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アルカディアの腕が虚空の何かを掴むように伸ばされた。細い腕はくっきりと筋を浮かび上がらせ、ガクガクと震えた。
伸ばした腕は結局なにも掴めず、長く細い指がシーツを掻く。真っ赤になった指先が内側に握り混まれる。
「〜〜ぅ、あっ……ッ♡」
くぽ♡と結腸が抜かれる。アルカディアは為す術もなくお尻を震わせた。
アルカディアの身体を熱が駆け抜ける。咄嗟にジタバタしようとした膝下がやんわりとクラウディオに押さえつけられる。
アルカディアはうつ伏せの身体をシーツに押しつけられ、後ろからのしかかるクラウディオの剛直に貫かれて甘いすすり泣きを零した。
アルカディアの片腕がシーツを掻いているのがクラウディオに見つかって、二回りは大きい手がアルカディアの手の甲に重なった。
「はっ…ぅ…ッ」
びっしょり掻いた汗もすぐさま湯だつような体温の手が、そっとアルカディアの手をシーツから引き剥がす。
指の間に大きな男の指が入り込み、握りこまれ、腕を折りたたまれて腕ごと抱きしめられる。
クラウディオがくちゅ、と奥を捏ね始めた。
「あっ……あ゛、ぁぅ、ふあっ……ッ♡」
熱くてくるしい。圧されて苦しい。気持ち良すぎて苦しい。
アルカディアは必死に息をした。魔力と一緒に快楽物質が体中を巡る。
クラウディオが腰を揺すると、彼に貫かれているアナルも苛められるけれど、シーツと身体の間に挟まったアルカディアのちんちんだってコリコリされてしまう。
痛みがあるはずなのに、プロステートチップを前立腺に食い込ませたままの陰茎は強すぎる刺激さえ快楽に変換してしまう。
前と奥に与えられるキツい性感にアルカディアは涙を搾った。
「っふ、ぅ、っぅあ、い゛ぁっ、いゃ……あッ!?いっ♡い…くっ…いく…♡」
浅いところは根本でコリコリクリュクリュと擽られ、奥はでっぷり太った亀頭にこね回され、アナル全体をバキバキに膨らんだ陰茎にみっしりと埋められている。
陰茎を飲み込み、締め付けることはたまらなく気持ちいいんだと学習したアナルは、媚肉をヒクヒクと蠢かせ、充血した内襞をふとましい陰茎に擦り付けてその熱を歓待する。
ビクン!とアルカディアが跳ね上がったが、クラウディオにのしかかられてはミリも動かない。
その逞しい身体の下で華奢な骨格をカクカクと震わせ、どこにも逃せない快楽に鞭打たれる。
結腸を責められて迎える絶頂は深く、重い。
「──……ッひ♡♡」
ひとくちサイズの小さな獣の鳴き声みたいに、アルカディアの喉から声が漏れた。
身体の内側で、どくん、とクラウディオの重たい陰茎が跳ねたのが分かったのだ。
中イキしたアルカディアが、奥まで迎えた陰茎をぢゅうぢゅうと吸い、種を乞う蠕動でクラウディオを甘く締め付ける。
クラウディオがそれに応えて、まだまだ濃い精液をたっぷりとアルカディアの腹に注ぐ。
「ふっ……っう♡」
身体の奥をびしゃびしゃにされる快感にアルカディアの意識が遠くなる。
もう吐く息さえピンク色の記号にまみれている。
クラウディオはアルカディアのうなじに埋めていた顔を上げる。つま先まで痺れる程の快楽を浴び、余韻にうっとりしながら身体を起こす。
