。
「ち、ちが、」
否定しようとするアルカディアを無視して、そこに顔を埋める。
「ひゃ、」
突然の強い刺激に驚いている間に、ぱくりと口に含む。
「ん、あ、あ♥」
熱い口内とぬるりとした舌に翻弄され、頭がぼんやりとする。
裏筋をなぞるようにゆっくりと舐め上げられるとゾクゾクした。
そのまま先端を軽く噛まれると、鋭い痛みと強い快楽に全身が粟立つ。
「や、…や、やぁ…♥」
強すぎる刺激から逃れようと頭を押すが、逆に深く飲み込まれてしまう。
じゅる、と音を立てて吸い付かれ、腰が浮いてしまった。
「やだ、やだあ……っ」
嫌だと口では言いつつも、体は正直なものだ。
アルカディアのものは硬さを増し、更なる刺激を求めている。
それを分かっているクラウディオは焦らすようにゆっくりと根元までくわえ込むと、喉の奥で締め付けた。
「ん……っ!?」
予想していなかった動きに驚いたアルカディアの腰が逃げる。
しかししっかりと押さえつけられているため逃れることはできず、むしろ押し付けるような形になってしまった。
「…ん、んんー……!♥♥」
苦しいはずなのに、何故か酷く興奮する。
その証拠に先走りの量が増え、限界が近いことを知らせていた。
「や、だめ、まっ…て…♥」
そう訴えるも、クラウディオは離そうとしない。
それどころか一層激しく責め立てられ、もう我慢できなかった。
次の瞬間、頭の中で何かが爆発したような感覚に襲われる。
「〜〜〜ッッ♥♥♥」
同時に、クラウディオの口内に白濁を吐き出してしまった。
ハッとして慌てて体を起こすとクラウディオにキスされた。
苦くてどろっとしたものが流れ込んでくる。
「んん……!」
吐き出そうとするが、口を塞がれていて叶わない。
仕方なくこくりと嚥下すると、クラウディオは満足げに笑った。
「いい子だ」
「……んうぅ」
羞恥に頬を染めながら睨みつけるが、クラウディオはどこ吹く風だ。
そればかりか、アルカディアの精液で汚れた唇をぺろりと舐めて妖艶に笑う。
その姿にドキリとしているうちに再び押し倒され、脚を大きく開かされてしまった。
抵抗しようとしても力が入らない。
その間に秘部に触れられ、ビクリと震えた。入口を撫でられ、これからされることを想像して息を飲む。
「あ……♥」
つぷ、と指先が入ってきた。
ゆっくりと中をかき混ぜられる。
「んん……、ん、んぅ」
何度も抱かれているうちにすっかり性器へと変えられたそこは、少し解すだけですぐに柔らかくなった。
2本3本と指を増やしてもすんなり受け入れていく。
「は…ぅ…♥」
バラバラと動かされると、奥の方からじわじわと快感が生まれるのを感じた。
ある一点を掠めた時、一際大きな波が来る予感がした。
指の動きが激しくなるにつれ、それはどんどん大きくなる。
やがてその瞬間が訪れた。
ぐり、とそこを強く押されると同時に目の前がスパークし、頭の先から足の先まで甘い痺れが駆け抜ける。
「あ…!あ……ッ!♥」
ガクンガクンと体が痙攣し、中だけで絶頂を迎えた。
それでもなお止まらない指に、アルカディアは泣きそうな声で懇願した。
「や、やら、いま…いっ、てう…♥」
「ん。知ってる」
「やめ、や、また…あ…あっ♥♥」
制止の声など聞こえていないかのように、指は執拗に同じ場所を攻め続ける。
アルカディアは押し寄せる快楽の渦に飲まれ、喘ぐことしかできない。
「やぁうっ♥ん、んんっ♥」
何度目か分からないオーガスムの後、ようやく解放された。
ぼんやりとした意識の中、アルカディアはゆるゆると腕を伸ばした。
「くら…でぃお……」
「なんだ?」
「ぎゅって…したい…」
そう言ってすりすりと甘えてくるアルカディアに、クラウディオは理性の糸が切れる音を聞いた。
「ああ、いくらでもしてやる」
覆い被さるように抱きしめる。
そのまま深い口付けを交わした。
「ふ…ん……っ」
口内を犯されているかのような錯覚に陥り、頭がクラクラする。
角度を変え、何度も舌を絡めていると、段々と思考能力が低下していった。
「アルカディア…」
熱を帯びた声に名を呼ばれ、きつく抱き寄せられる。
耳元にかかる吐息がくすぐったい。
それと同時に、熱いものが宛てがわれ、少しずつ侵入してくる。
「あ…ん……♥」
