Swing the catnip properly
使われてみたいなどと言うから、クラウディオはアルカディアの真偽を計るように瞳をのぞき込んだ。
吐息の触れそうな距離に、う、と怯んだ視線はしかし、クラウディオの鼻先が触れても逃げなかった。
唇が重なる。柔らかい唇を食むと、あわいから吐息が零れた。
不届きなおもちゃをベッドに放り出し、クラウディオはアルカディアの背を抱く。
ぐっと密着した身体、背中におずおずと細い腕が回される。
くっついては離れる唇の隙間にそうっと舌を潜り込ませると、抱え込んだ身体がひくりと震えた。
滑らかな粘膜を堪能しようとしたが、アルカディアがじたばたし始めたので舌先を覗かせたまま若干、距離をとる。
「あ、の…お、ふろ、入って、くる、……」
ならば共に、と抱え上げようとすると、首を振ってすっかり俯いてしまった。
「えと…、…ぁ…洗って、くる、から……待っ…てて…」
どこを洗うと察せないクラウディオではない。
そこからやりたいと言外に込めて腰を撫でると、跳ね上がったアルカディアはクラウディオの目を見ずにバスルームに駆け込んでしまった。
捕まえることも追いかけることも容易だが、ようやく脚を開くことを覚え始めた心を折ってしまうには、愛おしい。
クラウディオは嘆息し、ポールハンガーにジャケットとベストを掛けた。
かすかに聞こえる水音に、知らず、口角が上がる。
そろそろ手持ち無沙汰になった頃、コートだけを着たアルカディアがスリッパをひっかけてバスルームから出てきた。
お湯のせいではなく、顔が赤い。着ているのはこの一枚だけだ。
どうせ脱ぐのだから着るのもおかしいけど、タオル一枚巻いて出てくるには羞恥心が邪魔をする。長いコートから肉のない脚が伸びている。
「暖まったか?」
喉の奥で笑いながら腕の中に迎え入れる。シャツの肩口へぐりぐりと額が押しつけられた。
「…ん…」
「どれを使う?」
「…わ、かんない……。クラウディオが、シャワー浴びてる間に、その、選んでおく……」
穴があったら入りたいどころか、掘ってでも入りたいような様子にクラウディオは笑ってしまう。
後頭部を撫で、そろそろと上向いてきた唇をそっと吸った。
「結果が楽しみだ」
「…んん……」
シャワールームへ押し出されて、クラウディオはひとつ息を吐く。
再び身体を重ねるようになってから、アルカディアは萎縮している。
そのこわばりをほぐすように、優しくするように努めてきたとも、思う。
身のうちを巡る熱に翻弄されてばかりの彼が、あの行為を受け入れるようなことをし始めたのだから、一定の効果はあったのだろう。
年甲斐もなく、心が跳ねる。
散乱していたおもちゃより、喜ばせたいという動機のほうが、よほど、劣情を煽った。
自制の箍を締め直し、クラウディオもお湯を浴びる。
シャワールームを出ると、アルカディアがベッドの上で膝を抱えていた。
重ねられたつま先の前に、親指の半分くらいの大きさの丸いローターと、お尻に丸いファーのついたアナルプラグがあり、他のおもちゃは箱に戻されていた。
クラウディオが近づいてきたのがわからないではないだろうに、膝に埋めた顔を上げない。クラウディオもベッドにのり上がり、膝を抱えた腕を撫でる。
「キスがしたい」
「ん……」
わずかに上がった面、両側に手のひらを差し入れ、上向ける。
額を合わせて、親指でアルカディアの頬骨を撫でる。
強ばった頬を指先で揉むとくすぐったいのか、口元が反射的な笑みを浮かべた。ようやく上がった瞼の下に目線を合わせ、鼻先をすりあわせる。
唇を軽く触れ合わせていると、アルカディアが安堵するように力を抜く。警戒心の強い子猫でも手なずけるように、向こうから手を出してくるのを待つ。
クラウディオの裸の肩へアルカディアが熱い手を掛け、防波堤のように立てていた膝を下ろすと、衣類の少ない身体がいっそう、近づく。
少しだけ覗いたアルカディアの舌が、ちろちろと唇に触れてくる。
むず痒さに焦れてはいけない。今すぐその舌を引きずりだし、吸い上げてしまいたい欲を抑える。クラウディオも同じだけ舌を出し、同じようにアルカディアの舌や唇を舐める。
「ふ、……」
続けていると徐々に預けられる体重が増えてきたことに気付いて、背を抱き密着する。
悪戯しているような唇と舌先の接触を続ける。時折、息継ぎをさせると、アルカディアの目がクラウディオを見つめるようになっていく。
見つめ返し、何度でも唇を合わせる。少しだけ息を荒げたアルカディアが口の中に伸ばしてきた舌を触れ合わせ、絡ませる。
ゆっくりと歩くアルカディアの歩調と合わせるように、クラウディオもゆっくりと動く。それを続けていけば、やがて、唇の合間に笑みを含んだ吐息が零れる。
煮詰まっていく熱情を塗りこめてクラウディオも唇に笑みを刻む。ぽつ、とアルカディアが零した。
「…おっきいの使うの、怖かった」
アルカディアの手がそっとローターをつまむ。クラウディオがそこからコードの伸びたコントローラーを握る。