アルカディアの小さな尻の間が可哀想なくらい押し広げられ、真っ赤な粘膜の縁を覗かせている。
ごくり、とクラウディオは生唾を飲んだ。
一滴も漏らしていない。優秀な雌孔だ。
クラウディオは未だ、ふわふわと陰茎に絡みついてくる隘路からゆっくりと自身を引き抜いた。
結腸の弁に亀頭を搾られ、射精したばかりの陰茎に与えられる追い打ちにキツく眉を寄せ、快楽に耐える。
なんで終わってくれないの、って時々アルカディアは泣くけれど、原因の一端はこのエッチなアナルにもあると思う。
エッチなアナルに仕込んだ男は小さな尻の奥深くまで埋めた陰茎をずるずる引き抜く。抜こうとすると寂しがりのアナルが吸い付いてくる。
ちゅう、ちゅう、と甘く追いすがるふわとろの粘膜から陰茎を引き剥がす切なさったらない。
ついにちゅぽん、とクラウディオの雄が抜けると、真っ赤な肉の輪はぽかりと開いて、失った質量を惜しむように蠢いている。
つい、見入ってしまう。
──……指の一本くらいなら。
そろそろ休ませてやらなければいけないのは分かっているから、ほんのひとくちのつもりで、クラウディオは長い指をその空洞に差し入れる。
火照った男の指よりもまだ、アルカディアの粘膜のほうが熱い。
体温がほとんど上がらないはずのアルカディアなのに、さんざん捏ねられたアナルはしとどに濡れてホカホカしている。こんなになるまで、受け入れてくれたのだ。
差し入れた人差し指をそっとお腹側に曲げる。
「っん……」
浅い意識レベルでも、アルカディアの身体がぴくんと震えた。
指先には熱くてトロトロの腸壁越しに、前立腺のコリコリを感じている。
プロステートチップを埋めたせいでいつもより存在感が大きい。ここに裏筋を擦り付けるのはずいぶんと心地よかった。
猫の頭を撫でてやるような気持ちで、クラウディオはそのしこりをほりほり撫でた。
「ぅ、ん、ぁっ♡」
アルカディアが身体を震わせる。そして粘膜の奥の方からトロリとクラウディオの精液が溢れてきた。
自分でも呆れるほど大量の精液が詰まっている気がする。
クラウディオは前立腺で遊ぶのをやめ、べしょべしょに汚してしまったシーツごとアルカディアを抱き上げた。洗ってやらねば。
しかし、仰向けたアルカディアの脚の間を見て、クラウディオは軽く瞠目した。
アルカディアの陰茎は未だ、腹につかんばかりにそそり立っている。
それが、精液をお漏らしさせられたせいで射精できなかったからだなんて咄嗟に考えつかなかった。
こんなにクタクタになって、あんなに奥に出されたのに、まだアルカディアの身体は満足できていない。
まだ彼を抱いていていい許しが与えられたかのようで、クラウディオは歓喜に背中をざわつかせた。
アルカディアはぼんやりとしていた。
クラウディオに抱き上げられ、シャワールームに連れて行かれる。アルカディアを寝かせる前に、浴室の床をシャワーで暖めてくれるこの人がアルカディアは愛おしいなと感じていた。
うっすらと開いた瞼の間から、陰茎に入り込んだプロステートチップの糸が尿道口からはみ出しているのを見下ろしていた。
寝バックで貫かれ、ずっとシーツと擦れ合っていた陰茎は痛々しいほど赤くなり、未だ、パンパンに充血していた。
「……ぇ?」
あんなに中イキしたのに、萎えていない。
──ああ、出す物なかったのか……?
