「アルカディア、顔がみたい。」

声を押し殺すために必死に歯を食いしばっていたアルカディアは、後ろから聞こえたそんな言葉に、力なく首を振る。

「っ、ぃ、やだ……っ、ぁ、」

ぎゅう、と枕を掴んで中をかき回される快楽に耐えながら、かろうじて出した声は情けないほどに震えていた。

「じゃあもっと声がききたい」

不満そうにそう言われる。
ただでさえ恥ずかしいのに、恥ずかしいところを全て見られているのに、これ以上何をさらけ出せっていうんだ。
後ろから組み敷かれて、腰を掴まれてクラウディオのでかい性器を受け入れて、中をかき乱されて快楽によがっている。他に明け渡せるものなんか何もない。

「……そうか」

拒否を続けるアルカディアの様子に、小さくそう声が返される。ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立ててアルカディアの粘膜を良いように刺激していた動作が不意に止む。
クラウディオはまだイってないはずだと不可解に思いながらも、絶え間なかった律動による快楽が止んだことに、張り詰めていた神経がわずかに緩む。

「じゃあ、聞かせてもらうことにしよう」

「……ぇ……?何を、……ひっ?」

さらりとそんな不穏な言葉を告げて、クラウディオがアルカディアにのしかかる。中への深い侵入を許してしまって、強い快楽に体が跳ねる。クラウディオの支えがなければとうに限界だった腰はあっさりと折れ、ベッドにうつぶせで寝そべる格好になる。
何をされるのか怖くて振り返りたくなるけれど、こんな涙と涎で乱れた、気持ちいいですと言っているような顔を相手に見せることを、アルカディアのなけなしの意地は許さなかった。

「くら…でぃお…?なに、」

「お前の気が変わるまで待つよ」

枕に顔をうずめたまま、相手の様子を伺うようにそう問えば、クラウディオがやはり、さらりとそう言った。何でもないことのように、だけどどこか楽しそうに言われた言葉に、本能的に嫌な予感がする。
おもむろに左足を持ち上げられる。

「は……?」

足を抱えられた?そう認識すると同時に、奥まで入っていたクラウディオの性器がゆっくりと抜かれる。片足を抱えられたまま、勢いをつけて腰を一気に進められた。とちゅ、と軽い音を立て、クラウディオの雄がアルカディアの中へと再び入りこむ。
先ほどよりも奥まで。

「あッ!?ぁ……ッ!〜〜ッ!?♡」

声に出せない悲鳴をあげて、咄嗟にシーツを握りこむ。体ががくがくと痙攣して、不意に与えられた快楽に混乱して頭が真っ白になる。

「っ、奥まで届くな、これ……」

強い締め付けに耐えるような、感心したような声。
それに何かを言う余裕はアルカディアになかった。

「っ?…ぅ、あ、ふ、」

意味のない空気が漏れる。何が起こったのかうまく理解できず、だけどそこはだめだということだけはわかる。
わかるのに、クラウディオがゆっくりと腰を引く。当然、これで終わりなはずがなかった。

「くら、だめ、待っ、て……ッ!」

「……気持ちいいの間違いだろう?」

アルカディアの必死の制止は、愉悦交じりの声によってあっさりと切り捨てられた。
咄嗟に体をよじろうにも片足と腰をしっかりと掴まれて、もう何度も極めた体では、逃げることすら許されない。ぎりぎりまでゆっくりと引き抜かれたクラウディオの肉棒が、アルカディアの中へと再び侵入する。
熱くて硬いそれが、粘膜を擦り上げ、押し広げながら容赦なく、知らされたばかりの快楽の場所を突き上げた。

「いっ!♡ひぅ!」

肌のあわさる軽い音とともに、焼けるような快楽がアルカディアを襲う。ぼろ、と涙が零れ、シーツに吸い込まれる。
息を整える暇も、体裁を保つ余裕も与えられずに、腰を動かされる。リズムも強さもさきほどとそう変わらないのに、奥を穿たれるたびに体が勝手に痙攣して、快楽が次々と襲ってきてアルカディアの脳を焼いていく。

