am5:32

 

ふと、目が覚めた。時間を確認しようと端末に腕を伸ばしてそれを取ろうとするけれど、ぎりぎりの所で届かなくて、微かに悔しさを感じながらも立ち上がろうとして、それが出来ない事に気付いた。

がっしりと、自分の腹部が抱き締められていたのだ。何でこんな事に、とぼんやりする頭を駆使して昨夜の事を思い出す。

「(そうだ、昨日は―…)」

久々に二人とも時間がとれて、彼の部屋に来たら、そのままなだれこむ様にベッドの上へなし崩れて。そのあとは​​──……思い出すのも恥ずかしいけれど、びっくりするほど、よかった。何がなんて言わない、否、言えないけれど。でも、寝た記憶なんてないから、大方自分が意識をとばしてしまって、彼が処理やら何やらしてくれて、布団をかけてくれたんだと、思う。

どうせなら何か着せてくれても良かったのに。身体を覆う布団を捲って、ちらり。散々ひとに面倒みさせておいて何を言うか、と拗ねられそうな気もするけれど、普段感じることのない温度は、自分からしてみれば朝には少々刺激的すぎる。

じんわりと体温が上がってきてしまった気がするのは、あくまで気のせいという事にしておいて、はて、今は何時なのだろうか。カーテンの隙間から見える景色は薄暗くて、きっとまだ日が昇る前なんだろう。変な時間に目が覚めてしまったことに小さく溜め息をついた。

とりあえずここから抜けれたら、と思ってぐっと身体に力を入れて腕を振りほどこうと試みる。が、彼は「んん…」と言っただけで腕の力を緩める素振りはみせなかった。全く、本当に寝ているのか疑わしいところだ。

「(狸寝入りでもしてるのかな…)」

腹部に回された腕に負担をかけないよう、そうっと身体の向きを彼の方に変えると、すやすやと規則的な呼吸をしていた。まさか寝ながらこんなに力を入れているなんて、と思うけれど、小さく「シーロ、」と声を掛けても起きないあたり、どうやら本当にまだ夢の中らしい。

「(たまには気合い入れて朝ご飯、作ってあげようと思ったけど。無理そう…)」

依然としてすやすやと眠る彼の顔は酷く幸せそうだ。いい夢でも見てるのかと、くすりと笑うと、そのタイミングで「ん…、でぃあくん……かーわい…」と、何ともいえない寝言を溢した。……不意討ちすぎる。顔が、あつい。

「(…また寝ようかな)」

幸い今日は何も無い。次に目が覚めたときにはきっと日は高く昇っているのだろうけど、たまにはそんな休日もいいかもしれない。僅かにあった彼との距離をするりと詰めて、体温を共有する。あたたかくて、安心して、すぐにでも寝れそうだ。

「…おやすみ」

昨夜自分がつけたのであろう赤い痕に、触れるだけのキスを落として目を閉じた。

次目が覚めたら、なんだか今日ははちみつたっぷりの甘いホットケーキが食べたい、そんな気がする。