二人、しばし、無言でそのおもちゃを見下ろし、ふ、と吹き出した。いい大人が大人のおもちゃを間に沈黙している間がなんだか可笑しかった。
羞恥が薄まり、緊張がほどけたアルカディアがまた小さく笑う。クラウディオが安っぽいプラスチックについたつまみを回すと、ブルッとローターが震えだした。
「…ぅわっ」
火にでも触れたようにアルカディアがそれを取り落とした。クラウディオがつまみ上げると、指先がじんとするような振動が伝わる。
「…びっくりした」
少し驚いたようなアルカディアの額をおもちゃの先で突くと、その体はベッドヘッドへ倒れる。
「たぶん…大丈夫…」
「本当に?」
アルカディアの濡れた唇にローターを触れさせると、ひくりと肩が揺れる。
指先で感じたよりも、唇──粘膜で感じたほうが振動が強い。でもなんだか、そんなものか、という感じ。
アルカディアはこくんと頷いてクラウディオの首を引き寄せた。
唇に当たったローターは前が開いたコートの下へ入って、鎖骨の間を滑り、下へ向かった。
肋骨の中央をローターで撫でられた時に少しゾクリとして、触れられてもいない胸の先が尖るのを感じた。
けれど、それに注意を払う間もなく、クラウディオの唇が触れて、思考が徐々に鈍っていった。角度を変えるたび、ゆるやかに深くなる口づけに意識を持って行かれる。
熱く、器用な舌先に翻弄されていく。ローターはお腹やおへそ、脇腹を時々くすぐって、アルカディアを小さく跳ねさせる。
くすぐったさは口中の刺激で性感に変換され、脚の間にずくずくとした熱を貯めていく。
膝をすりあわせたいのだが、クラウディオの身体が入りこんでいるので、ふとももで彼の腰を撫でるだけになる。
何度か身体を重ねるうちに、クラウディオの皮膚が滑らかで気持ちが良いことを思い出した。うずうずする脚の間を、キスの合間にそっと彼へ擦り付けると、小さじいっぱいの快楽が生まれる。
口の中で笑われた気がする。恥ずかしいけれど、一度覚えたわずかな快楽はアルカディアの腰をゆらゆらと揺らす。
ローターはおへその少し下に押し当てられたまま、止まってしまった。そこからじんじんとかゆみのような熱が湧く。
「…さ、わっ……て」
ほどけたキスの合間に小さく漏らすと、頷いた仕草のクラウディオが唇を覆う。
優しく精液を絞られる快感を既に知ってしまった陰茎が切なさで震えると、それが熱い手に包まれた。
ようやく訪れた直接的な快感は、一瞬後に脳裏を焼くような刺激になった。
「んっ…ぅ…!」
ビク!とアルカディアの身体が跳ねた。
クラウディオの手の中にはローターが入っていて、それがひたりと裏筋に当てられたのだ。
「ッ……!んっ……!」
指先や唇で感じた振動の比ではない。
突如、性器の中でも一番弱いところに押し当てられて、脚の間が炙られたように熱くなる。
アルカディアの細い脚がシーツを蹴った。しかし、重ねられたクラウディオの身体に押さえ込まれる。ぴん、と足先がのけぞった。
やめて、離して、と言いたいのに、口中をクラウディオに舐められてはなにも言葉にならない。
脚の間だけでなく、口の中に続けられる刺激にも、アルカディアの身体はぴくぴくと震えた。
「ふっ…ぅ…んっ!」
息をするだけで精一杯で、なにも言葉になってくれない。
クラウディオは浅い口づけを重ね続けて、ようやく解放された熱い口中に夢中だ。
思うさま内側の粘膜を味わい、舌を舐め、溢れてくる甘い唾液をすすって、身体の下でひくつく身体の反応を楽しむ。
ローターの刺激はさほどでもないようだから、性器に当てても大丈夫だろうと思っていた。動かしているわけでもないし、扱いている訳でもない。
もう少し焦らして、触れられることが気持ちの良いことだとまた実感してほしい。
かわいらしく腰を振っていたさっきのように、アルカディアから再びおねだりが聞けるんじゃないかとさえ、期待していた。
「ぅぁ……ぅ……!」
しかし、聞こえたのは言葉にもならない甘い音だった。
唇の隙間から漏れたアルカディアの声に、つま先まで痺れが走る。
──悦さそうで、なにより。
アルカディアの口中は昔から結構敏感で、それがキスを重ねるようになって益々鋭くなっていた。
クラウディオは次々に、アルカディアの口の中に見つけた良いところを舐め、舌を吸い上げる。
細い指が肩に食い込み、しがみついてくるのが可愛らしい。
アルカディアは、たまったものではなかった。
「ぅっ…ぁ、んっ……!」
クラウディオの熱く大きな手に陰茎を包まれ、一番いけない裏筋にローターを当てられ、優しく精液を絞られることしか知らなかった性器に溢れる程の性感を与えられている。
クラウディオにのし掛かられて腰を振って逃げることもできず、跳ねる脚に快感をそらすこともできない。
口の中に入ってきたクラウディオの舌は、制止の声を絡め取り、さらなる快楽を口移しに注ぎ込んでくる。
訳がわからなくなるくらい身体が熱く、肩にしがみついた指一本の動かし方さえわからない。
射精しそうな快楽を絶えず味わっているのに、扱いてくれないから放つこともできない。
身体が自由になっていたら、この責め苦のような快楽から逃れるために跳ね回っている。
