― can't escape ―
:
「あ、ッま、ぇ…あッ!?ぅ〜〜〜ッッ♡」
勝手に期待している身体を必死に押しとどめていたのに、ささやかな抵抗を一笑に付したクラウディオは軽々とアルカディアの身体を抱え上げた。あっと言う間に、窄まりにキャパシティを明らかにオーバーしている熱い亀頭が潜り込んでくる。この剛直が自分に与えてくれる快感を十分に知っている身体は大喜びでむしゃぶりついてぎゅむぎゅむと締めあげるが、我が物顔で狭路を侵攻してくる剛直に頭は完全に恐怖していた。
下から突き上げる形での挿入だから、身じろぎをするだけでも角度を変えて肉壁を押し上げる。ばちばちと弾ける視界の中で「あ、だめだこれ」本能がそう察して反射でクラウディオの肩にしがみついた。
「おあ゛ッッ♡あ゛、ぁ、ぅッ♡ふ、ぅ〜ッ♡やッ♡ひ、ッ♡♡ぁッ♡──ッ♡♡ひッ♡!?あ゛ッ♡♡あっ♡あ♡ぁッ♡♡」
「そう甘えた声を出すな」
「ぁッ♡くら、ぅッ♡♡は、っぁうッ♡あ゛ッ、ぁッ♡…ッ♡」
重力でずるずると根元まではめ込まれた陰茎が強烈な存在感を放ちながらそこに居座る。アルカディアの陰茎が震えながら涙を零して揺さぶられるがままに跳ねた。鈍い痛みで多少正気を取り戻した頭が、この光景から目を逸らそうとするが、それすらも許さないと言うように怒涛の勢いで与え続けられる快感に自然と腰が波打って、太ももが突っ張った。こんなに必死に耐えているのに、そんなもの関係ないと言わんばかりに腸壁を嬲られて頭のねじがどんどんゆるんでいく。
きもちいい
「…ッあ、ッ♡♡おねが、ッ♡ぁッッ♡と、ま…て♡♡あッ♡や゛ッ♡♡あッ♡あ♡♡」
長大な陰茎の雁首の凹凸が味わうようにアルカディアの肉襞を擦り上げて、溺れるような快感を生み出していく。ただただこのまま馬鹿にならないように慈悲を強請ることしかできない。
不意に、クラウディオの肩にしがみついていた指に熱い彼の手が絡められた。
震えて思い通りに動かせない指を一本一本丁寧に離しながら、宥めるように頬に、首筋に、湿った吐息と柔らかい感触が落とされていき、ぞわぞわとしたくすぐったさに身体が震える。
アルカディアの懇願が聞き届けられたのか、緩くなっていく動きに呼吸を整えていると、両手を絡めとられ、ゆっくりとベッドに押し倒された。体位が変わったことで内壁を押される角度が動いて「ぁうッ♡」と甘えた嬌声が出たが、そんなことを気にしている暇は無い。
クラウディオの顔がすぐそこにあった。文字通り目と鼻の先に。
蕩けた視界が琥珀色でいっぱいになって、呼吸も鼓動もどちらのものか分からなくなりそうなほど近く。
「…キス」
「ッえ?」
「キスしたら、とまってやる」
キス?
言葉の意味を聞き返したかったが、強い圧迫感が内臓を押し上げる衝撃に唾液と共に吐き出された空気に変えられる。膝を抱え上げられて、いつの間にかクラウディオ優位の体勢に持ち込まれていることに気づいたときにはもう遅かった。驚いて締め上げる肉襞を振り切るように引き抜かれ、蠢動を嘲笑うように打ち付けられる腰に容赦なんてなくて。
脳みそを直接犯されるようなそれに、首を振りたくって逃避をはかるが、ガッチリ腰を押さえつける腕がそれを許さなかった。
「あッッ♡ぁ゛ッッ?!♡♡や、ぁッ♡あ…がッッ♡♡ゃッ♡♡うう゛ぅ♡♡♡」
「止まってほしいか?アルカディア?」
「?!あ゛ッ♡あッッ♡♡ひ、ぐッッ♡ぅ、んぅッッ♡♡♡」
後頭部を擦り付けて、全身を跳ねさせて快感を逃そうとする。気持ちいいしか考えられなくなったり、反論しようにも声が全て上ずって意味のない言葉になってしまったりで、クラウディオの問いかけにも満足に答えられない。
快感に翻弄されながら必死で逃げ道を探すアルカディアにの脳内で『キスしたらとまる』というクラウディオの言葉がとても魅力的に、鮮明に浮かび上がった。
ブレる視界が熱く濡れる唇を捉える。「ひッ♡ひ…ぅッ♡♡」不恰好な声を絞り出しながら揺さぶられているため不安定に揺れる頭を叱咤して首を伸ばす。
ふに
触れ合わせるだけの拙いキス。