いつもより大きく感じるそれに、アルカディアは無意識のうちに腰を引いた。
しかしクラウディオはそれを許さず、強く引き寄せる。
「ひゃ、あ…ッ…♥」
ずぶ、と一気に貫かれた。
あまりの質量に一瞬呼吸が止まる。
「大丈夫か?痛くないか?」
心配そうに尋ねられて、なんとか首を縦に振ると、ほっとした様子のクラウディオに優しく頭を撫でられた。
「動くぞ」
「あ…♥」
ゆっくりと引き抜かれ、再びゆっくりと挿入されていく。
「あ……う…♥」
ゆっくりと繰り返される抽挿に、だんだん物足りなさを感じ始めた。もっと欲しい。
もっと激しくして欲しい。
「あ…、も、っと…♥」
「……っ」
無意識にねだってしまった自分に驚き、慌てて口を塞いだ。
しかしもう遅い。
目の前のクラウディオが、獲物を見つけた獣のような目でこちらを見下ろしていた。
まずいと思った時には既に遅く、勢いよく突き上げられた。
「ひゃあんっ!?♥♥」
いきなりの激しい動きに、悲鳴にも似た矯声が上がる。
「悪い子」
意地悪な笑みを浮かべた男に、そのまま激しいピストン運動を繰り返された。
「んあ!♥あッ♥あッ♥♥」
パン、パチュ、という肌同士がぶつかり合う音と結合部から漏れ出る水音が響く。
激しく揺さぶられ、頭の中で火花が散るような感覚に襲われた。必死にクラウディオの首にしがみつき、襲い来る衝撃に耐える。
「あ゛♥ん、んッ♥♥」
ごりごりとしこりを押し潰され、目の前がチカチカする。
「や、やら、それ、や…♥」
逃げようとする腰を押さえつけられ、さらに奥まで突かれる。
「ここが好きだろう?」
「ちが、あッ!?」
「嘘をつくんじゃない」
「あ゛♥♥」
ぐりっとしこりを押されると、ビクビクと体が跳ね上がった。
気持ちいい。
けれど、足りない。
こんなものじゃ全然満たされない。
「あ…んん……♥」
もっと。
もっと奥まで入れて欲しい。
そんな欲望が顔を出した時だった。
「あ…ぇ?」
片手でぐっと腰を持ち上げられて、思わず間の抜けた声が出た。
「ぇ…くら、でぃお……?」
恐る恐る見上げると、美しい微笑みを返された。
「少し我慢してくれ」
「へ……?」
次の瞬間、思い切り体重をかけられた。
「〜〜〜っっ!!♥♥」
目の前で星が瞬いた。
あまりの快感に言葉すら出ない。
そしてばちゅん、と一気に最奥まで貫かれ、アルカディアは仰け反って絶叫した。
「お゛♥♥♥」
どすんどすんと重い一撃を食らい、何度も意識が飛びそうになる。
「あ゛♥ぅ♥♥」
先端が結腸口に嵌まり込む度に、強烈な快感が全身を走り抜ける。
あまりの快感に逃げようとするけれど、首に腕を回され、腰を掴まれていては逃げることも出来ない。
そのままぐりぐりと押し付けられると堪らなかった。
アルカディアはぼろぼろと涙を流しながら、ひたすらに喘ぎ続ける。
やがて、絶頂の波が押し寄せてきた。
身体の奥底から湧き上がるようなその衝動に身を震わせる。
しかしそこで、不意に律動が止まった。
「ふ、ぁ?なんれ……♥」
どうして、あともう少しなのに。
絶頂寸前のところで止められ、アルカディアは困惑した表情を浮かべた。
「ん?どうした?」
にこにこと笑うクラウディオの顔を見て、ようやく気づいた。
「あ……あ……♥」
わざとだ。
アルカディアが何を欲しているのか分かっていて、あえて止めているのだ。
そう気付いた途端、顔から血の気が引いた。
「くらでぃおっ♥おねが、いかせ、て♥♥」
「駄目」
「やぁあっ♥なんれ、♥」
必死になって懇願するも、あっさり却下されてしまった。
その間もずっと焦らすように緩慢な動きで抜き差しされて、じわじわと追い詰められていく。
頭がおかしくなりそうだ。
早くイキたい。
もうそれ以外何も考えられない。
「くらでぃお…くらでぃお……っ♥」
「可愛い」
するりと頬を撫でられる。
それだけでゾクゾクと甘い痺れが走り抜け、中がきゅうと締まった。
絶頂を取り上げられた体は、もう限界を迎えようとしていた。
「アルカディア」
視界いっぱいに広がる大好きな顔に、びくびくと体が震える。
「好きだ」
「ひゃ…♥」
低く掠れた声で囁かれた愛の告白は、まるで媚薬のように脳髄を溶かす。
「あ……♥あ…♥あ…♥」
「好き」
「ひ……♥」
「好き」
「ぅ…♥あ…♥ぇ…♥」