「ん、あっ──!♡」
細い腰が、とうとう、ギクン!と飛び上がった。動けなかったけど、その振動だけはクラウディオに伝わった。
なにか、とキスをほどく。
「っぁ──ッ……」
真っ赤になった唇の端から唾液を零し、泣き出しそうに眉をしかめたアルカディアが甘い声を溢れさせながら、ぷるぷると腰を震わせている。
視線を下に下ろすと、薄いお腹が真っ白に汚れている。おへそに小さな水溜まりを作る程の精液が、手を離してもぽたぽと垂れてくる。
射精というほどの勢いもない。けれど、まさしく漏らしたというように、たらたらと。
「っはぁ、は、っは……!」
ようやく止まった刺激にアルカディアは荒い息を吐く。
そして、じいっと己の下肢をのぞき込んでいるクラウディオの視線を追った。
「え、……」
精液を放った感覚はないのに、何回分なのかわからないくらいの精液が零れているし、見つめている間にも、痛いほど血を集めてじんじんと充血する亀頭の先からまたひとしずく漏れていく。
「な、んで……っ」
こんなに出してたらとっくに性器はしなびてるはずだ。
自分の身体の反応が、自分でも理解できない。咄嗟に身じろぎしようとしたが、大きな身体にぎゅうっと抱きしめられた。
熱い身体に、すべすべの皮膚に、触れる髪に、混乱しきった身体が囚われる。
「イケなかったのか?」
耳朶に注ぎ込まれる声は、毒のように甘い。
長く長く高められ、精液は漏らしても絶頂感をお預けされた身体はその毒にすがりついてしまった。
こくこくと頷いて、滑らかな肩に頬をすり寄せる。
いかせて、という小さな声を、クラウディオの耳はしっかりと聞き取った。
「私が、お前の願いを無下にする訳がない」
抱きしめられていた身体が、コロン、とベッドに転がされた。
水気の増した目で見上げた視界には、アルカディアの片足を掴んで、アキレス腱を甘噛みするクラウディオがいた。
自分を見下ろす男の目が孕んだ熱に、アルカディアはゾクゾクと背中を震わせる。
痩せた身体の脚を開き、身体の中に埋め込んだ指で、細い喉に吐息を奏でる。
「っん、ぅっ…ひ…ぅ……」
後孔に埋め込んだ指を前後させると、苦しげな吐息に甘い色が乗る。
ローションでとろかせたアルカディアのお腹に入った指は二本。その指で挟んでいるのは、小さなローターだ。
前を触ってもらえると思っていたアルカディアの期待は裏切られ、その代わりに先ほどからずっとお腹の中で快楽を育てられている。
前立腺で気持ちよくなれたのなんて覚えているだけでも何回かしかなかったのに、今日はずっとそこから湧き出る甘い電流が背骨に巻き付いて脳をグズグズにする。
「ぁッ、う……!」
クラウディオの指が曲げられ、ぐう、と強くローターが前立腺に押し当てられる。
泥のように重い快楽が腰骨の中から湧き出て、陰茎の先端からタラタラと先走りが漏れた。
アルカディアの身体がかくかくと揺れ、せり上がった精液が噴き出す寸前、ローターの刺激は遠のく。
「んんっ!ぅう…無下にしない、て言った……」
なんで、なぜ、いかせてくれないの、と言葉より雄弁に水没した目が訴えるのに、クラウディオは笑みを深めた。
「すぐにでも、とは言っていないからな」
「ず、る……ぃっ、っん」
ひどい、ひどい、くるしい、つらい。気持ちいいのがつらい。
いかせてくれないなら刺激もやめてくれたらいいのに、長い指は拡張するようにお腹の中で動き回り、あちこちに触れるローターが低く重い振動を伝えてくる。
甘い痺れがお腹の中から全身を浸し、排泄器が快楽の受容体に変えられていく。
「こんなに煮立ったお前を見せられたら、もっと溺れさせてみたくなる」
「も、じゅう、ぶ……っ」
お腹の中がじんじんと痺れだし、むずかゆくなっている。
熱を孕み、疼く内壁をクラウディオの長く硬い指に擦られると再び新しい快楽が湧き出てくる。
痒いところを擦ってもらえたら、そりゃ、気持ちいいに決まってる。けれどこの気持ちよさは、逃れがたい性感も連れてくる。
「っ……ふ、ぅ、う……ッ」
もっと強い刺激を求めて、内臓がまるで媚肉のようにクラウディオの指に絡みつく。
快楽の熱に煮込まれて、柔らかくなったお肉をクラウディオはゆっくりとかき回す。
アルカディアの上にかがみ込み、空いた手で体中を撫でながら、薄い皮膚を吸い上げ、汗を舐め、骨の出っ張りや筋に噛みつく。
皮膚が浅く破られる鋭い痛みは煮崩れた脳の中で快楽に置換され、いっそう強く内壁を締め付け、いいところにローターが当たる。
「ッ……!」
アルカディアの目の前がチカチカと白くまたたく。
きゅう、きゅう、とクラウディオの指をローターごと締め付けてしまう。ものともせずに、クラウディオが内壁をかき回す。
「も、やだ……っ!」
かぷ、とアルカディアがクラウディオの鎖骨を噛んだ。
あぐ、あふ、と喉を絞りながら立てられる歯はもしかして抗議なのか。
クラウディオは喉の奥で小さく唸る。とろけたアルカディアに噛みつかれても甘噛みとの区別が難しい。
ちゅぷちゅぷと後孔で水音を立てながら、この中に入れてもよいかと珊瑚色の耳に問う。