「っ、う、ぁ!♡あ、おくっ、は、ぅ…やだ……!や、だぁ……ッ!」

クラウディオが最奥を確かめるようにぐりぐりと腰を押し付けてくるから、アルカディアは涙を零して必死に耐える。泣き叫びたいような気分になりながら、もう嬌声を抑えることもできずに、必死に歯を食いしばる。中で暴れまわるのをやめてほしくて、思わずぎゅう、と締め付ければ、クラウディオが可笑しそうに笑ってひと際強く腰を打ち付けてくる。

「逆効果だよ、アルカディア」

「っ、んう、うぅ〜っ!っ!?〜〜ッ!♡」

ぐちゅん!と音を立てて奥を穿たれる。とっくに出し尽くした精液はもう出ないのに、アルカディアの体は絶頂を覚えた。それが最近覚えさせられた、中イきというものだと、びくびくと跳ねる体が理解する。
前立腺よりも気持ちいい場所があるなんて知りたくなかった。そこをいじられるだけでもおかしくなるのに、こんなのまでされたら。

「あっ、あ♡まっ、て……っ♡い…ま、イって…ぅ…っ」

「ああ、中でイったのか?ここ、好きなんだな」

楽しそうにそう言いながら容赦なく、達した中をかき回される。ここも好きだろうと確認するように、クラウディオが腰の角度を変えてしこりを先端でぐりぐりと潰してくる。

「ひっ!あっ!♡〜〜ッ!♡あっ、ゃ、ぁ♡そ、こ…ひ、ぅ…やぁ…っ♡」

「だから、気持ちいいの間違いだろう?」

ぐりぐりと先端で丁寧に前立腺をつぶされ、狂いそうな快楽に悲鳴をあげる。

「あ、ぁ♡ふあっ、や、あっ!♡あぅぅ♡」

声を抑えることはもうできなかった。声を出す以外に、快楽から逃れる方法を与えられていないのだ。

「ん……く、ぅ…♡ま、た……♡あっ、あ、ん……ッ!♡」

少しも腰を逃がせないまま、性感帯を責められ、あっという間にイかされる。
ぎゅうう、と狂ったように締め付けてしまいながら、アルカディアはまだ慣れない中での絶頂を全身で感じ取る。クラウディオを知ったばかりの場所が切なそうに締まって、すぐにそれを埋められてしまう。
最奥をすぐに犯されて、嬌声をあげながら必死に懇願する。
腰の動きはとまらないどころか、どんどんと速く、強くなる。

「あッ!あ♡ひ、ぅ…まっ、あ、…ぅ…い、く、〜〜ッ!♡あ、あ、ぅ♡とま、って……っ♡」

イってるのだと必死で告げても、クラウディオは楽しそうに「ああ」とか「またイったな」とか、そう返すだけで犯すのをやめてくれない。アルカディアは、何度もイってるのに。そう言っているのに。
気持ちよくて、おかしくなっているのに。

「っ、あ、やらっ、も、やあ♡いく…んぅぅ♡……っひ、あ、♡や、ぅ…♡っも…とま、て……っ♡」

「だんだんイく間隔が短くなっていくな」

「う、ぅ…ばか…ぁっ!♡」

やっていることは最悪なのに、どこか無邪気に言われ、アルカディアは悪態をつくけれど、抵抗の術はない。
がくがくと震える腰を抑えられ、少しも休まることない動作で犯され続け、何度も何度もイかされて。
苦しいほどの快楽で頭が埋められる。

「も、やだぁ♡あ、ぁう、あっ♡も、おねが……っ♡いく、の、や…ぁ…っ♡んうぅ……っ♡」

恥も外聞も取り払われて、ぐすぐすと泣きじゃくりながらそう言えば、心なしかゆっくりとした動作になったクラウディオが言った。

「アルカディア、顔を見せろ」

うっとりとした声で告げられた命令は、断られることなど微塵も想定していない、確信に満ちたものだった。