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「アルカディア、今日はこれを使ってみないか?」

そう言ってクラウディオから手渡された物を受け取ったアルカディアは、パチパチと瞬きを繰り返した。

「…?…なにこれ」

「エネマグラだ。前立腺マッサージにも使われる医療用器具だな」

T字型の奇妙な形をしたソレを指差しながらアルカディアが問えばクラウディオはあっけらかんと答える。それに面食らったまましばらく動けずにいたアルカディアは、ハッとしたようにクラウディオを見上げると、エネマグラとクラウディオを交互に見据えた。

「ぇ、これ……」

「ああ……アルカディア、今日はこれを使ってみよう」

そんな馬鹿なことがあるはずない、とアルカディアが震える声で告げた言葉にクラウディオは表情を変えないままこくりと頷いてみせる。
一体なにをどうしたらそんな結論になったのかは分からないが、にこにこと興味津々といった様子のクラウディオは何を言っても聞かないだろう。
アルカディアはげんなりとした顔で溜め息をひとつ吐いた。



「とりあえず、これを挿れる前に解す必要があるからアルカディア、下を脱いで寝転がってくれ」

エネマグラにローションを塗りながらけろりと告げられ、アルカディアは言われるがままズボンを下ろす。

「……」

「?どうした?」

ズボンを脱ぐところまでは良かったのだが、下着を下ろそうとした所でアルカディアの手が止まる。衣擦れの音が止まった事に気が付いたクラウディオがきょとりと首を傾げるが、アルカディアは無言のまま。
よくよく考えてみれば自分から下着を脱ぐというのは今までになかったかもしれない。恋人で、こういった行為も始めてではないのになんだが無性に恥ずかしくなったアルカディアはそのままベッドにごろんと転がった。

「おい、アルカディア」

「別にパンツなんか脱がなくても出来る」

「いや無理だろう」

何を言っているんだ、と言いたげなクラウディオに内心で舌を打ちながらアルカディアはきゅっと唇を噛み締める。
恥ずかしいと素直に言うのはなんだか憚られ、無言を貫き通せば背後でクラウディオの動く気配がした。

「……恥ずかしいのなら素直に言えばいいのに」

「…んぅっ」

背後から覆い被さるようにしたクラウディオはアルカディアの耳元でそう囁く。僅かに漏れる笑い声と吐息に身震いすれば、クラウディオの不埒な手の平がアルカディアの尻を撫でさする。

「私が脱がしていいのか?」

「……好きにすれば」

脱がして、とは言えず吐き捨てるように答えればクラウディオはやはり楽しそうに笑った。

「……なら、私に捕まってくれ」

「ん」

アルカディアの正面に座ったクラウディオに言われるまましがみつくように腕を回しながら少し腰を浮かせば、クラウディオの指先が下着のゴムの部分にかかりそのままそっとおろされる。僅かにゴムが引っ掛かった際に少し勃ちあがりかけていた性器が触れ、思わず漏れそうになった声をアルカディアは飲み込む。
下着が膝の辺りまでおろされると、そのままクラウディオの濡れた指先が秘部の皺をゆっくりと撫でていく。

「ぁっ、んぅっ、あ」

くるくると指先に纏わり付いたローションで秘部の皺をなぞっていたかと思えば、つぷりと先端が内部へと侵入してきた。
くちっ、と微かな音を立てながら滑り込んできた指先はまだ大きく動く事はせずにアルカディアのナカへと入っては、出て行く。たったそれだけの事を繰り返している。

「っあっ、はっ、ぁんっ、んぅっ」

指先が出て行くと背筋がぞわりと粟立ち、入ってくれば少しの苦しさに吐息が漏れる。そうして指は一本から二本へと増え、その動きを変えて行く。
先ほどまでは出入りを繰り返すだけだった指先は、今度は内部を拡げるように動き始める。
二本の指で左右に秘部を拡げるように引っ張られ、クラウディオに縋り付くアルカディアの手に力が入った。

「ぅあっ!ぁっ、ぁっ、んぅ」

「アルカディア、苦しくはないか?」

「ぁっ、んっ、へ、き……」

指の付け根までしっかりと埋め込まれては、奥で指がバラバラに動く。その感覚にはくはくと呼吸をしながらクラウディオに頷けば、耳元で安堵の息が漏れるのを感じた。

「……このくらいで大丈夫だろう。アルカディア、このままベッドに横になってくれるか?」

「んぅっ……?」

クラウディオに縋り付くようにしていた指先を解いてころん、とベッドに身体を横たえればクラウディオの顔がよくみえる。
手には先程のエネマグラなるものが握られており、思わずアルカディアの喉がごくりと鳴る。