きちんと唇同士くっついているのかさえも危ういが、今のアルカディアにはこれが精一杯だった。クラウディオが言った通り、触れ合うと同時に落ち着いた動きに息を吐いて、呼吸をするために一度口を離した。
「は…ッ♡はふ、ひぁッ?!♡♡な、ん…でぇ!!♡ッ♡♡♡」
「キスしたら、て言っただろ」
「あ゛ッ♡♡ぁ、ぅッ♡♡きすッ♡す、ぅからぁッッ♡♡ッ…んっ、ぅ♡♡」
あれか、キスしてる間だけ止まるってやつか
口を離した瞬間に再開した律動に絶望的な考えが浮かぶ。快感の渦に呑まれ、噛みそうになりながら慌ててもう一度舌をのばした。クラウディオの首に手を回して、首を傾けて擦りつけるように唇同士をくっつける。力の入らない腕では上手くしがみつくことができなくて、離れそうになりながらも角度を変えながら必死に縋りついた。誘い込むように開けられた口に舌を滑りこませ、尖った犬歯をなぞって、口内の熱さを確かめるように熱い舌に触れる。
宣言通り腰の動きは止められて、腹の奥まで満たされている絶妙な充実感とキスの緩い快感に筋肉の強張りが解かれていく。夢中で絡み合わせた舌同士が湿度の高い快楽と水音とともに脳を犯し込んできて、じぃんと脳の奥が痺れた。
咥内で交わる荒い呼気が漏れ出て空気を震わせる。まるで口でセックスをしているみたいだった。
もう何回も限界付近まで押し上げられている身体はすぐに絶頂に上り詰めようとした。でも、行く寸前に自分の意志でキスをして、律動を止めてもらい、寸止めの状況を作り出す。
始めは、体を全部投げ出されるような激しい快感が成りを潜めたことに安堵したが、終わりのない快感の波に晒されることで、静まらない下腹部の熱がじわじわと膨れ上がってくるのを感じた。その感覚に、朦朧としていた意識が覚醒する。身に覚えのありすぎる感覚に体中の毛穴が開いて、動かないはずの心拍がどんどんと上がっていく気がする。理性が警笛を鳴らし、身体が勝手に身じろぎをするが、逆に擦られた内壁が刺激を求めて陰茎を締め上げ、逆効果に終わった。
しっかりと抱き込まれた身体が、奥まではめ込まれる陰茎の存在に喜んで、次の刺激を要求するように舐めしゃぶる。せめて快感に耐えようと噛み締めた歯が震えてガチガチと音を立て、さらに限界が近いことを顕著に表していた。
アルカディアの努力虚しく、どんどんかさを増していった快感が強張る身体に一気に食らいつくのは、あっという間だった。
「ひッッ♡!?ぅ、あ゛ッッ♡♡ん、ぅ〜〜〜〜〜〜ッッッッ♡♡♡ぁッ♡ぁッ♡♡ぃッ、うう゛ッ♡♡!!!」
ぎくん、ぎくんと腰が飛び跳ねて、強過ぎる快感に太ももが勝手に閉じようとする。間に陣取るクラウディオの身体のせいでそれは叶わず、さらにキスしていることで唇を噛みしめることも叶わなくて、散らせなかったそのままの快感が直接神経を焼いた。内壁が身体に連動して不規則に痙攣する。自然と突き出されていた舌をしゃぶるように蹂躙されて、射精を伴わない絶頂を脳髄まで味わう羽目になった。なのに、バグった脳は満たされたことに対する多幸感に支配されており、快感を与えてくれた陰茎に奉仕をしようと勝手に腰を擦り付けた。
余韻を感じながら脱力していく身体。重力によって思わず離してしまった唇に意識が向く前に、絶頂による痙攣で陰茎を緩くしゃぶり上げる内壁を黙らせるような勢いで陰茎が引き抜かれた。
再び始まった律動に絶叫に近い嬌声が部屋に響く。
「…ああ、イったのか」
自分の唾液で溺れかけながら、ひくんと震える耳が心底愉快そうな声を拾った。
「ひ、ぐッ♡ぁ…ッ♡は、ぁ、ぅッ♡♡」
クラウディオの言葉に誘われるがまま、双方の腹に挟まれている自分の陰茎を目に入れたが、先走りを零しながら震えているだけで、射精はしていない。でも、この頭を染め上げる暴力的な快感は良く知ったそれだった。
「ぃ、イ…って…な…ん゛あッッ?!♡♡♡ーーーーーーッッ♡♡!!い、やぁ゛ッ♡あ゛ッ♡くら…ッ、でぃおッ♡♡あーーーッ♡ーーーーーッ♡♡」