「大好きだ」
耳元で甘く囁かれるたびに、ぞくぞくと背筋に電流が走る。
「あ……♥あ…♥」
だめ。
これ以上言われたら本当にどうにかなる。
「アルカディア」
「あ……♥」
「愛してる」
もう、耐えられなかった。
「あ゛ッッ♥♥♥♥♥♥」
とどめに、一番弱い所を思い切り突き上げられ、アルカディアは大きく仰け反った。
せめて酷い声は出さないようにと咄嗟に口元を抑えたけれど、そんな抵抗も虚しく、甲高い矯声が室内に響き渡った。
それと同時にぷしゃっと潮を吹き出し、盛大に達する。
ぴゅっぴゅっと断続的に吹き出すそれは止まらない。
「ん、んんっ♥♥」
びくんびくんと痙攣しながら絶頂後の余韻に浸っていると、ぐちゅんと再び動き出した。
「ん、ぅ!?♥」
突然のことに驚いていると、「私はまだイッていないぞ」と意地悪な笑みを浮かべられた。
そのまま激しくピストン運動を再開される。
「ぅ、ふ…♥♥」
ぎゅう、と目をつぶって口元を押さえ、ずちゅっ、ぐちゅっと結合部から漏れ出る水音を聞きながら、必死になって快楽に耐える。
するとゆっくりとクラウディオの手がアルカディアの手首を掴み、口から引き剥がされた。
「ん…ぇ…?」
「こっちを見ろ」
「あ……♥」
言われるがままに視線を向けると、蕩けるような笑顔がこちらに向けられていた。
「私の目を見ながらイって欲しい」
「あ…」
「できるだろう?」
ぞくぞくとした快感が駆け巡り、体がぶるりと震えた。
「あ…♥あ……♥」
「ほら、こっちを向け」
顎を掴まれ、強引に正面を向かせられる。
琥珀色の瞳と目が合った瞬間、ドクンと心臓が大きく跳ね上がった。
あ……あ…これ…やばい……♥
目の前の男に抱かれているという実感が、今更ながらに襲ってきた。
この人になら何をされてもいい。どんなことをされたとしても許してしまうだろう。
そう思わせるほどの支配力を持った男に、心ごと絡め取られてしまった。
「あ……♥あ……♥」
「ん?どうした?」
唇の端を上げ、クラウディオが笑う。
ああ、やっぱり。
こうやって見られているのが堪らない。
自分は彼の所有物なのだと思い知らされる。
その事実が嬉しくて仕方がない。
「あ♥あ♥ぅ♥♥」
「どうしたんだ?アルカディア」
優しい口調で問い掛けられ、思わず中を締め付けてしまう。
「あ……ぅ♥」
「言ってみてくれないか」
「んぁ…♥ぁ……♥」
もう、我慢できない。
アルカディアは熱い吐息を漏らし、そっとクラウディオの首に腕を回した。
「くらでぃお…すき……♥」
「うん」
「だい、すき…♥」
「もっと」
「あい、してる…♥」
「もっとだ」
「んぁ…くらでぃお…で、いっぱい、にして…♥」
「よくできました」
満足げな笑みを浮かべたクラウディオに頭を撫でられる。
その感触が心地良くて、アルカディアは幸せそうに微笑むと、絶頂の予感に身を震わせた。
そして次の瞬間、ごつんと最奥まで一気に貫かれ、アルカディアは一際大きな声で鳴いた。
「ひゃ♥♥♥♥あ゛♥♥」
ぷしゅ、と再び透明な液体が勢いよく吹き出される。
絶頂と同時に結腸口を抜かれ、そこで射精されれば、もはや意識を保つことすら困難だった。
「────っっ♥♥♥…っっ♥♥」
あまりの衝撃に、アルカディアはびくんっと体を跳ねさせたあとぐったりしてしまった。
それでもなお、体内からは大量の精液が溢れ出ており、収まりきらなかった分が結合部の間から零れ落ちていく。
「は……っ」
そんなアルカディアを見て、クラウディオは小さく息を吐くと、ずるりと陰茎を引き抜いた。
どぽっと白濁が溢れる様はなんとも卑猥だが、当の本人は完全に意識を飛ばしてしまったらしい。
それなのに、時折小さな喘ぎ声を漏らしている。
無意識のうちに快楽を拾っているのか、ぴくぴくと震える身体がいやらしくて可愛かった。
「ははっ、可愛いな」
汗ばんだ額に軽くキスを落とし、愛おしそうな眼差しでその姿を見下ろす。
それから優しく抱き寄せると、壊れものを扱うかのように、大事に、丁寧に、慈しみを込めて、強く抱きしめた。
外はもうすっかり明るくなっていて、カーテン越しに差し込む陽光が眩しい。
後処理をしてそのまま二度寝でもしてしまおうかと、クラウディオはアルカディアを抱き上げると浴室へ向かった。