「今から挿れる。ゆっくり呼吸をしていてくれ」

「……んっ、んくっ、ぅ……」

細い器具とは言え異物が入ってくる感覚にアルカディアが息を詰めれば、そっとクラウディオの手が頭を撫でた。そのあたたかさにふっと息を吐いているあいだにエネマグラは徐々に飲み込まれ、あっという間に根元まで完全に埋まった。

「……これ、どうするの…」

「お前は何もしなくて大丈夫だ。ただ、ゆっくりと呼吸してくれ」

「ん……呼吸?っ、ぁ……はっ、ぅっ……」

異物感に眉を顰めながらアルカディアが問えば、クラウディオは何もしなくて良いと首を横に振る。ただ呼吸をしろと言われても、とアルカディアは息を吸い込んだ。
瞬間、内部の収縮と同時にエネマグラが僅かに動き内部を押し上げる。
呼吸の為に力を入れたり、抜いたりと身体が無意識に動く度にプラスチック器具が奥へ、奥へと入り込んでくるのだ。

「あ゛っ!?♡ぁっ、ぅあっ、ん、ぐっ!」

もじもじと膝を擦り合わせて快感を逃そうとすればするほど、器具は奥へと入り込み前立腺をぐっと強く押し上げる。ずずっ、とアルカディアの意思とは無関係に勝手に動き始めたそれに真っ赤な瞳にじんわりと涙の膜が張った。

「んぅっ、ぁっ!♡…っ、ぁっ、これっ、あ゛ッ!♡やぁっ、うぁっ!♡」

瞬きと同時にぼたりと涙が落ちるが、既に動き出したエネマグラは止まらない。ごりごりと前立腺だけを強く刺激され、アルカディアの身体がガクガクと痙攣する。
ハクハクと開閉する口からは濁ったような嬌声だけが止まらず漏れるばかり。

「ぅっ、あ゛っ!♡まっ、ぁっ、んぐっ、やっ、ぁ…っ!ぁぅ、ぅッ……!♡」

止まらない刺激にそれを耐えようと腹部に力をいれれば、エネマグラが内側から前立腺を強く押す。それの繰り返しにアルカディアの性器からは、ぼたぼたと先走りか白濁か分からない薄く濁った液体が飛び散り小さな水溜りが出来ていた。
いやいやと首を振って快感を逃そうとしていたアルカディアの身体が一際大きく震えたかと思えば、そのまま大きく瞳が見開かれカクカクと細い肩が揺れる。

「いっ、あ゛!♡なっ、ぅあっ、まっ、い…ま…っ、ぁっ、う♡ま、た…〜〜っ!!♡」

性器に触れる事なく快感を得たアルカディアの身体はドライオーガズムによってビクビクと痙攣を繰り返す。しかしエネマグラは止まるどころかもっともっととアルカディアの前立腺を何度も押し上げ、その度に訪れる快感にアルカディアの手の平がシーツの海を引っ掻く。
びくん、びくんと打ち上げられた魚のように何度も身を震わせるアルカディアの姿をじっと見ていたクラウディオはごくりと溜まった唾液を飲み込んだ。

「あっ…♡あぅ…ッ、あっ♡ん…っ!ひ…っ!♡まっ…、てっ!うあ、ぁっ♡♡んッ、あっ、あっ♡とまっ、んなぁっ!♡あっ!♡ゃぁっ、あぅ…ッあ゛​​──ッ!♡」

とある伝手で手に入れたエネマグラを使えばアルカディアの乱れた姿をもっと見られるのでは、と思ったクラウディオの予想を遥かに超えるアルカディアのよがる様子に知らず口角が上がる。
何度も連続して訪れるドライオーガズムの波から降りられず喘ぐアルカディアの顔は、切れ長の真っ赤な瞳からこぼれた涙と飲み込めず垂れた唾液でぐしゃぐしゃだった。
それすらも綺麗だと見惚れていたクラウディオの視線と、虚なアルカディアの視線が絡む。

「うぁっ、あ゛!♡く、ら…でぃお…っ、たすっ、 けて…っ」

最初は喘ぐばかりでどこを見ているか分からなかったアルカディアの瞳が確かにクラウディオの琥珀色の瞳を捉えたかと思えば、顔を真っ赤にしたアルカディアの指先がクラウディオの膝に触れた。
たすけて、たすけて、と何度も繰り返される言葉にクラウディオの背筋にぞわりとしたものが這い上がる。
あの、アルカディアが自分に助けを求めている。そのことにクラウディオが越を感じている間も、アルカディアは間髪入れずに襲いかかる快楽の波に身を震わせていた。