熱と快楽に眉を寄せたアルカディアが真っ赤な顔でクラウディオを見上げた。
ほそい腕がクラウディオの頭を抱える。
「はや…くっ……」
はやく来て、とは言ったけれども。
「んぅうっ〜〜〜っ!ぅうッ……っ」
ローターを入れたまま入ってくるとは思わなかった。
避妊具をつけている間、お腹の中に残されたおもちゃが不埒に震えるので、クラウディオがことさらゆっくりと準備をしているのかと思ったくらいだったのに。
そのまま、硬い肉茎が、とろけて疼く内側の粘膜をこそぐように入ってきた。
そして脚を彼の太ももに乗せられ、腰骨を大きな手でがっちりと掴まれ、ぬくぬくと出入りする血の熱に翻弄される。
「ぁんッ、っ、ッ……!♡」
うずいていた粘膜を大きな質量で満たされ、引き抜かれ、また満たされる。
注挿がこんなに気持ちいいなんて知らなかった。ずっと刺激の欲しかった中のほうまで余す所なく擦ってくれる。
深く入ってくると、そのたびにローターはお腹の奥の方へ押し込まれ、そこで新たなムズムズ感を産む。
徐々に、徐々に、貫いて欲しいところが深くなる。
もっと、もっと、貪婪な肉壁は蠢き、クラウディオの陰茎に吸い付く。
「ぁうっ……っ!」
こりゅ、とクラウディオの裏筋がいっぱいに開いた肉の輪の端から入ってきた。
アルカディアは薄い腹を震わせ、その上でしとどの陰茎を踊らせながら新しい刺激のもたらす悦楽に感じ入る。
「んんっ……っ」
ローションでとろかされ、指で拡張され、ローターで痺れさせられた肉の輪がプリュプリュと弾かれるのがたまらない。
アルカディアは眉を寄せて身じろぎ、クラウディオの動きに合わせてうずうずと身体を揺らした。
ローターでむずむずする奥の方は張り出したエラで、じんじんと火照る肉淵は裏筋で掻いてもらえると脳が湧くような甘い快感に浸される。
「ふぁ……んっ♡」
クラウディオはめちゃくちゃに腰を振り立てたいのを奥歯を噛んで堪え、前立腺をゆっくりと捏ねてやる。
「ぁ…んっ…♡」
蜜の滴るような声が、かくかくと揺れる腰が、アルカディアの快楽を伝えてくる。
どさくさに紛れて明かりを落とさなかったので、いつもより色濃く染まったアルカディアの全身が見える。
唾液をたっぷりとたたえた美味そうな口に唇を合わせる。枕を掴む指を離させ、大きな手のひらを押しつける。
「ん、んっ、うっ……っ、も、出した……ぃ」
絡み合わせた指を握りしめ、アルカディアが水没した目でクラウディオを見上げる。
クラウディオは裏筋の感触が気に入ったらしいアルカディアにそれをたっぷりと味わわせながら、口角を上げる。
「なにが出したい?」
耳朶を舐めながら問う。うぐ、とアルカディアが詰まったが、唇よりも素直な粘膜はキュンキュンとクラウディオの陰茎を締め付ける。
耳の畝に沿って舌を這わせ、肉の輪の淵も、前立腺もそうっと肉茎で掻いてやる。
もっと求めてほしい。快楽を与えるのがこのクラウディオなのだと覚えてほしい。
揺れるアルカディアが羞じらいに瞼を閉じたまま、小さく精液と言った。
「わかった」
「んぁッ!?」
前立腺を張り出したエラがこそぐように突き上げる。
感電したような快楽が脊椎を走り、その波が引かぬ間に再び突き上げられる。
「ぅ、ぁ、ちが、あっ、ッ…!…ゃ、や、だぁっ!♡」
火のような性感に晒されながら、これだけでイけたことのないアルカディアはいやいやと首を振る。
陰茎を握ってくれたらそれだけで射精しただろう。
けれど溢れるくらい気持ちよくされているのはお腹の中なのだ。
「や、あっ、〜〜っ!ぁ、い、や……っ」
硬く張り詰めた熱塊がごりゅごりゅと前立腺をこね回す。
後孔の淵がプリュプリュと裏筋に弾かれる。
自分で自分のものを握ってしまいそうな両手はクラウディオに掴まれ、シーツに縫い止められている。
「イ、きた……っ!しゃ、せぇ、したっ…い…っ!」
汗とも涙ともつかない雫を振りまき、アルカディアはとうとう淫らな願いを口にしてしまった。
淫欲にまみれた声にアルカディア自身がはっと身を固くする。
心は羞恥に炙られたというのに、どちゅん、と良いところを突き上げられて視界が真っ白になった。
「それが、聞きたかった」
「ぅうっ、あっ、んぅっ!♡」
猟犬を褒めるように、蕩けた媚肉が陰茎でめいっぱい甘やかされる。
小刻みに前立腺を捏ねた後は、長いストロークで狭い肉壁が押し開かれる。
深く入れば根元が熟れた肉の輪を弾く。
身体の内側からあぶり出される快楽にアルカディアは訳もわからず身悶えた。
だが、陰茎に媚びることを覚え始めた身体は知らず、突き上げに合わせて揺れ始める。
もっと、もっと、いっぱい、欲しい──
「んぅ、ぁ、あッッ──!」
もっと深くまで、と腰が揺らめき、クラウディオの陰茎がさらに奥まで入り込む。
そして、とつん、と入ったままだったローターが結腸口を震わせた。
「は…ぅっ、ひっ!?」
アルカディアの背が弓なりに反る。
「あ゛っ…?、あっ、ぇ?…ん、んっ〜〜〜!♡♡」
はらわたが中のものを絞り上げ、薄い腹の上にプシャァアと陰茎から吹き出た潮が噴きかかった。
