いつも来ている薬局なのに、目的が目的だけに緊張してしまう。別に、恥ずかしいことではないはず。なんとなく周りの視線が気になって隣を歩くアニキに身を寄せた。
アニキは慣れた様子でカゴを取って売り場を進んで行く。190近いアニキがカゴを持つと、ミスマッチでちょっとくすっとくる。でも格好良い。
「……アニキ」
「ん?なぁにソウル」
ぽいぽいと、ゴムだとか、ローションだとかをカゴに入れていく。うわぁ…なんだか生々しい、すごく大事なことだけど、全力で目を背けたい…。
「…慣れてんの?」
「まぁね〜、童貞に見える〜?」
「………見えない」
「他に買うものある?」
「ん〜…あ」
「なんか欲しいもんあった?」
「…えっと、リップクリーム」
最近切れた唇を指差してアニキの方に向ける。顎を掴んでくいっと上を向かされると、言いようがないほどドキドキした。アニキ、屈むから、顔が近い。
「舐めたらダメなの?」
「…唾液の消化酵素…?かなんかで余計乾いちゃうってセンセー言ってた」
「ふーん?おー、結構種類あるんだ」
「有名な奴しか知らなかった」
カラフルな商品がいっぱい並んでいて、どれがいいのか全くわからない。変にこだわらないでやっぱり無難によく見る奴を、と思ったけどそれすら見つけられなかった。適当に端から手にとって説明を見ていく。
「アニキ、これにする」
「どれ?...いちごの匂い?」
「…アニキの目と同じ色」
流石にこじつけすぎて寒々しいだろうか、と思っていると頭をがしがし混ぜられた。
「可愛い〜ソウル。それにしよ」
どうやらお気に召したようだ。