首筋の傷に小さな痛みが走って、アルカディアは思わず眉を顰めた。
「──ねえ」
「なんだ?」
「なんだ、じゃなくて」
何か言いたそうなアルカディアの視線を受けながらクラウディオは楽しそうに笑う。そしてもう一度、同じ場所へと歯を押しあてた。軽く噛んでから舌でなぞれば、びくりとアルカディアの肩が跳ねる。
「…っクラウディオ」
動揺したアルカディアの様子にも、ただクラウディオは笑うだけだ。
「痛いか?痛くないだろう。本気で噛んでるわけじゃないし」
「…そういう問題じゃない」
クラウディオの言葉にアルカディアが反論するよりも早く、それを封じる様に口付ける。ぺろりと唇を舌でなぞれば、アルカディアは従順に瞳を伏せた。良い子だ、とクラウディオが吐息の様な声で告げる。そしてまた唇を合わせ、開いた隙間から舌を滑り込ませた。
「──ん、ぅっ」
「アルカディアは、キスされるのは好きだな」
「そ、ういうんじゃな、い」
「なら、どういうことだ?」
近い距離で見つめ合ったまま言葉を重ねる。目元をほんのりと赤く染めたアルカディアは、楽しそうな様子のクラウディオからふいと顔を逸らした。
「痛いのは嫌い」
「気持ちいい事は好き?」
「……ん」
「そうか」
頷いて、クラウディオは柔らかい笑みを浮かべた。だがその笑みがどういった類のものかアルカディアは良く知っているのだ。
駄目だ逃げろと頭の中で警鐘がなる。だが腰にはしっかりと腕が回され、もう片方の手で後頭部を固定されていては到底無理な話だった。
「なら、気持ちいいと思えるようになればいいんだろう」
「はあ?」
「ほら、首を出せ」
「ちょ、待って…待ってって──」
「待つわけないだろ。お前は本当に可愛いなあ」