「ねえ起きてよ」
「……うん?」
陽がカーテンの隙間から幾筋も入り込み、ベッドの中の恋人に降り注ぐ。
タオルケットに埋もれた銀色の髪に天使の輪が浮かび、僕は思わず唇を寄せる。
「もう昼になるよ。起きないの?」
「んー…?…動けない」
もぞもぞと身をよじると現われた真白い首筋。
昨夜落とした唇の熱い名残が、目にも鮮やかだった。
「そんな甘い声だしたら続きしたくなるよ?」
顔をずらしてうなじの紅い跡を増やしにかかると腕がにゅっと伸び、僕の頭をぺちんと叩いた。
「続きは無し」
ちらりと振り返った微笑みはとても綺麗で。
でも目が笑っていなかったので、僕は素直に体を離した。
「ちぇ〜っ。君のこと、僕の虜にしたと思ったんだけどなぁ?」
「虜ってお前…」
アルは今度は本当に笑いながら俯せになり、僕を見上げてきた。
「だからこんな状態なんだけど?腰痛てーし動けねーし、激しすぎたからあんま食欲もない」
苦笑するアルににんまりと笑顔で返す。
「じゃあいいものあるから、待っててよ」
きょとんとするアルを部屋に残し、台所へ移動する。
すぐに戻って手にしたものを差し出した。
「なに、これ」
「たぶん君食欲なくなると思って、昨夜仕込んどいたんだよね」
ガラスボウルの中にたくさんのフルーツと泡のようなマシュマロの不思議なデザート。
「はいアーン」
「……あーん」
棒読みだけどま、いっか。
アルの口に掬って運ぶ。
「すげぇ美味い。林檎とマシュマロ?」
「あとはサワークリームを入れて混ぜただけ。こういうの好きでしょ?」
「ナイトメア」
参った参った、って、アルは甘いキスをくれた。