「ひッあ゛ッ♡♡あ゛ッ、んぁッ!♡」

ガクガクと身を震わせるアルカディアの声にはもう最初の頃のような元気はなく、性器も触れずにいるまま吐き出された先走りと精子でびしょびしょにシーツを濡らしている。

「……アルカディア、いま助けてやる」

「ぁ"っ、あ!♡くら、ぁっ、んぅっ、あ"っ、〜〜〜〜ッ!♡」

自分の膝に触れる震える指先を撫でながらクラウディオはそっと瞳を細めそう言うと、尻穴から出ている柄の部分を指先に掛けると勢いよく引き抜いた。
その衝撃にアルカディアの視界がパチパチとスパークし大きく身体が震える。はっ、はっ、と荒い呼吸をしながらアルカディアは漸く終わった地獄にも似た快楽の波に気を緩める。身体が浮くような感覚もイキすぎた所為だろうかとぼんやりと思考していたその時だった。

「っ、あ゛っ!?♡♡」

どちゅんっ、と太い何かがナカへと侵入してきた感覚にチカチカと視界が明滅する。息を吸い上げ、何が起きたか分からず身を震わせていれば正面にはクラウディオの顔。
先ほどまで横から見上げるかたちだった筈の顔が正面にありアルカディアがパチパチと瞬いていると、下からずんっと奥を突かれる衝撃に真っ赤な瞳が見開かれた。

「うあ゛っ♡や、ぁッ♡おくッ、や♡あぅ、っ♡んぁ、あっ!!♡♡あ゛っ♡」

「お前は、奥突かれるの好きだもんな」

脇の下に入れられた手で身体を持ち上げられ、そのまま下ろされると同時に下から突き上げられクラウディオの性器の先端がごりごりと僅かに膨れてしまっている前立腺を押し上げる。

「ち、がぁっ…すきじゃ、なっ…♡ぁっ、まっ、…てっ、んぁ♡も、ぁっ♡いらな…ぁッッ♡♡♡♡」

先ほどまで刺激され続けていた身体はどうしてもアルカディアのいう事を聞かず、与えられる刺激をただ受け入れるしか出来ず涙をほろほろと零す。
頬を伝う涙を舐めるあつい舌すら快感となりアルカディアの身体を苛む。ごりごりと押されすぎた前立腺はバカになってしまったかのようだ。

「かわいい」

「!?ゃぁっ!♡ば、かっ、やぁ…っ!ひっ♡んん゛ぅ!♡♡♡ひ、あ゛ッ♡♡だっ、ぇっ…っ、いっ、〜〜ッ!?♡♡」

譫言のように愛を囁く悪戯な手が今まで触られずいた性器に触れたかと思えば、下からうえと擦り上げられる。その際にぞわりと背筋を這う感覚に、アルカディアはいやいやと身を捩る。
まるで排泄行為をする時にも似た感覚に性器の先端がぶるりと震えアルカディアが何かを言う前にそれは弾け、びしゃびしゃと噴水のように吹出しアルカディアの顔面とクラウディオの腹を汚した。

「ぁっ、ん…っ!♡…っんぅう゛っ!♡……」

カクカクと腰を震わせたアルカディアは強すぎる快感に視界が霞んでいくのを感じ、そのままぐらりと力の抜けた身体を大きく揺らす。

「​​──アルカディア」

落ち着いた恋人の低い声を最後にその意識を暗い闇の中へと手放した。



「んっ、ぅあ……?」

ふっと、重い泥のような場所へと沈んでいた意識が浮上する。アルカディアは重たい瞼を持ち上げ、そこが自分の見知った場所である事に安堵し、途切れる前の意識を呼び戻す。
クラウディオが持ち込んできたエネマグラ?などという器具の所為で大変な目にあったのだと思い出し、一言文句でも言ってやろうとした所で違和感を覚えた。

「ぁ?……、ちょっと」

ベッドに横たわる自分の身体に巻きつくように回されているクラウディオの腕を退かそうとしたら、あらぬ場所がまだ塞がっている事に気が付いてしまったのだ。
まさかと思って後孔に力を込めれば、まだ半勃ち状態のクラウディオの性器を締め付けてしまい混乱と羞恥にその頬を朱く染める。