「…ひ、なに、んあっ、やらっ…ぁっ、とめ、あっ、ぅ、あ゛──ッ!♡♡」
自分の腹の奥に、こんな場所があるなんて知らなかった。
どこで感じたよりもローターの刺激が強い。
息さえ奪うような強烈な快感が結腸口を犯していく。
「ぃ、抜い、てっ♡ぁあぅっ──ッ♡はっぅ、ひ、ゃめ、へあぅ゛……っ♡♡」
ローターの振動だけでもたまらないのに、潮を吹きながら淫らに乱れるアルカディアにすっかり気をよくしたクラウディオが亀頭でトントンとローターを叩く。
「とっ…て…♡あっ、あ゛ッ!♡こぇ、とって……っ、ぇ、ぅ……っ♡♡」
一回つつかれるだけでもたまらないのに、断続的にローターが結腸口に押しつけられる。
やがて小さなおもちゃは、その先端を狭い狭い輪のその向こうへ潜り込ませようとしていた。
「やめ…ぇっ♡やっ、ゃ、だ…めっ、ぁ──ッ!♡♡ゃ…」
とつ、とつ、と陰茎にローターが押し上げられ、ついに、ちゅるん、と最奥までおもちゃを飲み込んでしまった。
「ひッ、ん゛──ッ!♡♡♡」
苦しいくらいの快楽を貪婪な粘膜が求め、むさぼる。
お腹の中はみっちりとクラウディオの肉塊に埋められ、結腸の先はローターの振動に痺れさせられ、アルカディアの陰茎からシャンパンの栓を抜いた時のように、白濁が噴き上がった。
「ん゛、ぅうう……っっっ〜〜〜〜〜!!♡♡」
息さえ忘れてのけぞり、ガクガク震え、意識も身体も味わったことのない絶頂の快楽に塗りつぶされる。
その出の悪いシャワーのようにぴゅう、ぴゅううと白濁が飛び散り、細い身体を汚す。
クラウディオがぶるりと背中を震わせた。
「ん゛……っ」
搾り取るように絡みついてくる熱い媚肉、真っ赤になった顔で目を見開き、唇をわななかせながら快楽に溺れるアルカディア。
性器からも視覚からも媚薬でも浴びたように快感が走り抜け、薄いゴムの中に射精する。
アルカディアの細い指がクラウディオの手の甲に食い込み、肉のない脚が腰に巻き付き、反り返った胸板の先で乳首がぴん、と尖る。
はくはく、とわななく唇がクラウディオの名前を呼んだ。水没した目が彼を見上げる。
目が合った瞬間、背筋を甘い痺れが駆上がり、クラウディオもどくどくと白濁を吐き出した。
アルカディアは、お腹をなでる柔らかいタオルの感触に目を開けた。
クラウディオが様々な体液で汚れた身体を拭ってくれている。
「水は飲めるか?」
差し出される水の瓶の口を含み、ごくごくと嚥下する。
ぷあ、と口を離し、喉をそらすと、その喉元にクラウディオが唇を寄せてくる。
至る所をペロペロされたり、かぷかぷされたりしながら、タオルが全身を拭う。
脚ががくがくする。お腹の奥がじんじんする。頭が、ぽうっとする。
アルカディアは再び、くてくてとシーツに寝転がった。胎児のポーズに丸まった身体を、クラウディオが拭いてくれる。
お腹の奥で潮を吹かされ、射精させられ、脚の間はまだじんじんする。
ぼんやりと目を開けていると、クラウディオの脚が見える。お腹が見える。
しなやかな筋肉がみっちりとついた美しいヌードだ。
「ん……」
アルカディアはゆるゆると顔を上げ、クラウディオへ近寄る。
髪と同じ色の下生えの間に、重たそうな陰嚢と肉茎。
──気持ちよかった。
そこに吐息を感じ、クラウディオはアルカディアの名前を呼んだ。
「…っ」
お返事の代わりに、ぺろり、と未だ熱っぽい舌が鈴口を舐めた。
突如走った直接的な快感にクラウディオの足がびくりと小さく跳ね上がった。
咄嗟にアルカディアの頭に触れると、とろん、と砂糖で煮詰めた果実のような瞳がクラウディオを見上げた。
「…ん…ぅっ」
ちゅぱ、ちゅぱ、と可愛らしい音を立てながら、アルカディアの唇が、舌が、陰茎を這う。
児戯のような拙い仕草。
だが、情事の後も色濃い表情で、クラウディオに比べれば少年のような唇と舌で、慈しむように脚の間を愛撫され、悦楽を覚えずにはいられない。
クラウディオは小さな頭を両手で抱え、しゃぶりやすいように支えてやる。
アルカディアも舐めやすくなるように身体をずらした。
アルカディアの口の中に、己の陰茎が浅く出入りし、唇の熱を感じている──
「んぅ、くらぃお…」
とんでもないところで、愛おしい者が笑っている。
「どこで覚えた?こんなこと」
「…くらでぃお…のまね…」
己の唾液に濡れた先端に頬を擦り付け、繊細な指先が根元を擦る。
芯を持ち始めた陰茎を間に、アルカディアと目が合う。普段の彼からは想像もできないほど、淫蕩に、わらう。
彼の手の中でどくりと鼓動が跳ねる。
血管が浮き上がりはじめ、それを指先や舌先が辿る。
「は…ぅ…ふ……」
クラウディオの指先がアルカディアの髪を撫で、そのまま腰をたどりひくひくと震えるお尻を撫でる。
アルカディアは褒めてもらったみたいな多幸感に酔い、クラウディオの脚に顔を乗せた。
ぷるぷるに熱くなってきた陰茎をそうっと引き寄せ、裏筋を指先で掻く。
避妊具がないので筋も血管ももっと存在感があるように思える。
指先でカリ首の段差を辿り、所在なく空いていたもう片方の手の平をクラウディオの指がそうっとくすぐる。