売り言葉に買い言葉のようなニュアンスで呟いただけなのに、咎めるように思い切り奥の壁をどつかれて、身体を捻って身悶える。
「ふ、これだけびくびく痙攣させといてイってないのか?」
どづッ♡どづッッ♡
嘲笑うような声と共に遠慮ない腰使いで奥の壁を抉られる。奥までずっぽりといれられて、陰茎で前立腺と腸壁をめちゃくちゃにされながら体を持ち上げるような勢いで内壁が強く押され、背中をのけ反らせる。
「お゛ッ♡あッ♡ぇッ♡♡は、ぅぁ゛ッ♡♡あ、♡…ッッ♡」
「雌イキがそんなによかったか?」
「め…す、いき…♡?」
「…ッ、キスも上手だな」
もうダメだ、クラウディオの言葉が何一つわからない。
キスなんかしてない。
でも何故か中を暴く陰茎の動きはピッタリと結腸の入り口に陣取るように止まってしまった。これから何をされるかが十分すぎるほど分かる行為に声を引き攣らせながらゆるりと首を振るが、こねるように体を揺すられる振動に合わせて上げられる腰は正直で。
何度も何度も擦りつけ、擦りつけられ、硬く閉ざされていた奥壁の筋肉がとろり、と溶けていくのを感じた。
解れていく雄子宮の入口を角度を変えた亀頭が舐めまわす。危機感を覚える脳内とは裏腹に、そこに受け入れる快感を知り尽くしている身体は勝手に脱力して身体を預けてしまう。
ぬちっ♡ぬち、♡ぬぽぉッ♡♡
「はッ♡ぁッ♡ぁ、あ゛ッッ♡♡!!いッ♡ぁッッ♡♡ぅ、…あッ♡ひっ…あ゛、あッ♡♡♡」
「…ッ、あ゛…♡」
必死に呼吸をして、その衝撃に耐えようとしたが、予想を上回る快感を持って亀頭が最奥の肉輪を暴いた。敏感な粘膜に亀頭をしゃぶられる快感に耐えるように絞られたクラウディオの声も相まってぞぞぞ、と健全とはほど遠い悦びが溢れる。
クラウディオが感じている。自分の体で。絶頂を耐えている、あのクラウディオが。
そんなの、最高すぎる。
「んあ゛ッッ♡や、ぁ゛あ♡ひッ♡いッ♡ぃ゛…くッ♡♡お…くッ♡ッッ♡♡」
「はーーッ♡、ハッ、は♡ーーっ」
緩いストロークで膨れ上がった亀頭が、肉輪を掻きむしりながら最奥を行き来する。
多少の痛さでより膨らんだ中毒性の高い快感と共に、一番敏感な部分が犯されていく。不格好に開かれた両足が、脱力したまま痙攣を繰り返す。身体全身が雌イキと中だしへの期待で悦びに震えた。
その期待に答えるように、クラウディオの吐息の感覚が短くなって、アルカディアの腰を持ち上げるような体勢のまま力強く身体が固定される。
「あッぁッッ♡♡ん、んッッ♡!!あ゛!!♡♡あっ、〜〜〜ッッ♡♡ひッ♡♡は、ぅ!?♡♡まっ、てッ♡♡ま、た…いく、ッ♡ぅう゛う゛〜〜〜〜〜ッ!!♡♡♡」
胎内で締められた陰茎が一気に膨らんで射精管が膨らんで精液を送り込む脈動を全身で感じながら、熱すぎる温度を受け止める。びゅるるぅうう♡と体外まで聞こえてきそうな勢いで吐き出された精液が、媚びてしゃぶりついていた肉ヒダを食い荒らす。着地面がない別の場所に飛ばされるような感覚に全身を引きつらせ、咄嗟に目の前の身体にしがみついた。
同じように、しっかりとした腕が絶対に逃がさないとでもいうようにがっちりと身体を抑え込む。
絶頂の余韻で引きつる尻肉をわしづかまれ、外側からの圧力も使ってクラウディオの陰茎を扱くことを強いられた。必然的に繰り返される絶頂に狂い鳴きながら、断続的に精子を吹き上げて、腹を汚す。雌イキと射精を同時に味わわされた身体が絶頂からおりられなくて、過ぎた快感に自然とあふれる涙やらでべしょべしょになった顔を拭うこともできない。
むちゅ
半開きになった唇が不意に大きく開かれた口に覆われる。食べられるかのようなそれを拒否することはできなくて、ぼんやりとした意識の中で咥内を蹂躙する舌先をただただ受け入れた。
ご褒美のように与えられたキスに感じ入っていると。胎内の陰茎が硬さを取り戻していくのを感じる。
力なくベッドに横たわるアルカディアの身体を引いて、うつ伏せにすると、無言のクラウディオの腕が顔の左右に押し付けられた。
まだ夜は長い。
これから再び身体を拓かれて、快感の坩堝に落とされる。