「………」
ぱち、とクラウディオの瞼開く。
しばし固まったあとがばりと起き上がり、時計を見てみれば、時刻は既に14時を回っている。
「(……さすがに寝すぎた)」
自分でも驚くほど珍しいことだと思う。
朝方は確かに盛り上がったが、いつもなら午前のうちには起きていたはずだ。
がしがしと寝癖のついた髪を引っ掻き回し、大きくため息をつく。
隣に視線を向けると、そこには愛しい恋人の姿があった。
少し暑かったのか、真っ白の足だけが出ている状態で布団にくるまっている。
すやすやと穏やかな表情で眠る姿はとても無防備で、普段の妖艶な雰囲気とはまた違った魅力を放っている。
本当に、可愛い。
自分の前ではいろんな顔を見せてくれることが嬉しくて、つい甘やかしてしまう。
さらりとその長い前髪を払うと、滑らかな肌に触れるだけの口づけを落とした。
「ん……」
「起きたか?」
「……んん」
「おはよう」
「…ぉ……はよ…ぅ……?」
まだ覚醒しきっていない様子のアルカディアの髪を、優しく撫でる。
すると彼は気持ち良さそうに目を細め、すり、と手に頬を寄せてきた。
まるで猫のような仕草だ。
「寝すぎたな。もう昼過ぎだ」
「ん〜…?ひる、…」
「腹が減ったか?何か食べたいものはある?」
「……」
「…アルカディア?」
返事がない。
不思議に思って顔を覗き込んでみると、どうやらまだ半分夢の中らしい。
むにゃ、と口元を動かしたあと、へら、と笑った。
「えへ……くらでぃお……」
ふにゃんとした笑顔で名前を呼ばれ、思わず胸がきゅんとなる。
この男はどうしてこうも、こちらの心を鷲掴んで離さないのだろうか。
そのままごそごそと動き出したアルカディアは、クラウディオの腰に手を回すとぎゅーっと抱き着いてきた。
「アルカディア」
「んー……」
どうやら完全に夢の世界の住人になっているようだ。
仕方がないな、と苦笑しつつ、その背中をぽんぽんと叩く。
「もう少し寝るか?」
「…ううん……おき…る…」
名残惜しそうにぐりぐりと頭を押し付けてくる様子が可愛くて、思わずその頭に唇を落とす。
するとようやくもぞもぞと身を起こしたアルカディアは、大きな欠伸をしながら伸びをした。
「何食べたい?」
「ん〜…ぱん…」
「パン?」
「……いちご…のせてぇ…なまクリーム…」
再び眠気が襲ってきたらしい。
今にも閉じてしまいそうな目蓋を必死になって持ち上げながら、アルカディアはゆっくりと言葉を紡いだ。
「ヨーグルト…も…たべたい…」
「ん、わかった。用意するから待ってろ」
「うん…ありがと…くらでぃお…だいすき……」
ちゅっ、と軽いリップ音を立てて唇が触れ合う。
それが最後の力だったようで、アルカディアはクラウディオにもたれかかって再び眠りに落ちてしまった。
「……全く」
呆れたような口調とは裏腹に、その表情はひどく優しいものだった。
クラウディオはアルカディアを抱え上げると、寝室を出てリビングへと向かう。
そこで彼をソファに寝かせると、自身は洗面所で顔を洗ったあとキッチンへと向かい、手早く準備を始めた。
アルカディアの要望通り、苺と生クリームを使ってサンドイッチを作る。
ついでに生クリームだけでなくヨーグルトを使ったフルーツサンドも作り、それらを皿に乗せてテーブルに置いた。
それからコーヒーメーカーにスイッチを入れ、アルカディアを起こしに行く。
「アルカディア」
「……」
「アルカディア」
「んー…?」
「できたぞ。起きられるか?」
「……ぁぃ」
「よし。顔洗っておいで」
「…ん」
アルカディアはのそりと起き上がると、緩慢な動作で洗面所へと向かった。
それを見送ったあと、出来上がったコーヒーを持ってソファーで待つことにする。
それからしばらくして、戻ってきたアルカディアは先程よりも随分しっかりした様子になっていた。
寝起きの時はどこか幼さを感じるというか、あどけない感じだが、起きている時のアルカディアはかなりの美青年である。
今も、シャツ一枚しか身につけていないその姿からは色気を感じずにはいられない。
「おかえり。食べようか」
「うん」
時計を見るともう15時を回っていた。
朝兼昼飯にしては遅すぎるが、たまにはいいだろう。
朝方とは打って変わって、穏やかな休日になりそうだ。