アルカディアの腰がピクピクと跳ねた。
口の中で陰茎を育てていくことに夢中になっていると、手の中にふわふわしたものが入ってきた。
ちらりと見下ろすと丸い尻尾のついたアナルプラグだ。
なにをさせたいのか察して、了承を伝えるようにめいっぱい口を開き、亀頭を含む。
裏筋をチロチロと舌先でくすぐり、吸い上げ、ちゅぽん、と唇を離す。びたん、と鼻先を打った陰茎に笑みがこぼれる。
「ん……」
クラウディオの脚の間に脚をたたんで伏せをして、ふわふわしたアナルプラグを自分の下肢へ宛がう。
雫型のおもちゃを未だ蕩けていた菊門が飲み込む。
「ん、ぅっ」
陰茎にじゃれつきながら自身でおもちゃを仕込んだアルカディアに、クラウディオは唇を舐めた。
お肉の薄いお尻の間から、白いふわふわした尻尾が覗く。それがひくひくと生き物のように揺れているのは、アルカディアが締め付けているせいか。
そこに迎え入れられた感触を思い出し、クラウディオの目にも情欲が波打つ。
ちゃんと入れられたことを褒めるように頬を撫でると、先ほどよりも熱の増した目がとろりとクラウディオを見上げる。
クラウディオがアルカディアの口に指を入れ、開かせたまま持ち上げた。
「ん、あぅ…」
クラウディオは膝たちになり、その脚の間へアルカディアの頭を誘う。
「あ…ふ…」
開かせたままの唇のはしからぽたぽたと唾液が垂れ、亀頭でそれをすくい、唇に、前歯に、塗りつける。
開いた唇の間から舌が伸びてきて、陰茎に触れようとするが触れさせず、猫の子をじゃらすように頬に、唇に鼻先へとくっつける。
「…んぅう」
不満げな息がかかる。クラウディオは喉奥でくつくつと笑った。
逃げていく陰茎へ必死に舌を伸ばすアルカディアは透明人間と深いキスをしているようにも見える。
口を開けさせていた手を離すと、アルカディアは、はむ、と待ち望んでいたかのように亀頭を含んだ。
根元や竿には指を這わせ、苦しげに、けれど熱心に先端をねぶる。
キスを重ねて感度が上がっていた口の中に、淫らな熱を溜め込んだ性器を含むのが悦いらしい。お尻の間の尻尾が先ほどよりも忙しなく動き始める。
「口だけで、いいのか?」
己の陰茎で形を変えたアルカディアの頬を撫でると、切なそうに細められた目がクラウディオを見上げる。
なにを誘っているのか明確な視線だけれど、拙い舌技に煽られた意趣返しはちょっとしたい。
「あとで、お前のものも味わわせろ」
名残惜しい口中から引き抜き、アルカディアの脇を支えて彼も膝たちになるように支える。
薄いお腹に唾液で濡れた性器を押し当て、アナルプラグを自ら飲み込んだお尻を両手で揉む。
「ん、ん…!」
跳ねるアルカディアのお腹に性器が擦られる。とん、とん、とアナルプラグの尻尾を指先でつつくと、薄い身体がひくひくする。
じきにクラウディオは、丸いふわふわの下になにかの突起をみつけた。なんだろうかと爪先でそれを弾くと、カチ、という音とともに、低く重い振動音が響きはじめた。
「うぁっ、ん……っ!♡」
アルカディアはぎゅう、とクラウディオに抱きついた。
アルカディアのアナルを震えだした尻尾が責め立てているのだ。
がくがく、ぶるぶる、震えて、クラウディオにしがみつくと、お互いのお腹で性器がこすれる。
クラウディオは汗に濡れたアルカディアの髪を鼻先でかき分け、真っ赤な耳朶を甘噛みする。
ぷるぷる震えるお尻を鷲づかみ、緊張と弛緩を繰り返すわずかな筋肉さえ余さず揉みしだく。
アルカディアの浅い息がこそばゆい。汗ばんでしっとりと吸い付くような皮膚が愛おしい。
「…くらでぃお…♡」
ぐずぐずに熱を孕んだ声で名前を呼ばれると、心臓がどくりという。
何度も、アルカディアは彼の名前を呼ぶ。声音が蜜だ。
「どうされたい?」
おねだりを覚えさせる好機をクラウディオは逃がさない。
おもちゃに弄くられているアナルのふちを指先で辿り、薄いお腹の奥に来た熱を思い出させる。
「お、くまで……きて、ほし……」
「ここまで、か?」
クラウディオは人差し指の関節でアルカディアのおへその下を撫でる。
そこを刺激されることを覚えた身体が、それだけでカクガクと震えた。
こわい。ほしい。恥ずかしい。けれど、欲しい。
「…くらでぃお、の、ぜんぶ…」
とてもじゃないが顔を見られない。
アルカディアはクラウディオにぎゅうっと抱きつき、抱きかえされると絞り出すように告げる。
「…ちょうだい」
「本当に、お前のお願いは心地良い」
くつくつと喉の奥で笑いながら、クラウディオは震えるアルカディアの身体を再びシーツに縫い止めた。
アルカディアに自身の膝裏を抱えさせ、淫欲に腫れる性器も、ぷっくりとした会陰も、アナルプラグを埋め込み、尻尾を震わせる後孔も、余さず視界に納める。
会陰に人差し指を押しつけると、振動する尻尾が上下に揺れる。アルカディアが眉をしかめ、増した快楽に身体を震わせる。
アナルプラグをきゅうきゅうに締め付けている孔から、ゆっくりと抜き出す。
「ん、んっ……っ♡」