「ちょっと、おきっ、起きろっ」

回された腕をパシパシと叩いてクラウディオを起こそうとするが、全く微動だにせずアルカディアはぐっと唇を噛む。

「んっ、ぁっ、ぅっ……」

僅かにしか力を入れていないにも関わらずその拍子に胎内が収縮し、萎えた性器を感じとってしまいアルカディアは溢れ出そうになる甘い声を必死に飲み込んだ。
今ので微かに固くなる性器にこのままでは良くないと、どうにかしてこの鎖を抜かなくてはならない。呼吸を意識して、ナカを締め付けないよう浅く息を吐き出し、自由に動かせる脚を使って身体を動かしていく。

「もっ……なんでっ」

普段は抜いて、全て済まされた状態だというのに。
そうだ、普段ならばクラウディオがアルカディアの痴態を放置して眠ることなどあり得ない。冷静な判断をする事が出来れば気付けたのだろうが、熱に浮かされきった頭はまだアルカディアが思うより使い物にはなっていなかったらしい。

「んくっ……はっ、ぁ……」

ずるずると後孔から性器の抜け出る感覚に身を震わせながら、どうにか半分ほどまで抜き切ったアルカディアがほっと息を吐き出した​​──瞬間。

「っ、あ"っ!?♡」

腹回りに回されていたクラウディオの腕に力が込められ、そのままぐっと後ろに身体を引かれる。どちゅっ、と奥まで性器を挿入し直されパチパチとアルカディアの視界が明滅した。

「どこに行くんだ、アルカディア」

「なぁ゛っ、あっ!♡ば、かっ、ぁっ!♡」

下から腰を突き上げられ浅い場所を何度も性器に突かれ、瞳に涙を溜めながらアルカディアはシーツを掴む。

「っ、と……」

「んやぁっ!♡ぁっ、ひっ…♡ん…っ!…っ!あ…ッ、あぅっ!♡」

いくら先ほどまで寝ていたとはいえ、たいぶ酷使されたナカは少しの刺激すら敏感に感じとるというのに、クラウディオは自身の性器をアルカディアの奥へと容赦なく突き立てる。
横になっていた身体をうつ伏せにされ、クラウディオはその上から覆い被さるようにすると更に繋がりを深くしようと腰を大きくグラインドさせた。

「ひぅ!♡あっ、ぁっ、む、り…っ、ひっ♡あ゛、う゛ぅ♡あぅ…ッやぁ、…っあっ♡」

ばちゅん、ばちゅんとアルカディアの尻とクラウディオの中心部がぶつかる音が部屋に響く。
今は何時だろうか。全てが意識の外であるかのようで、アルカディアはただ目の前の白いシーツを握り締める。

「ぅあっ、ぁっ、 はぁっ、はーーッ♡ あ、はぁ、う、うぅ゛う♡〜〜〜〜〜っっ♡♡」

だらだらと唾液を零しながら襲いかかる快感から逃れようと、握り締めたシーツを引っ張って身体を上へ、上へと移動させていく。

「っ、こら……逃げるな、アルカディアっ……」

「んぐぁ゛っ!♡はっ、ぁっ、あ♡んぅう♡ あっ、あ、あッ!♡んっ、あ゛っ!あ゛っ♡」

ずりずりと移動するアルカディアの身体に気が付いたクラウディオが小さな溜め息と共に、逃げを打つ腰を掴みぐいっと下へと引く。抜けそうになっていた性器は再度アルカディアの奥を穿ち、身体の痙攣に呼応するかのように内部が収縮した。
何度も何度も押し上げられる快感にアルカディアは完全にベッドへ身を沈めると、頬をびしょびしょのシーツに押し当てひんひんと啼き喘ぐ事しか出来ない。

「ゃぁっ、あ!♡あっ、あ゛っ、あ゛♡​​──っっ!♡♡……っあ゛!♡んあ゛っ!♡」

「アルカディア、かわいい……すきだ」

「んぅっ!?だ、めっ、 はっ……♡ぁ゛ッ♡や、だあ゛っ、あ゛っっっ〜〜!?♡♡♡」

上からのし掛かるようにして腰を打ちつけるクラウディオの熱い吐息が耳にかかり、身を震わせれば襞が性器を奥へ促すように収縮を繰り返す。
とん、とん、とクラウディオの性器の先端が奥を突く。これ以上はいけない、とアルカディアがなりふり構わず首を振るのも抑えつけるようにクラウディオが腰を打ち付ければ、ごりっと内部からおよそ出るとは思えない音がアルカディアの耳に届く。

