Prey and hunter




肋の浮いた男の身体に欲情するようになってしまった。つくづく、己の性癖が歪んできているとレオンハルトは自認する。
濃紺のシーツの上に生白い身体が乗っている。輪郭の際だった皮膚に手のひらを滑らせると鳥肌だち、性器を含んだ肉筒がきゅうっと絞まる。
思うさまこの身を貪る前、深く押し入って馴染むのを待つ間は、奥歯が浮くような焦れったさと、この男を手に入れた充足感に満たされる。
彼も我も人を殺す術にこれだけ長けておきながら、ベッドの上で一個の欲と肉だ。

「れ、れおさ、まだ、……まだっ、ぁ」

真っ赤になった頬の懇願に微笑んで、頬をすり寄せる。体勢を変えただけで内側に響いたのだろう。足が震え、腕がしがみついてくる。
ぎゅうっとしてくる生き物は、かわゆい。
溢れた唾液をはくはくと開閉する口に被せる。熱い口中を舌でかき回す。混じった唾液をすする。
胃の腑から灼けそうだ。すっかり飲んでしまってから、震える舌を引きずり出し、吸い上げて甘噛みする。内側に含まれた陰茎が、彼の意思とは別に肉襞に吸い上げられる。

「ぁ、……あ♡」

甘い声が聞こえ、ぶるりと腰が揺れた。腰に細い足が擦り寄せられる。動いてもいい、の合図だ。貪り尽くされねば解放されないとわかっている、賢い獲物だ。
レオンハルトは甘い口中を名残惜しく手放し、腰骨を大きな手でがっしりと掴む。ついでに尻肉も揉む。

「……ぅ、それ、やだ……」

ディアフリートが口元を隠し、びしゃびしゃの目で睨んでくる。これからどんなに身悶えてもこの腕はディアフリートを逃がさず、熱の海にたたき落とすことになるとわかっているからだ。

「いや、か?」

「ひ、ぁああっ……♡」

ぬかるんだ隘路を先端で穿ち、結腸口を突くとディアフリートが仰け反って、そそり立った肉茎からぴゅくりと先走りを吹く。

「あ、あっ…ひうあ、あっあ゛っ♡んっん゛あ」

小刻みに腰を入れ、弱いところを亀頭で押し上げると、ディアフリートがじたばたしはじめる。快楽に痺れた手足ではどんな抵抗にもならず、掴まれた尻の間を責める肉棒からも逃れられない。
薄い腹の上でディアフリートの陰茎が涙を散らしながらぷるぷると揺れている。

「や、やめ♡これ、すぐ、いっちゃ、……!」

「ああ、そうだな。お前はここが弱い」

「あッ、う、あっ……♡」

とつとつと突き上げられて、ディアフリートが仰け反る。くっきりと肋が浮きあがる。快楽に染まるほど露わになる骨格だから、骨の形を感じるたびに下腹がじんじんと疼くのだ。

「れおさっ…っこれ、あ、まっ、これ、また、ぼく、えぅっ…あ、あっ♡」

きつい快楽から逃れようともがく。そんなことをしているからこの狩人は興奮してしまう。

「知っている」

レオンハルトは甘ったるい低音でディアフリートの名前を呼んだ。そして、薄い胸の上でツンと尖っていた乳首を両方、つまみ上げる。

「ぅ、うぁっ!?♡♡」

甘い悲鳴と共にディアフリートの陰茎から真っ白な精液が噴き上がる。

「あ…ひっ、いま、っん゛っ〜〜〜♡」

硬い指先の間で過敏な神経の粒がコリコリとこね回され、前立腺を押し上げている陰茎に粘膜がぎゅうっと抱きついた。内臓でいかされると思っていたのに、不意打ちで胸に快楽を注がれ、なすすべもなく小さな肉粒に与えられているとも思えない性感を受け入れる。

「いっ…いった♡いったから、ぁっ♡やめ、っ……!ひ、ひぅぅ♡」

レオンハルトがディアフリートの背中に腕を入れる。一瞬の浮遊感の後、ディアフリートの尻はレオンハルトの腰の上にどちゅん、と座り込んだ。

「ッッッ♡♡」

オルガズムの引かぬまま、結腸口を突破された。ディアフリートは目を白黒させて潮を吹いた。
びしゃびしゃと腹を濡らし、痙攣する身体をレオンハルトは抱きしめる。狭く熱い弁が亀頭を包み込み、なめ回すように締め付けるのだ。こうして耐えていないとこのまま持って行かれそう。けれど、ここに入っただけで、つま先まで快楽が駆け抜ける。

「う……♡うぁ、あぁあ…あ゛っ…う、ゃうっ♡♡」

ぐぽん♡と弁からプラムのような亀頭が抜け落ちる。だが陰茎は間もなく肉ヒダをこそぎ、ディアフリートを快楽で炙って、前立腺を捏ねていく。

「ふぁ、ああっ♡ん゛っ、ぅぅッッ♡」

「よく、絞まる……っ」

「ん゛​​──ッあっっ♡♡」

抜け出る直前まで引き抜かれた陰茎が、堅さを増して再びディアフリートの最奥まで貫いた。脳髄を快楽で握りつぶされるようだった。

「あ゛うっ……♡やぅ♡あ、ぁあっ♡」

スプリングを揺らし、レオンハルトがリズミカルに腰を突き上げる。ディアフリートはもう、嬌声を零し、快楽を与えられるだけのぬいぐるみだ。
性器に触れられぬまま何度も射精した。レオンハルトだって重たい睾丸に入ったものを全てディアフリートのお腹の中に注いでしまった。

「あう……」

くたくたになってもう指一本動かせません、というディアフリートがベッドの上に寝かされた。
さっきまで両足を抱え上げられ、背中をベッドから浮かされて、いっぱい突き上げられて、いついってないかわからなくされていた。
ガクガクと震える身体をレオンハルトがぎゅうっと抱きしめる。自分の匂いをすり込むように首筋に頭をすり寄せてくる。かわゆい。
でも、可愛くない。
ローションと精液でツヤツヤにコーティングされた真っ赤な肉の縁に、獲物の味を占めた熱いのが押し当てられている。
この二回戦目はきつすぎる。