「起きたか」
未だ現実がちょっとわかっていないアルカディアの眼前に蜂蜜を溶かしたレモン水が差し出される。
アルカディアが朦朧と受け取ってひとくち含む。甘みと酸味と何より水分に身体が歓喜し、喉をそらしてンクンクとコップ一杯を飲み干した。
ふえ、と一息ついてシャワールームの壁に後頭部を預ける。仰向いた顔に、クラウディオがちゅ、と口づけた。
じわりと胸が温かくなる。温かなシャワーをそっとかけられ、促されるまま、クラウディオの腰を跨ぎ、体重をかける。
クラウディオにすっかり身を任せていると、ローションを纏った指が後孔にそっと入り込んできた。
「んっ…くらぃお…」
いつもは精液を掻き出すだけなのに、今日は前立腺をコリコリと揉み込んでくる。
アルカディアはお尻を震わせた。
「どうした?」
「きょう、は…も、いや…」
「お前のものは静まっていないのに?」
笑みを混じらせた声にアルカディアはべち、と力の無い平手打ちを繰り出す。
打たせてくれたクラウディオがおかしそうな笑い声を響かせた。
「…誰の、せい…だと」
「私以外にいるか?しかし、どうしたんだ。これのせいか?」
「んあっ♡」
クラウディオが内側から前立腺を押し上げた。プロステートチップをなぞる。
「ぁ、ぁ、ちがっ、そこ、触らな、で……」
性懲りも無く快楽に蕩けた声を上げたアルカディアに、クラウディオは満足そうに口角をあげた。
これはまだ遊び足りない顔である。
「全部だしたら、また、受け止めてくれるな?」
ほらね。
きゅ、きゅ、と浴槽に化繊の細いロープが擦れ合う音が響く。
直径一センチもない細いロープがアルカディアの身体を縛り上げている。鬱血などしないように慎重に。
しかし、肉食獣の前でヌードの身体が少しも動かせなくなるくらい厳重に。
両腕は背中でくくられ、M字に大きく開かれた足は閉じられず、バスルームの壁に背中を預けていなければ座ってもいられない。
消え入りそうなほど恥ずかしいのに、アルカディアの陰茎はピクピク震えながら天井を指していた。
中だしをリセットされたアナルの縁が赤くふくれてヒクヒクしているが、クラウディオはそちらではなく、プロステートチップの糸を垂らした尿道口をそっとなぞった。
「んっ……ッ!」
糸が引っ張られる。ちんちんが真ん中から外側にめくれ上がるような違和感と熱が駆けあがる。
前立腺を食んでいたプロステートチップが糸に引かれてずるずると押し上がってくる。
「ッん、ぅうっっ〜〜」
快感と違和感がない交ぜになっているうちに、プロステートチップが引き抜かれた。アルカディアは息を整える。
精液が溜まってたら射精しててもおかしくない刺激だったのに、アルカディアの陰茎はパクパクと尿道口を開いてヨダレを垂らすのみ。
そんな可哀想な性器を、クラウディオは人肌に温めたローションを浸したガーゼでしょり……と擦った。
「ひぁッッ!??」
アルカディアが喉をひっくり返した。
咄嗟に閉じようとした脚が緊縛によって阻まれる。腰を引こうとしたが後ろはもともと壁だった。
クラウディオは目を見開いて脚の間を見下ろすアルカディアの額に口づける。優しい体温とは裏腹に、大きな手の中でピンと張ったガーゼはローションのぬるつきを纏って、アルカディアの剥き出しにされた亀頭の上をしょりしょりと撫でていった。
「っひ、ぃぁ、ぁっ……ッあ!」
クラウディオの舌で舐められる時のぞわぞわ感を何倍にもキツくした刺激だった。
ガーゼの布目なんて当てられたら痛いだろうと思ったのに、温かなローションに浸してあるせいで摩擦が消え、熱だけが残る。
「ぁ、ゃ、めっ♡これ、や…やだ…っ♡やだ…やだ…ひ、ぃあぁ゛ッ♡」
クラウディオはゆっくりと、陶器でも磨くようにアルカディアの亀頭を撫でているだけだ。
ぞりゅぞりゅっと滑った繊維が性器の奥から快楽神経を掘り起こすように擦りあげる。
「そんなに跳ね回って、逃げているつもりか?」
「は、ふっ♡ちが、ち、がぅっ…んぅうあ゛っ……ッ♡とめ、てっ…とめて…おねがっぁ゛♡」
ローションが一往復するごとに感度が増していく。
最初のうちは熱だと感じていたものが、大量の快楽であるとアルカディアが覚え始める。