「ぐっ、ぅっぁ♡はッ、あ゛、ぉっ……♡あっ、あ、あッ♡ん゛、ぅ゛う、う♡♡♡」

ひゅっ、と音すらない息が漏れる。涙が瞬きと同時に弾けた。
ぴたりと閉じられた壁だと思われていた場所がゆっくりと開きクラウディオの性器の先端を飲み込む。ぐぽっ、とこじ開けられた場所へと嵌り込む性器にアルカディアの呼吸が僅かに止まる。

「​​──っあ゛……♡い゛っ、あっ!♡っ……っ♡♡ぁ、ぅう゛、……♡う、ッく、ふぅ゛う……♡」

そして少し遅れて漏れ出した喘ぎ声。強くシーツを握り締めすぎて冷たくなった手にクラウディオの手の平が重なる。

「アルカディア……」

「あっ、あ゛っ、あ゛​​──♡お゛ッ……♡♡……ッあ、ッ……♡♡​​──っっ!!♡♡」

するりと手の甲を撫でられ、耳元で甘い声が落とされる。その瞬間、バチっとアルカディアの中で何かが弾けたように快感が溢れ出す。今までの全てが溢れる感覚に脳内がショートしたかのように熱く茹だる。
もうむりだ、なにもかんがえられない
ただ、気持ちが良いという事しか考えられずいま自分の身体がどうなっているのかすら分からない。

「ふっ……そんなに良いか?」

「んぁッ、あ"っ♡ぁっ♡​​──っ、い、ぅッ……♡♡ひう゛う……ッ♡♡」

アルカディアの萎えた性器からはびしゃびしゃと止め処なく水のようなものが溢れ出ているが、本人は分からないのか代わりにクラウディオが笑う。

「アルカディア、もう少し付き合ってほしい」

私はまだ足りない、と小さく漏らされた言葉にアルカディアは自分がどう答えたのかもう分からなかった。



「んっ、んぁッ!♡あっ、あぅっ、♡♡」

がつん、がつん、と身体が上下に揺れる。ふわふわとした心地の中でアルカディアは今にも倒れ込みそうになる身体を誰かに押さえてもらいながら、必死にその場所にしがみついていた。

「はっ……アルカディア……」

「ん♡んぅう♡ぅッ……、あ、ッッ……♡あ……ぅ、……く…ら…ぃお…」

下から突き上げられる度に、身体の一番奥がぐねぐねと性器を飲み込もうと収縮する。一度こじ開けられた最奥は卑しくも男根を求めて啼いていた。

「っあ、くらぅ、でぃお…っ♡ひぅ…っ、お…くっ…ぁ…はッ、あ゛、ぉ…ねが…♡」

ぐずぐずと蕩けた下半身はもうアルカディアの制御下にはなく、どれだけ求めても奥まで届かない。いやいやと首を振って眼下にあるおとこに助けを求めれば、おとこは琥珀色の瞳をどろりと溶かす。

「……ああ、お前が望むなら」

愛おしそうに瞳を細め、アルカディアの細腰を掴むとずるりと性器を一度引き抜いた。

「んぁ……っ♡、ぅあ"っ!?♡」

ギリギリまで持ち上げた身体を一気に落として下から突き上げれば、ごちゅっと強い音と共に最奥に性器が突き刺さる。カッと開かれたアルカディアの眼球がぐるり、と上を向き、かひゅかひゅと浅い呼吸音が部屋に響いた。

「〜〜っ、あっ、あ、あッ♡あ゛っ♡ひぐッ、……ぅッ♡あ……」

数秒で戻ったアルカディアの瞳がそのま恍惚に光りとろりと声が漏れ出る。馬鹿になった身体はいう事を聞かず、性器からはもう水とも呼ばぬ残滓がちょろちょろと漏れるだけ。

「……っ、くっ……!」

「あっ……んっ♡はぁっ、ぁっ、ぅっ♡……」

ビクビクと大袈裟に身体が跳ね、最後の大仕事と言わんばかりに内部が収縮するとその締め付けにクラウディオも何度目かの精子をアルカディアのナカへと吐き出した。

「ぅっ……ぁっ……♡」

「…アルカディア」

奥へと擦り付けるように吐き出される精子に何度か身体を痙攣させてから、アルカディアはぐったりと身体を倒してクラウディオへとのし掛かるようにして凭れ掛かる。
重い瞼がいう事を聞かず、喘ぎすぎた喉はヒリヒリと痛む。下半身など自分の物ではないかのようでまるで感覚がない。酸素が足りずグラグラとする頭でただひとことアルカディアは吐き出すと、そのまま意識を今度こそ完全に闇の中へと落とした。