ちゅぽん、とアナルプラグが抜ける。ぽっかりと開いた濡れた粘膜に舌なめずりをする。
真っ赤になってひくつくそこが閉じてしまう前に、クラウディオはローションのボトルをそこへ傾ける。
「つ、めた……」
蠕動する赤い粘膜をトロトロとローションが滑り落ちていく。指を含ませ、奥まで馴染ませる。
「お前の中は、とても熱い」
ゆっくりとかき回すと、粘ついた水音がする。ぴくん、と跳ねたアルカディアが熱い粘膜で指をしゃぶりはじめる。
「ん、んぅっ、……く、ら、でぃおっ…」
「まだ、だ。全て入れてくれるんだろう?」
「ッ……、け、ど……っ」
あれが全部じゃないことにアルカディアはゾクゾクと背中を震わせる。いつも、息が苦しくなるくらいいっぱいだったのに、まだ先がある。
お腹の奥をぬらされながら、アルカディアはつばを飲み込む。
しとどに濡れた粘膜がもっと大きな熱量を乞うように指へ絡みつく。
この中を穿つことを思い、クラウディオはそうっと指を引き抜く。
「ん──……っ♡」
待ち望んでいた熱塊が入ってくる。
めまいのするような多幸感、抱きしめられて口づけられる。ぬるぬると挿入される舌と性器にわずかばかりの正気が蒸発していく。
クラウディオとドロドロになるのが気持ちよくて、彼の舌へ絡み、媚肉は陰茎にすがりつく。
漏れ出す甘い声は残さずクラウディオに食べられる。クラウディオの熱い吐息をアルカディアは唾液とともに飲み込む。
「ふぁ…♡…はっ、ふっぅ……っ♡」
ゆっくり、ゆっくりと、身体が陰茎に貫かれていく。
いつもなら止まってくれるところで、止まらない。
やがて粘膜の淵を裏筋がこりゅん、と弾いた。
「っぁ……んっ♡」
アナルプラグで震わされ、じんじんと疼くそこを甘く引っかかれるのがたまらない。
アルカディアのお腹がきゅんきゅんと締め付けてくるのを感じ、クラウディオは前立腺を押し上げる。
「ぁ、あ、……んっ♡」
繰り返してやると、小さく甘い声が溢れてくる。自身の膝裏を抱えていた手が外れて、クラウディオの背中にすがりつく。
クラウディオはアルカディアの脇の下に手を入れ、上体を支えながら親指を伸ばし、胸の先でピンと尖っていた乳首を押しつぶした。
「んぅ!♡」
指の腹でコリコリと転がされる小さな突起から、繋がった所へ快楽の電流が流れ、粘膜が陰茎にぴったりと吸い付く。
絞り上げるような動きに逆らわず、クラウディオはさらに深くまで肉茎を埋め込む。
「っ、ッ……!」
ローションを巻き込みながら長い竿を使ってアルカディアの内壁をこね回す。
口の中とふたつの乳首を気持ちよくさせられて、さらにこんなふうにされたんじゃ、前立腺や穴の淵だけではなく、内臓全体が性感帯に変えられてしまう。
みっちりと埋められ、カリ首でこそがれ、前立腺をコリコリと弾かれる。
「ん、んんっ…♡…っぁ、ぅ♡んあ……っ♡」
アルカディアがのけぞり、キスが外れると、感じ入った声が唾液とともにこぼれ落ちる。
細い腰がくねり、ねだるように揺れ始める。
クラウディオはその動きに合わせ、腰を振りながら、アルカディアへとかがみ込む。
「ぅ、あっ!?♡」
角度が変わり、とうとう先端が結腸口を突いた。
熱い、と脳が知覚した時、きゅううっと中のものを締め付けてしまった。
そして、それはアルカディアにもクラウディオにも、毒のような快感をもたらす。
「ぁ、あ、ひ……!♡あ、あぅ、あっ…ふ…♡」
とん、とん、と結腸口が陰茎にノックされ、やがてその先端がさらにその先をねだるようにぐりぐりと押しつけられる。
アルカディアはのけぞり、火のような快楽に声を上げた。白い星が視界に散る。
反射的に締まる結腸が押しつけられる亀頭の熱に溶かされ、ローションのぬめりを借り、与えられる快楽に降伏する。
「あ゛ッ〜〜〜〜〜〜♡♡♡」
ぬぽん、と結腸の奥に亀頭が潜り込む。
アルカディアは全身を硬直させ、神経を塗りつぶした快楽にかくかくと震えた。
「あっ……や、ぅッッッッあっ♡」
全部、入ったのだ。そう実感すると、陰茎の先からぴゅく、と白濁が吹き出た。
「いま、あっ、うごいちゃ、あっ…ぁッ…♡」
お腹の奥のものが質量を増したように感じる。とん、とん、とリズミカルに貫かれ、快楽の坩堝で喘がされる。
最奥は亀頭に犯され、肉輪の口は根本に引っ掻かれる。
「お前の、望んだことだ」
「まっ…てっ、え゛♡はぅ、やぇ♡ぇうっ、ッッ、ッッんぁ──ッ♡♡」
ごりゅごりゅと結腸がえぐられ、突き入れられ、きつく締まったはらわたを引きずり出すように注挿が繰り返される。
しがみつくクラウディオの身体が、熱い。
貫かれる身体が、溶解しそうに熱い。
「っ〜〜〜〜♡♡ッッふぁっ、あん゛ぅ゙ッッ♡」
理性など蒸発している。意味がわからない。セックスがこんなに快感を運ぶものだとは知らなかった。
あれでも、いつも手加減されていたんだ。
「ひ、ぃッッ♡あ゛ッん゙、ぅ──……ッッ♡」
腰骨がぶつかる程突き入れられたかと思うと、ぬぽりと抜けて、結腸口をこそいだ亀頭が今度は前立腺を張り出したエラでえぐっていく。
アルカディアの陰茎から断末魔のような潮が噴き出た。