尿道口の真上を擦られるのがたまらなかった。その奥に本来あるはずの液体を引き上げるように尿道が収縮する。
「やっ、だっ…あ゛っ♡やだ、やだやだっっっっ♡」
「お前はどうして、こういう時に嘘をつくのだろうな」
クラウディオが長い足を器用に折り曲げ、足指でアルカディアの陰茎を支える。
ガーゼに改めてローションを浸しなおし、両手でピンッと張る。
「っ待っ、て、待って……」
先端に暖かいローションガーゼが触れるのをアルカディアはスローモーションみたいに捕らえた。
彼は、この後自分がどうなってしまうのか予測した。
「──……ッッッッッ♡♡」
そして予測以上の快楽を陰茎に叩き込まれ、喉をそらせて硬直した。
ガーゼはにゅるにゅるしゃりしゃりと亀頭をまんべんなく磨いていく。アルカディアの目の前にバチバチ火花が散った。
瘧のように腰骨がガタつく。緊縛され、性器をクラウディオの足指に掴まれてどこにも刺激が逃がせない。
「ひ、い、ぃあっ♡いやぁッ♡ぅ、ぁっ……ッひっ♡ひぅっ、ぐ、ぅ、あ゛、うっッッッ♡」
ピシュ!とシャンパンの栓を開けた時みたいに、アルカディアの陰茎から潮が噴き出た。
亀頭の上でガーゼを回すと、ぷしゅ、ぷしゅ、と何度も吹き出る。
アルカディアは絶頂した時と同じように痙攣しながら、精液の代わりにイキ潮を零したのだ。
熱い潮でしゃばしゃばになったガーゼに、クラウディオが満足そうに舌なめずりをした。
「まだ、昂ぶっていてくれるんだな」
未だ、ぴくん、ぴくん、と拘束された身を震わせるアルカディアの陰茎は萎えていない。
ようやく迎えた雄の絶頂だというのに、刺激が強すぎて萎えることもできないのだ。
クラウディオはちゅ、とひとつアルカディアに口づけ、閉じられない脚の間に身体を割り込ませた。
再び、血を集めてどくどくと跳ねる自分の陰茎にローションをまぶす。
「ひっ!?ま、って…まって…や、めっ…今、だめ、いま…だめッ──……ッぁああっ……♡♡」
熱く硬いものがアナルに押し当てられたと思った時にはもう、長大な陰茎がずぷずぷとアナルに沈み込んでいた。
「ぁ──〜〜ッッッ♡♡♡」
それだけでもたまらないのに、クラウディオはゆったりと腰を使いながら、再びあたたかいローションをまぶしたガーゼでアルカディアの陰茎を包みこんだのだ。
「あ゛ッッッ♡」
親指の腹で裏筋にガーゼを擦り付け、輪にした指でカリ首の段差をしゅこしゅこと弾く。
ただでさえ一番弱い責められ方なのに、ぬとぬとのガーゼ越しにそんなことされちゃえば、アルカディアはもうイキ潮を撒くだけの可哀想な人間だ。
イッてるって言わせて貰えない。
言えないと責められるってわかっているのに、たった二言が声に出せない。
嬌声と悲鳴が煮崩れて混じり合い、快楽とラッピングされてクラウディオの耳に届く。
アナルなんてとっくにクラウディオの陰茎で掘削されて性感の沼に沈められている。
縛られたアルカディアは大きなネコチャンのおもちゃだ。
琥珀色の目が時折、苦痛を堪えるようにしかめられる。アルカディアに注いだ快楽は彼の熱い身体の中でクラウディオにも反射してくる。
お互い、苦しいくらい気持ちが良い。
二人でもっと。もっと。
クラウディオの情熱にアルカディアの身体が煮込まれ、思考力が蕩けていく。
はやくイくって言わなきゃいけなかったのに、ようやくアルカディアが絞り出せた言葉は別のものだった。
「す、き」
身体がなにも動かせないから。快楽を注がれることしかできないから、クラウディオに縋る代わりに、アルカディアは甘い声でクラウディオの鼓膜を擽った。
「好き…だい、すき」
快楽でじゃぶじゃぶ洗われた頭のなか、まっさらな脳裏に浮かんだ言葉は、ただそれだけだった。
同意する言葉はクラウディオの喉で言葉にならず、ひくい唸りになった。私もだと思った瞬間に、鞭打たれるような快感が広い背を内側から貫いた。
クラウディオほどの男が、ただ、抱いたからだに熱い額を押し当て、その身体の奥に子種を注ぎ込むことでしか、愛していると伝えられなかった。
「わたしも」
受け止めてくれたのはアルカディアなればこそ。
私たちは、こんなにも、美味。