ぺらり、と唇を舐めたクラウディオがしとどに濡れ、力なく垂れるそれを大きな手に掴み、扱き上げる。
「い゛っっっ……や゛っ〜〜あ゛、ぁ…っ…♡」
快楽を頭の中からつま先までたたき込まれ、アルカディアはビン!とのけぞった。
「あ゛、〜〜〜〜〜〜ッ……♡♡」
残弾はゼロだ。だのに、脊椎を貫き、脳をぐじゅぐじゅにする快絶が走り抜ける。
稲妻のようなそれが走り抜けていったあとは、焼けただれた神経に、ひたすら快楽が染みていく。
「はっ、ひっ、あぅ゛……♡あ──ッ♡」
陰茎がぎゅうぎゅうと絡みつくお腹のひだひだを一枚ずつめくるように引き抜かれ、無くなった質量を惜しむ間もなく、再び隘路を掘削するように押し込まれてくる。
肉壁を弾き、亀頭が濡れそぼった粘膜の輪を穿つ。
「や゛、めっ♡らえっ、も♡あっ、いや、ぁっ♡ぅあ…ぁッ…♡♡」
クラウディオが喉の奥で唸る。
オーガズムから降りてこられないアルカディアのお腹はしとどの粘膜をきゅうきゅうと締め上げ、クラウディオの陰茎を吸い込むように舐めしゃぶる。
蕩けるように熱く、乱れたアルカディアの声も泣き顔もたまらなく欲望を煽る。
こみ上げてくる射精感を奥歯を噛んで堪えると陰茎の先から精嚢へ甘い痺れが駆け抜ける。
「くら、あっ、ぃお、あ゛っ、ぁ……や、いやぁあっ……♡♡」
「嫌なら、少しは緩めろ」
熱く蕩け、きつい粘膜の輪を抜けそうな程引き抜くと、ぐしゅぐしゅと泣きながらアルカディアが腕を脚の間へ伸ばしてくる。
「らめっ゛、ら、あっ、抜いちゃ、だめっ……♡」
言葉だけでなく、媚肉もひくつきながら陰茎に絡みついてくる。
細い手首を片手でまとめて掴み、シーツに縫い止める。
もう片方の腕でアルカディアの脚を捕らえ、限界まで押し開く。
「ひ、ん゛っっ──ッッ!!♡♡♡」
無防備な脚の間で、真っ赤になった粘膜の輪の奥深くまで一息に貫く。
もう出す物もない萎えた陰茎がぷるんと揺れる。
クラウディオは自分の形を覚えさせるように長いストロークで結腸を、内壁を、前立腺を、貫き、こそぎ、熱を刻む。
「んッあ゙ッ♡あ、ひッ♡あ゛うッ、ぅッッ♡こ、えッッ♡これ、やっ♡やぇ゙、や、め、っ……!!♡♡」
泣きじゃくりながら蜜をまぶしたような声を吐き散らす。
犯されている。
嫌でも思い知る。もう男の性器は役に立たない。代わりに性器へ仕立てられた内臓が自分を犯す男に絡みつき、締め上げ、快楽に溺れていく。
「もうやらぁあ゙…ッ…♡♡くら、っ゛ぁっ、ぃお♡ッあ、おねが、っだ、して、っぇ♡」
欲しい、欲しい、と願うのは、自分の快楽ではなく、この男の快楽だった。
「くら、ぃお♡ッぁ、あっ、いやっぁあっ♡、やっ、あ゛あ♡っあぁあっ゛♡♡♡」
穴の縁から白く泡だったローションが溢れる程、いっぱいに開いた足の間が陰茎に虐められる。
逃げることも、身悶えることもできない。
快楽を注がれる。溢れても溢れてもとめどない。
何度目かもわからない、白く焦げるような絶頂にアルカディアが喉をのけぞらせると、その首にクラウディオが噛みついた。
「あ゛っ──ッ!♡♡」
それは痛みだったはずだ。しかし、アルカディアは真っ白な視界の中で、結腸の奥に注がれる熱い熱い飛沫を感じた。
どく、どく、と鼓動の激しささえ感じられるほど。
快楽に爛れたお腹が灼けてしまうんじゃないかというほど熱い。
彼の精、彼の快楽がお腹の中に迸る。
「ぁ──…ぅ…♡」
充填される多幸感。
ようやく、気持ちよくなってくれた。
アルカディアは真っ赤な泣きべそのまま、ふにゃふにゃと笑った。
「くら…ぃお……♡♡♡」
圧搾し、残滓の一滴まで搾り取るような粘膜の熱烈歓迎を受けながら、男の精を腹一杯注がれたくせに笑みを見せる。
クラウディオの心臓が、戦場でもこうはなるまいというほど高鳴った。
抱くほどに欲しくなる。まるで溺れながら喉の渇きを訴えるようなものだ。
クラウディオはアルカディアをぎゅうっと抱きしめた。
……離してくれない。
アルカディアは抱き枕のように自分を背後からベッドに閉じ込める男の腕を撫でる。
あれから、バスルームで洗浄してもらい、そのついでのようにもう一回やった。
バスルームは声が響いて大変恥ずかしかった。
いや、それを言うなら、昨日の自分が上げた声でかき消したくないものなどない。
おかげで、こうして目が覚めると喉が痛い。
あらぬところも、痛い。
だが、背後からはご満悦の手がアルカディアの頭を撫で続けている。
アルカディアの目が覚めたことに気づいていて、アルカディアが大人しく腕の中にいることが心地良いのである。
やがてうなじに鼻先がすりつけられ、脚がからみついてくるのだろう。
アルカディアの予想は寸分違わず実施された。
予想と違うところは、コンポートみたいな声がアルカディアの名前を呼んだことだ。
名前を呼ばれると蕩けてしまう。
ちょっぴり悔しいので、アルカディアも腕を伸ばし、その頭を抱き寄せた。
「くらうでぃお」
耳を揺らすように、せいぜい、優しく聞こえれば良い、と思いながらアルカディアも掠れた声を注ぐ。
だいすき、と。